この文書では、Dell™ PowerEdgeサーバのDell™ PERCコントローラでエラーが発生して「Memory/battery problems were detected.The adapter has recovered, but cached data was lost.Press any key to continue.(メモリまたはバッテリの問題が検出されました。アダプタは回復しましたが、キャッシュのデータが失われました。続行するには、任意のキーを押してください。)」が表示された場合や、その他メモリ関連のエラーが発生した場合のトラブルシューティング方法について説明します。
目次:
- POST中のRAIDコントローラのエラーメッセージ
- エラーメッセージにつながるトラブルシューティングの状態
- OSの再起動
- コントローラキャッシュのクリア
- 物理的PERCコントローラの確認
- その他の情報
- PERCバッテリのメンテナンス
- キャッシュ使用
1.POST中のRAIDコントローラのエラーメッセージ
POST中に、RAIDコントローラーに次のようなエラーメッセージが表示されます。
Memory/battery problems were detected.The adapter has recovered but cache data may be lost.Press any key to continue.
LCDに表示されるエラーや、診断の実行時に表示されるエラーについては、次の記事を参照してください。
「LCDおよび埋め込み型診断(ePSA)イベント メッセージの解釈(英語)」
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2.エラーメッセージにつながるトラブルシューティングの状態
このメッセージは、一般に次のいずれかの場合に表示されます。関連するイベントをトラブルシューティングすると、このメッセージも表示されなくなります。
- OSの異常終了
- OSでのエラー発生(Windowsでブルースクリーンが表示される)
- 電源の自動的な切断
一般的なトラブルシューティングの手順には、次のものがあります。
1.OSの再起動
OSが正常に起動した場合、再起動によってメッセージは表示されなくなります。
2.コントローラキャッシュのクリア
- SCSIコントローラ(PERC 3、PERC 4): Ctrl+M
- SAS/SATAコントローラ(PERC 5、PERC 6、およびそれ以降のコントローラ): Ctrl+R
- キャッシュのコンテンツが消去されるまで5分間待ちます。
- 再起動してコントローラBIOSに戻ります。
注:エラーが引き続き発生する場合は、ハードウェア エラーの可能性が高くなります。詳細なトラブルシューティング手順については、テクニカルサポートにお問い合わせください。
- エラーが解決した場合は、OSを起動します。
- OSが正常に起動しない場合やエラーが解決しない場合は、OSに問題がある可能性があります。保証が有効な場合は、詳細なトラブルシューティング手順について、テクニカルサポートにお問い合わせください。
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3.物理的PERCコントローラの確認
- DIMMとDIMMソケットに破損がないかどうか確認します。
- システムの電源を切り、電源ケーブルをシステムから取り外します。
- システムを30秒放置して、待機電力を放電します。
- PERCコントローラを取り外します。このシステムのパーツの取り外しと交換方法の詳細については、デルサポートの『ユーザーズガイド』を参照してください。
- RAIDメモリバッテリを取り外します。DIMMを挿入した後、メモリバッテリを忘れずに再度取り付けてください。
- メモリDIMMをコントローラから取り外します(該当する場合)。
- DIMMソケットのピンが曲がっていないか、またその他の破損がないか確認します。メモリDIMMのエッジコネクタが破損していないか確認します。
- コントローラに組み込まれたメモリまたはメモリソケットが破損している場合、PERCコントローラの交換が必要です。
- メモリが破損している場合、コントローラメモリの交換が必要です。
- 破損がなければ、メモリDIMMを交換してコントローラを再度取り付けます。
- コントローラメモリを正常なメモリとスワップします(可能な場合)。
- 正常なメモリがない場合: サポートにお問い合わせください。
- 正常なメモリでエラーが発生しない場合: メモリを交換します。
- 正常なメモリでもエラーが発生する場合: PERCコントローラを交換します。
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3.その他の情報
POST中に表示されるこのエラーメッセージは、コントローラのキャッシュに必要な情報がまったく含まれていないこと、またはハードドライブ宛てのデータのうちハードドライブに書き込めないデータまたは書き込まれなかったデータが含まれていることを示します。このエラーが表示される原因として可能性が高いのは、次の状況です。
- サーバで通常のシャットダウン処理が実行されなかった - 電源切断や自動的な再起動により、ハードドライブに書き込めない不完全なデータまたは破損したデータがキャッシュに残っています。
- キャッシュメモリに欠陥がある - 欠陥のあるキャッシュメモリはデータ破損の原因になります。これが原因でOS関連の問題と自動的な再起動が発生することがあります。
- シャットダウンしたサーバでバッテリから電力が供給されない - NVCache(不揮発性キャッシュ)メモリを使用していないコントローラでは、サーバの電源が入っていない間はバッテリを利用してキャッシュのコンテンツを一定時間(24時間ないし72時間)保持します。バッテリが空になると、キャッシュのコンテンツ全体が失われ、コントローラはキャッシュメモリに必要な情報がまったくないと認識します。NVCacheを使用するコントローラ(一部のH700/H800コントローラおよびそれ以降のH710、H710P、H810などのコントローラ)では、バッテリで電力を維持する時間は多くの場合30秒以下で済むため、この問題はほとんど発生しません。
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1.PERCバッテリのメンテナンス
PERCバッテリに問題が発生したか、OpenManage Server Administrator(OMSA)に警告シンボルが表示された場合には、手動で学習サイクルを実行する必要があります。 「学習サイクル」では、バッテリの放電と再充電が行われ、バッテリを完全に正常に機能する状態に復元します。場合によっては、バッテリが完全に充電された状態まで復元するために、複数の「学習サイクル」操作が必要になる場合もあります。手動で学習サイクルを実行するには、OMSAの[Start Learn Cycle from the Battery Tasks]ドロップダウン メニューを選択します。
図1:OMSAバッテリー タスク ドロップダウン メニュー
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2.キャッシュ使用
ハードウェアRAIDコントローラーは、通常のオペレーションでキャッシュ(情報の一時的なリポジトリー)を利用します。通常のオペレーションのキャッシュは、システム メモリーのように電源が入っている間だけデータを保存するDRAMメモリーで構成されます。
比較的新しいコントローラーは、サーバーの電源が入っていないときに利用できるNVCacheを利用しています。NVCacheメモリーは、DRAMメモリー(通常のオペレーション用)とフラッシュ メモリー(不揮発性)の両方で構成されています。コントローラのバッテリが機能していれば、電源切断中にDRAMメモリに電力が供給されます。これにより、コンテンツをフラッシュメモリにコピーして無期限に保持することが可能になります。
キャッシュのコンテンツを構成する基本的な3つのパート:
- RAID構成およびメタデータ - RAIDアレイの情報(構成情報、ディスクメンバー、ディスクのロールなど)。
- コントローラのログ - RAIDコントローラで維持される複数のログファイル。デル技術者は、RAIDとハードドライブのさまざまな問題をトラブルシューティングするために、TTYログをプライマリログとして使用します。
- RAIDデータ - 各ハードドライブに書き込まれるように指定された実際のデータ。データは、ライトスルーとライトバックの両方のキャッシュポリシーモードでコントローラのキャッシュに書き込まれます。
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