12台の機器をシンプルに統合 運用管理負荷も大幅に軽減
こうして採用されたPowerScaleは、2021年6月より本番稼働を開始。実際の導入作業、また旧環境からのデータ移行作業は、PowerScaleの豊富な構築経験を有するテクマトリックス(株)が担当。「本番稼働後の保守・サポートも含め、手厚い支援を提供してもらえましたので、スムーズに導入を進められました」と石森氏は語る。
システム構成面での工夫としては、本番環境用にハイブリッドタイプの「Dell EMC Isilon H500」、遠隔バックアップ用にアーカイブ用途向けの「Dell EMC Isilon A200」と、異なるモデルを利用している点が挙げられる。石森氏はその理由を「災対サイト側の環境はそれほど性能を要求されませんので、このような構成を取ることでコストを抑えられるのは大きなメリット。もし、より高い性能が必要になった場合も、PowerScaleなら既存のA200にH500を増設することで対応できます」と続ける。
この結果、各部門で稼働していた12台の個別ファイルサーバーを1クラスタのPowerScaleに統合することに成功。運用管理負担も大幅に軽減されることとなった。「以前は各ファイルサーバーの障害対応などに追われるケースも多かった。しかし現在では、PowerScaleが安定稼働してくれているおかげで、全く手が掛からなくなっています」と木本氏は満足げに語る。
さらに大きいのが、ユーザーからのリクエストによりスピーディに対応できるようになった点だ。「制作業務に使用するデータも年々大容量化していますので、現場からは頻繁に『もっと多くの容量が欲しい』との要請が寄せられます。しかし従来のようなサイロ化した環境では、すぐに増設・拡張を行うわけにもいきません。その点、PowerScaleであれば、単一のストレージプールからすぐに必要な領域を提供できますし、環境全体をリニアにスケールさせることもできます。今後のビジネスを考えれば、こうした環境を整備できた意義は大きい」と木本氏は力強く語る。