全社仮想化基盤の再構築に着手 属人化の解消が重要な課題に
このように躍進を続ける同社において、今回実施されたのが、全社仮想化基盤の再構築プロジェクトだ。元々同社では、各工場にそれぞれシステムを導入していたが、ITインフラの最適化を図るべくこれをデータセンターに集約。生産管理システムや受発注管理システム、RDS(リモートデスクトップサービス)サーバーなど、主要な業務システムをこの全社仮想化基盤上で稼働させていた。
平井精密工業総務部システム係長 出口雅之氏は、旧環境における課題を「まず一点目は、属人化をいかに解消するかという点です。3 Tier構成だった旧環境では、サーバーやストレージなどの運用管理を個別に行う必要があった上に、VMwareのバージョンアップにも相当な手間と時間が掛かっていました。とはいえ、長らく私が『一人情シス』状態で管理してきた経緯もあり、誰でも作業ができるわけではありません。今後の技術継承を考えれば、こうした属人化の状態から脱却する必要があると感じていました」と語る。
また、自然災害や大規模障害などに備えるためのBCP環境についても、改善の余地があったとのこと。「バックアップは行っていたものの、万一の際にきちんとシステムが復旧できるかとなると十分な確証が持てない。そこでこの点についても、より確実性の高い仕組みを用意したいと考えました」と出口氏は続ける。
さらに、その他にも、サポート体制の改善や性能・リソース要求の拡大、新たなビジネスニーズへの対応など、様々な点が課題として認識されていたとのこと。同社では、これらを抜本的に解消すべく、ベンダー各社に新全社仮想化基盤の実現に向けた提案を依頼。その結果、採用されたのが、ハイパーコンバージド・インフラストラクチャ(以下HCI)製品「Dell VxRail」(以下、VxRail)を中心とするデル・テクノロジーズの提案であった。