1人1台端末環境が個別学習と共同学習の双方にメリット
福岡市立の小中学校ではDell Chromebook 3100 2-in-1を活用しながら、前述のGoogle ClassroomやGoogle Meetはもちろん、さまざまなGoogleのアプリを授業に取り入れている。Web上の共同編集機能などを用いてコミュニケーションを容易に行うことができるアプリによって教育の可能性を格段に広げられるのはChromebookならではの強みだろう。特に共同学習の観点から大きな効果をもたらしている。
「例えばグループで調べ物学習をする際にもGoogleスライド™にてプレゼンを作成し、それぞれが追記し合ったりコメントを書き込んだりできるので便利です。Googleフォーム™などでアンケートも簡単に取れるので、例えば道徳であれば教員が授業前後で子どもたちの意見や考えがどのように変化したのかを調べることも簡単に行えるようになります」(永田氏)
またこれらに加えて、福岡市独自の学習の仕組みを組み合わせて教育に取り組んでいる。その例が、解説動画やAIドリルなどを用いた「福岡スタイル」という授業スタイルだ。AIドリルとは、児童・生徒一人ひとりの習熟度に合わせて問題内容を自動的に提示して学習できるドリルであり、正にGIGAスクール構想の1人1台端末環境と相性の良い方式といえる。
「福岡市では、5教科を中心とした1000本を超えるオリジナルの授業解説動画を教育専用クラウドで共有し、各校の教員が自由に使えるようにしています。算数を例にあげますと、まず授業の導入として方程式の解き方など単元ごと5~10分の動画を流し、子どもたちの興味関心を高めた後、授業の中盤では共同学習により理解を促します。そして最後にAIドリルによる授業の振り返りをするという方式を取り入れています」(西門氏)
なお小中学校へのPC導入に際して、子どもたちが使うことができる機能に制限をかけるケースもあるが、福岡市では“必要不可欠な制限はする一方、なるべく無駄な制限はしない”という方針で環境設定を行ったことも、教育ICTの効果的な活用につながっている。
「“制限されているから授業ができない”と先生に言われないように、環境設定には検討を重ねました。予算をかけて導入するからには、子どもたちにChromebookを使いこなしてほしいというのが導入担当者全員に共通する想いでした。もちろん悪質なサイトなどから子どもたちを守るために、必要最低限の制限は行っています」(永田氏)