• お客様の事例

    エクシオグループ株式会社

    • 通信工事の安全・品質確認をAIによる写真判定で実現するため、仮想GPU基盤を構築

    • ビジネス課題

      通信工事事業などを行っているエクシオグループは、1日1万件以上の工事に際して、工事の安全確認や品質確認を人に頼った判定で実施していたが、AIで行う写真判定ソリューションを開発しプライベートクラウドでの運用に変更しようと検討していた。

    • 導入効果

      • 数分以上かかっていた判定結果が3秒以下に
      • GPU割り当ての変更などを柔軟に行える
      • ランニングコストを大幅に削減
      • 作業者を待たせることなく効率的な作業が可能
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        「今回、自社専用AI基盤を自前化することで、GPUの使い方の自由度が高まり、信頼性を高めることもできるようになりました。今後も、パブリッククラウドとプライベートクラウドの上手な組み合わせに取り組みたい」

        エクシオグループ株式会社
        執行役員
        ビジネスソリューション事業本部 開発本部長 兼 DX戦略部
        大毛 忠文氏

    • 高い技術力を使ってAIソリューションを自社開発

      エクシオグループ株式会社(以下、エクシオグループ)は、大手通信各社の通信工事事業をビジネスの柱とし、近年では社会インフラ事業やシステムソリューション事業にも積極的に事業展開して、この3つの事業を柱として成長してきた。また、これら3つの事業のそれぞれの強みを融合することで、新たな価値を生み出すことを目指し、「Engineering for Fusion」というコンセプトで複合的なビジネス提案にも力を入れている。

      AIソリューションの開発にも力を入れており、2017年10月には、AIの構築・コンサルティングやソリューションの提供を行うセカンドサイトアナリィティカ株式会社との戦略的協業を開始。AIやIoTといった技術をグループ内で開発・実用化し、自らの事業に適用することで、より実践的なソリューションを社内サービスだけでなく、社外にも提供している。

      その1つが、社内サービスとしても利用し、外販もしている「安全品質AIソリューション」だ。通信工事の際には、作業車両が適切にカラーコーンやコーンバーで囲われているか、作業者がしっかりと安全具を装着しているかなどを確認し、工事後はしっかりとした品質で工事が行われているかを確認する必要がある。この「安全品質AIソリューション」は、これまで現場から送られてきた写真などを人が見て判断していたものをAIが写真判定し、自動化するものだ。

      「全国で1日に1万件以上の工事がある中で、人に頼った判定には限界があります。AIを使って作業者を待たせることなく判定し、判定の精度も上げられるのではないかと考えました」とエクシオグループ執行役員ビジネスソリューション事業本部開発本部長兼DX戦略部の大毛忠文氏は話す。実際、人力に頼って写真の判定を行っていた際、データのアップロードから判定結果が返ってくるまでに数分以上かかっていたという。

      また、エクシオグループDX戦略部担当課長システムイノベーション担当の金井俊氏は、開発当時を次のように振り返る。「技術力の向上と蓄積のため、一からAIのモデルを作っていきました。施工不良はほとんどないため、AI学習に必要なエラーの状況を示す画像データが極端に少ない。また、現場によって異なる車両やコーンが使われているため、敢えて不安全な状況を作って写真を撮り、さまざまなパターンを学習させることに苦労しました」。

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        「GPUパススルー方式ではなく、仮想GPU化をしたいと考えている中で、デル・テクノロジーズが最適な提案をしてくれて、vGPUプロファイルの割り当て方法などを手厚くサポートしてくれたのが決め手になりました」

        エクシオグループ株式会社
        DX戦略部 担当課長 インフライノベーション担当
        寺内 崇氏

    • 仮想GPU(NVIDIA vGPU)に対応したプライベートクラウドの導入を検討

      開発直後はパブリッククラウドで運用していた「安全品質AIソリューション」だが、現在は大量の写真検査の処理が必要で、低コストでリアルタイムに判定を実施する必要があるため、自社データセンターでの運用に変更することになった。また、日々変化するAIモデルに対して、GPU割り当ての変更などはオンプレミスのほうが柔軟に行えるという利点もあると考えたという。

