IDPA DP4400 による新バックアップ基盤は、2019年11 月より本番稼働を開始。これにより、従来の課題は完全に解消されている。「特に大きいのが、バックアップに掛かる時間が劇的に短縮された点です。たとえば、旧環境で丸3 日掛かっていたバックアップ処理が、現在では7 分程度で完了します。これほどの違いがあると、かつての苦労は一体何だったのかと思いますね」と長谷川氏は苦笑する。
基本的にバックアップは日次で行っており、サーバーによって処理の開始時間をいくつかに分けてあるとのこと。「バックアップ処理の多重度が上がりましたので、以前のようにジョブの組み合わせに悩むこともなくなりました。新規サーバーの追加なども気軽に行えます。また、旧環境ではリストア作業にも大変な手間と時間が掛かっていましたが、現在では誰が作業しても1 時間程度で復旧が行えます。おかげで運用管理負担は以前の1/4 ~ 1/5 程度に減った印象ですね」と長谷川氏は語る。
圧縮・重複排除機能の効果も予想以上で、約1PBの元データが10TB 以下にまで削減されているとのこと。「メールサーバーとメールアーカイブを一緒にバックアップしていることもありますが、130 倍以上もの圧縮・重複排除率を達成できるとは驚きでした」(長谷川氏)。
加えて、もう一つ見逃せないのが、IT コスト削減への貢献だ。佐々木氏は「以前はサーバ毎にバックアップソフトウェアのライセンス更新費用や、ライセンス管理が必要でした。一方でIDPA DP4400 はデータ容量に応じたライセンスのため、サーバー個別にライセンスを管理する必要はありません。さらに、IDPA DP4400 でバックアップ環境を統合しているため、今後現場部門で新しいシステムを導入する際にも、その都度バックアップ環境を構築する必要がなくなります」と説明する。この結果、IDPA DP4400 の導入費用は約2 年で回収でき、その後はどんどんコスト削減効果が積み上がっていく予定とのことだ。
同財団では、今後もIDPA DP4400 への集約を加速し、統合バックアップ基盤としての活用を進めていく考えだ。「ワクチン製造に関わる一部システム以外のバックアップは、すべてこれで賄えると考えています。また、当財団は瀬戸内海に面していますので、DR(災害対策)環境への適用も検討していきたい」と長谷川氏。佐々木氏も「今回の取り組みでは、『最新のテクノロジーが業務を大きく変える』ということを強く実感できました。
Dell Technologies には、ぜひ今後もこうした最新テクノロジーの提案をお願いしたいですね」と期待を述べた。