• 大学情報基盤のバックアップシステムをDell EMC Avamar + Dell EMC Data Domainで統合リソース有効活用と運用負荷軽減に成功

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    • お客様名

      中央大学

    • 業種

      文教

    • 導入製品

      Dell EMC Avamar Virtual Edition
      Dell EMC Data Domain Virtual Edition

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    • 「Dell EMC Avamar Virtual Edition+Dell EMC DataDomain Virtual Editionによる統合バックアップ基盤を構築したことで、学内の情報資産を確実に守れるようになりました。
      圧縮・重複排除機能の効果も大きく、約50%の容量を削減できています」

      中央大学
      情報環境整備センター 事務部
      多摩ITセンター 事務課
      副課長
      山中 宏和 氏

  • ■ 課題

     

    学内バックアップシステムの改善に挑む

     

    1885年(明治18年)に英吉利(イギリス)法律学校として創設されて以来、次世代を担う人材の育成に取り組んできた中央大学。同大学では、建学の精神である「實地應用ノ素ヲ養フ」の下、百三十年余りに及ぶ実学教育の伝統を今に受け継いでいる。また、グローバル化時代を見据えた取り組みとして、2019年4月に国際情報学部と国際経営学部の2学部を新たに設置。さらに、外国人留学生や研究者の受け入れを図るための新施設「グローバル館・国際教育寮」を2020年4月にオープンするなど、グローバル・ユニバーシティとしての飛躍を遂げようとしている。

    その同大学の教育・研究活動をIT面で支えているのが、情報環境整備センターである。同センターでは多摩ITセンター、都心ITセンター(後楽園/市ヶ谷)の各拠点を中心に、学内の情報インフラや学生・教職員向けサービスの整備・拡充を推進。しかし、そこでは、様々な問題に直面することもあったという。

    中央大学 情報環境整備センター 事務部 多摩ITセンター 事務課 副課長 山中 宏和氏は「特に、直近の大きな課題となっていたのがバックアップです。元々私が担当しているグループでは、大学全体のネットワーク系基幹システムの運用管理を主に手がけていましたが、全体の簡素化、最適化の観点から財務経理システムや学務システム、ファイルサーバーなどの業務システム群のサーバー管理も担当することになりました。しかし、従来のバックアップは各システムで個別に行っており、ツールや運用についてもそれぞれ異なっていました。全体管理の任を受け、ユーザーからの「有事の際はITセンターが対処してくれる」という安心感への期待に応えるには、とてもこの状態のまま引き継ぐことはできませんので、バックアップ環境の早急な改善が求められました」と語る。

    それぞれの業務システム自体は、学内仮想化基盤への集約が図られているとのこと。しかし、バックアップ対象となる仮想サーバーが250台以上にも上るため、統一的なバックアップ環境がないと大幅な運用負荷増大を招くのは必至であった。

    しかも、これに加えて、もう一つ別の課題があった。多摩ITセンターの運用支援を行っている(株)SRAの永田 肇氏は「従来は仮想サーバーのバックアップに『VMware vSphere Data Protection』(以下、VDP)を用いていました。しかし、こちらも近々サポートが終了する予定のため、今後も継続的に使い続けることができません。このため、効率的に統合管理が可能な新しいバックアップ環境を構築する必要がありました」と語る

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    • 株式会社SRA
      ネットワークシステムサービス
      第1事業部 ITインフラ第1部
      主任
      永田 肇 氏

  • ■ 解決のアプローチ

     

    Dell EMC Avamar+Dell EMC Data Domainの仮想アプライアンス版を新たに採用

     

    このような課題を抜本的に解消すべく、同大学では新バックアップシステムの調達に着手。「導入に際しての要件としては、大規模バックアップに耐えられるだけの能力を有すること、圧縮・重複排除機能を装備していること、運用管理が容易であること、運用スキルを習得するための支援が得られることなどが挙げられます」と山中氏。また、永田氏も「加えて、仮想アプライアンス型のソリューションであることも求めました。ちょうど学内にバックアップデータ保存用途に購入していた『Dell EqualLogic PS6210』がありましたので、これをストレージエリアとして用いることで、既存資産の有効活用が図れればと考えたのです」と続ける。