      そのため、GPUサーバーとしてGPUに特化したGPU専用機器では、運用やメンテナンスに専用管理者を用意する必要があるため、汎用的に利用できるIAサーバーのPowerEdge R740の採用を決めた。「事前にGPUに関して調べていましたが、GPUの特性について調べるにも限界がありました。集約効率を高めるため、GPUパススルー方式ではなく、仮想GPU方式(NVIDIA vGPU)を採用したいと考えている中で、デル・テクノロジーズが最適な提案をしてくれて、vGPUプロファイルの割り当て方法などを手厚くサポートしてくれたのが決め手になりました。2021年12月に構築したCAD/BIM on VDIでもPowerEdgeを使っていますが、用途に合わせたモデルとしてNVIDIA A40 GPUを勧めてくれて、信頼ができ、困ったときに寄り添ってくれるメーカーだと感じました」とエクシオグループDX戦略部担当課長インフライノベーション担当の寺内崇氏は話す。

      仮想GPUに初めて挑戦したエクシオグループだったが、GPUサーバーの設定やGPUプロファイルの設定などについてデル・テクノロジーズが実機を使って細やかにサポートすることによって、1か月程度でスムーズに構築できたという。

    • システム構成図

    • 作業者を待たせることなく効率的な作業を実現

      検査員が写真検査を実施していたが、安全品質AIソリューションをプライベートクラウドに置くことによって、長くても3秒以内には表示されるようになった。作業者を待たせることがなくなり、しっかりと「安全品質AIソリューション」を使って効率的な作業が行えるようになっているという。

      また、「安全品質AIソリューション」を使うことによって、工事件数の多さから数日かかることもあった品質判定も即座に行えるようになり、品質確認のために再び現場に戻って写真を撮り直すといったこともなくなっている。

      「AIは今後発展していく技術であるため、パブリッククラウドとプライベートクラウドの両方で社内実績を作る必要があると考えていますが、今回はプライベートクラウドを使うことによって効率化重視の運用ができていると思います。自社設備に置くことでGPUの使い方の自由度が高まり、信頼性を高めることもできるようになりました。また、結果的にランニングコストを大幅に抑えることができました」と大毛氏は話す。

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        「技術力の向上と蓄積のため、一からAIのモデルを作っていきました。施工不良はほとんどないため、AI学習に必要なエラーの状況を示す画像データが極端に少ない。また、現場によって異なる車両やコーンが使われているため、敢えて不安全な状況を作って写真を撮り、さまざまなパターンを学習させることに苦労しました」

        エクシオグループ株式会社
        DX戦略部 担当課長 システムイノベーション担当
        金井 俊氏

    • 今後もAIソリューションを増やしていく

      今後も、事業部ごとの業務に合わせてAIソリューションを増やしていきたいと話す大毛氏は、たとえば設計業務にAIを活用して自動化していくことなども考えているという。

      「工事現場などのリアルな世界とそれを支える各種ツールやソリューションが密に連携するためには、プライベートクラウドとパブリッククラウド、エッジデバイスを連携させ、さまざまなことに使えるシステム基盤を作っていく必要があると考えています。それによって、災害が発生したときにも柔軟に対応できるようになるかと思います。デル・テクノロジーズには、ハードの強みを活かしたDXを支えるソリューションの提供や、引き続きの手厚いサポートを期待しています」と最後に大毛氏は話してくれた。

      2019年にDX戦略部を立ち上げ、さらなるIT技術の活用を行ってきたエクシオグループは、確かな技術力を背景に今後もシステムソリューションを作り上げ、従来からの通信工事事業や社会インフラ事業とともに新たな価値を生み出していく。

    • 金井俊氏(左)、大毛忠文氏(中央)、寺内崇氏(右)

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    • お客様名 : エクシオグループ株式会社

      業種 : 建設業 

      場所 : 日本/東京