クライアントPCの運用管理負担やセキュリティ強化が課題に
このように、意欲的に事業を展開する同社だが、その一方で解決すべき課題もあった。まずその一つは、社内で稼働するクライアントPCの運用管理である。同社では現在約180台のクライアントPCが稼働しているが、かつてはPCが必要になる度に個別に調達していたため、メーカーや機種の異なる製品が混在していた。
「社員が日々の業務で使う『Microsoft Office』(以下、Office)についても、ボリュームライセンスで購入したもの、あるいはPCにプリインストールされていたものと、調達方法が統一されていませんでした。その結果、バージョン管理が非常に煩雑であった上に、使い方が微妙に異なることから、ユーザー同士でのナレッジシェアにも支障を来していました」と坪井氏は振り返る。
更新期限を迎えたPCの入れ替えについても、基本的にはすべて手作業で行っていたとのこと。古いPCからユーザーデータを取り出した後、新しいPCのセットアップや必要なソフトウェアのインストールを行い、ユーザーデータを戻すといった作業を、すべてデジタル推進課内で実施していたのである。「当部門もそれほど人員が多いわけでは無いので、こうした価値創出につながらない作業に時間やリソースを取られるのは、あまり好ましいことではありません」と坪井氏は語る。
これに加えて、大きな課題となっていたのが、自動車業界全体で進められているセキュリティ強化への対応だ。近年では自動車業界でも、取引先などを狙ったサプライチェーン攻撃が多発し、様々な被害が報告されている。そこで、自動車工業会/自動車部品工業会を中心に、「サイバーセキュリティガイドライン」を策定するなど、様々な取り組みを進めている。「当社においても、お客様からセキュリティチェックシートへの回答を求められる機会が増加しています。こうした動きに対応していくためには、クライアントPCについても、よりセキュアな環境を目指していく必要があります」と坪井氏は語る。