• お客様の事例

    株式会社カラー:VxRail導入事例

    • 映像企画制作会社のあらゆる業務をリモートで実現するための仮想化基盤をDell VxRailによって実現

    • ビジネス課題

      株式会社カラー(以下、カラー)は、日本を代表する映像制作企画会社であるが、映像制作業務は、作業に関わる人員や必要なリソースの変動が激しく、新たなPCの準備(キッティング)とPCが不要になったときの廃棄に手間とコストがかかるという課題を抱えていた。そこで同社は、PCの運用負荷作業を軽減するために仮想デスクトップ基盤の導入に取り組むことになった。

    • 導入効果

      • 仮想デスクトップを作成するだけで新たな作業環境の準備が完了、データ消去・廃棄の手間も不要に
      • Mayaや3ds Max、Blenderなどの3DCGソフトも快適に動作し、ライセンス料も低減
      • 5Gを活用したリモート制作環境の準備が完了
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        「新規プロジェクトに伴うPCの準備と廃棄に手間とコストがかかるという課題に長年悩んできました。その課題を「VxRail」を利用した仮想デスクトップ基盤により解決できたことはとてもありがたいと思っています」

        株式会社カラー
        執行役員 技術管理統括
        鈴木 慎之介 氏

      • 株式会社カラー
        執行役員
        技術管理統括
        鈴木 慎之介氏

      • 株式会社カラー
        システム部
        システムエンジニア
        三澤 一樹氏

    • 大ヒット映画を連発する映像企画制作会社

      株式会社カラーは、2006年に設立された映像企画制作会社である。庵野秀明氏が代表取締役社長を務める同社は、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズを制作し、「シン・ゴジラ」「シン・ウルトラマン」などにも関わり、社会現象となるほどの大ヒットを記録している。同社の作品は海外でも高く評価されており、まさに日本を代表する映像制作集団といえる。

      映像制作業務は、その性格上、外注作業も多く、作業に関わる人員や必要なリソースの変動が激しい。そのため、同社の執行役員であり、技術管理統括を務める鈴木慎之介氏は、新規プロジェクトに応じて新たなPCを用意し、業務に使えるようにするキッティングと、PCが不要になったときの廃棄に手間とコストがかかるという悩みを抱えていた。PCをうかつに廃棄して、制作中の映像素材などが漏れてしまっては大変なことになる。「ハードディスクは物理的に破壊するなど、セキュリティ上、データが盗みとられないようにするにはコストがかかります」と鈴木氏は語る。

    • 作業量の変動によるPCの準備や廃棄にともなう手間とコストが課題

      カラーの課題は、作業量の変動によるPCの準備や廃棄にともなう手間とコストが大きいことである。そこで、鈴木氏とシステム部の三澤一樹氏は、2019年からそうした課題を解決する新たなシステムの検討を開始した。しかし、翌2020年春に、新型コロナウイルスの流行が始まり、出社率を下げるように要請されたことで、画面転送型のリモートデスクトップソリューションを急遽導入することになった。このソリューションの導入により、大半の業務をリモートから行うことが可能になった。鈴木氏は、当時のリモートデスクトップソリューションについて、「まず、コーポレート系の管理職については、そんなにシビアな使い方をするようなものがなかったので、問題はありませんでした。クリエイティブ職の方は、さらにモデラーとアニメーターに分けられますが、モデラーの方々もそんなに問題ありませんでした。シビアになるのは動きのあるアニメーションですね。だからアニメーターの方々に関しては会社に出社して作業をしてもらっていました」と説明する。

    • 仮想GPU技術を採用した仮想環境基盤の導入を決定

      2020年に行われたリモートデスクトップソリューションの導入が一定の効果をあげたことで、鈴木氏と三澤氏は、さまざまな職務の人が自由に働き方を選べるような環境を従業員に提供したいと考えた。

      そうした同社の要望に応えて、以前から同社と付き合いがあった図研ネットウエイブが提案したのが、VMwareの仮想化ソリューションとNVIDIAの仮想GPU技術を採用した仮想デスクトップ環境の構築である。鈴木氏は以前から仮想デスクトップについて関心を持っており、アプリケーションのコスト的にも仮想化が有利だと考えていたという。「仮想デスクトップを選んだ理由は、画面転送型のソリューションをどうしても使いたかったからです。我々は3DCGを取り扱いますが、その3DCGを作るにはいろいろなソフトウェアが必要になります。有償ソフトウェアもありますが、会社で業務を行う際は、ライセンスは会社だけ持っていればよかったのですが、自宅や外出先でも作業を行うことになった場合、そのライセンスを拠点ごとに用意するのはとてもコストがかかります。それなら、画面転送で会社にある仮想デスクトップに対して接続するソリューションのほうがコストパフォーマンス的にもよいと判断しました」と鈴木氏は語る。また、リモートでの作業については、セキュリティの担保も重要になる。上映前や情報解禁前の制作物が外部に漏れてしまっては、大変なことになるからだ。

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        「『VxRail』はHCIとして信頼性に定評がありSSD容量のスケールアップなどもしやすいことと、運用管理の手間がかからないことを高く評価しています」

