高い技術力を使ってAIソリューションを自社開発
エクシオグループ株式会社(以下、エクシオグループ)は、大手通信各社の通信工事事業をビジネスの柱とし、近年では社会インフラ事業やシステムソリューション事業にも積極的に事業展開して、この3つの事業を柱として成長してきた。また、これら3つの事業のそれぞれの強みを融合することで、新たな価値を生み出すことを目指し、「Engineering for Fusion」というコンセプトで複合的なビジネス提案にも力を入れている。
AIソリューションの開発にも力を入れており、2017年10月には、AIの構築・コンサルティングやソリューションの提供を行うセカンドサイトアナリィティカ株式会社との戦略的協業を開始。AIやIoTといった技術をグループ内で開発・実用化し、自らの事業に適用することで、より実践的なソリューションを社内サービスだけでなく、社外にも提供している。
その1つが、社内サービスとしても利用し、外販もしている「安全品質AIソリューション」だ。通信工事の際には、作業車両が適切にカラーコーンやコーンバーで囲われているか、作業者がしっかりと安全具を装着しているかなどを確認し、工事後はしっかりとした品質で工事が行われているかを確認する必要がある。この「安全品質AIソリューション」は、これまで現場から送られてきた写真などを人が見て判断していたものをAIが写真判定し、自動化するものだ。
「全国で1日に1万件以上の工事がある中で、人に頼った判定には限界があります。AIを使って作業者を待たせることなく判定し、判定の精度も上げられるのではないかと考えました」とエクシオグループ執行役員ビジネスソリューション事業本部開発本部長兼DX戦略部の大毛忠文氏は話す。実際、人力に頼って写真の判定を行っていた際、データのアップロードから判定結果が返ってくるまでに数分以上かかっていたという。
また、エクシオグループDX戦略部担当課長システムイノベーション担当の金井俊氏は、開発当時を次のように振り返る。「技術力の向上と蓄積のため、一からAIのモデルを作っていきました。施工不良はほとんどないため、AI学習に必要なエラーの状況を示す画像データが極端に少ない。また、現場によって異なる車両やコーンが使われているため、敢えて不安全な状況を作って写真を撮り、さまざまなパターンを学習させることに苦労しました」。