    その結果採用されたのが、Dell EMCの圧縮・重複排除データ保護ソリューション「Dell EMC Avamar Virtual Edition」(以下、AVE)と「Dell EMC Data Domain Virtual Edition」(以下、DDVE)である。両製品とも高効率な圧縮・重複排除機能を備えている上に、一部の圧縮・重複排除処理をソース(バックアップ対象ホスト)側で行い、バックアップサーバーの枠組みを介さずDDVEへ直接データを送ることでデータ転送量の削減や時間短縮を図る「Data Domain Boost(DD Boost)」機能も装備。大量の仮想サーバー群を効率良くバックアップすることができる。

     「ハードウェアへの新規投資を行わずに済んだのは非常にありがたかったですね。導入前にはDell EMCの支援を得て事前検証も実施しましたが、機能面や性能面で問題になるような点も見受けられませんでした。」と山中氏は語る。

    その後の構築作業もスムーズに進んだ結果、AVE+DDVEによる新バックアップシステムは、2019年秋より無事本稼働を開始。これにより、運用管理を大幅にシンプル化することができた。永田氏は「現在は、バックアップポリシーを取得頻度や保存期間により大きく4パターンに整理。各業務システムの重要度や現場のニーズに応じて選んでもらっています。以前はどのタイミングでバックアップを取っているのか、あるいはきちんとバックアップが取られているのかも十分に把握できないような状況でしたから、学内バックアップの全容を『可視化』できた意義は大きいですね」と語る。AVEやDDVEの操作スキルについても、Dell EMCが日本でも提供するエデュケーションサービスのトレーニングコースを活用することで、大きな苦労もなく身に付けられたとのことだ。

  • ■ 成果

     

    バックアップにまつわる課題をトータルに解消し、
    「安心」を提供する「安全」を確立

     

    AVE+DDVEの導入メリットも、様々な場面で現れている。まず一点目は、圧縮・重複排除機能による容量削減効果だ。「仮想化基盤内では、WindowsやLinuxなど様々な環境の業務サーバーが稼働していますが、概ね約50%程度の圧縮・重複排除率を達成できています。限られたストレージリソースを有効に利用できる仮想アプライアンス版でもこの効果が得られるのは、非常にありがたいですね」と永田氏は満足げに語る。

    加えて、バックアップの信頼性も大きく向上した。VDPを利用していた頃には、大容量仮想マシンのバックアップがなかなか終わらない、もしくは失敗するなどのトラブルもあったという。こうした際には、仮想マシン全体のイメージバックアップを諦め、重要なデータだけをファイル単位で抜き出してバックアップするなどの対応が必要だった。しかし現在では、容量が6TBに達するような大容量仮想マシンでも、全く問題なくイメージバックアップが行えるとのことだ。

     「運用を担当する立場としては、心理的な負担が減った点も大きいですね。バックアップに課題を抱えているような状況では、障害対応やメンテナンスのためにシステムを止めることも安全とは言えず、非常に不安でした。もし、再起動できないような事態が発生したら、学内の業務にも大きな影響が出てしまいます。その点現在では、AVE+DDVEに確実にデータが保全されていますし、アップデート作業の際などもその都度バックアップを行うことで予期せぬトラブルに備えられます」と永田氏は語る。

    また、山中氏も「業務的な観点から言えば、問題が発生した際の復旧手順や所用時間などを、明確にユーザー部門に示せるよう『可視化』された点も見逃せません。どのタイミングで業務が再開できるのかが分かれば、ユーザー側でも安心してそれに応じた対策を取ることができます。これも、しっかりとしたバックアッププロセスを確立できたことの成果ですね」と語る。

    ユーザーの安心感に応える安全な仕組みを築けたことを経て、今後はバックアップ対象を拡大し、新学部開設により発生するであろう新たなニーズも含め、統合バックアップ基盤としての活用をさらに加速していくとのこと。さらに、クラウド上で稼働するシステムのバックアップも検討していく考えだ。「たとえば、現在利用しているサービスの費用が高騰し、コスト面で見合わなくなるケースも想定されます。こうした際に、学内にバックアップデータがあれば、より安価なサービスへの乗り換えも行いやすい。また、せっかく大容量のバックアップ基盤を構築したわけですから、現在はクラウドに送っているファイルサーバーのバックアップデータを学内に引き戻すといったことも考えられます」と山中氏。AVE+DDVEの活用シーンも、ますます拡がっていくことになりそうだ。

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