        株式会社カラー
        システム部 システムエンジニア
        三澤 一樹氏

    • ハードウェアとしてデル・テクノロジーズの「Dell VxRail」を採用

      カラーの要望を受けて、図研ネットウエイブが提案したシステムは、デル・テクノロジーズのハイパーコンバージドインフラストラクチャ(以下、HCI)「Dell VxRail V570F」だ(図参照)。HCIにはNVIDIAのハイエンドGPU「NVIDIA A40」が搭載されており、NVIDIAの仮想GPU技術により、仮想デスクトップ上でvGPUを利用できる。仮想デスクトップシステムとしては、VMware Horizonが採用されている。A40を選んだ理由について、三澤氏は次のように語った。「保守期間が5年ありますので、その間性能が不足しないように、それに見合った性能のものを選びました」また、シンクライアント端末としてデル・テクノロジーズの「Wyse」端末もあわせて導入している。

      図研ネットウエイブがデル・テクノロジーズの「Dell VxRail」を選んだ理由は、VMware Horizonの利用実績が豊富で、「VxRail Manager」により各コンポーネントすべてをワンクリックアップデートができるためだ。これによって、運用管理負荷を大きく下げられることを高く評価したという。

    • パフォーマンスや管理のしやすさは期待通り順次業務を仮想デスクトップ上で開始

      VxRailを利用した仮想デスクトップ基盤は、2021年末にほぼ導入が完了し、順次業務を仮想デスクトップ上で開始しているという。鈴木氏は現状について、「まずは、そこまでマシンスペックを必要としない管理マネージメント系、我々のシステム系が先行して仮想デスクトップに移行しました。次に、Adobe Creative CloudなどもVDI上で利用を開始してクリエイティブな作業にも十分に使える感触を得ています。移行もスムーズに進んでいて、利用者からの反応も良好です」と語る。

      今回の仮想デスクトップ基盤の導入は、クリエイター、マネージメント、ITエンジニアのそれぞれにメリットがあったが、中でも大きいのが、ITエンジニア、管理者側のメリットだと二人は声を揃える。「PCのキッティングが不要で、セキュリティも担保されており、リモート作業ができるということを考えると、我々管理者のコストを大幅に下げるという意味では最高のソリューションだと思います」(鈴木氏談)「物理パソコンだと、在庫があれば在庫を使ってキッティングして設置できるのですが、今のこの御時世ではパソコンもなかなか入ってこず、最大で3ヶ月くらい待ってもらう状況でした。仮想デスクトップを導入してからは、数十分あればキッティングまで完了しますので、この時間と管理コストの削減は大きなメリットです」(三澤氏談)

      今後は、クリエイターも仮想デスクトップ上で作業を行うように順次移行予定とのことである。クリエイターは、Mayaや3ds Max、Blenderなどのクリエイティブツールを使って業務を行うが、こうしたツールは処理の負荷が高く、GPUによって高速化される。カラーが導入したVDI環境には、NVIDIAの仮想GPU技術が採用されているため、こうしたクリエイティブツールが快適に動く環境を実現できる。カラーは、本システムの本格導入の前に試験的な導入を行ったが、その際行ったクリエイティブツールの動作検証においても、十分満足できるパフォーマンスが得られたという。

    • 今後はレンダーノードの統合とバーチャルワークスペースの実現を目指す

      鈴木氏は、今回実現した「リモート制作環境」の次の目標として、「レンダリングを行うレンダーノードの統合と集約化」およびリモートでの共同作業を加速する「クリエイティブバーチャルワークスペース」の二つを挙げた。「我々は映像を作る際にレンダリングを行いますので、その処理を行うレンダーノートを保有していますが、その数も変動させたいという要望があります。NVIDIAのソリューションとして、GPUを複数枚搭載したGPUレンダーサーバーがあると伺っております。GPUレンダーノードを統合、今回採用したvGPUを活用して、時期によってはリソースを変動することも可能です。そして、今回のvGPUの仮想デスクトップ環境と一緒に利用すれば、リモートでデータを外部に出さずに大容量データの読込や書込、ファイルアクセスを高速化してより高速にレンダリングを行えるようになると思います。絵作りでは一度出してみて、それを見てまた直すということが多いので、時間短縮により制作期間中に何度もレンダリングを実行できる機会を増やせるということがとても重要です。それによってクリエイティブのクオリティが向上します」クリエイティブバーチャルワークスペースは、リモートで複数のクリエイターが同じ仮想空間に入り、リアルタイムで共同作業を行うというものであり、NVIDIA Omniverseを利用することでそうした環境が実現できる。「日々クリエイターと話をしていますが、現在はきちんと分業制にしていることが多く、それぞれのパートを繋ぐツールも開発はしていますが、それがすごく効率がいいかというところの議論もあります。やはり、仮想空間にクリエイター達が入って、リアルタイムにコラボレーションして視覚的に作り上げていけるというのはとてもいいなと思います」

      バーチャルワークスペースは色々な業界で使われるようになってきており、アニメ業界、映像制作業界でも注目を集めている。そこには大きな可能性があると鈴木氏は語る。「アニメ業界、映像制作業界では、どういうイメージでこういったものが、使えるようになるのかということにはとても興味がありますので、業界の人たちと一緒に話合って推進していきたいですね。デル・テクノロジーズの優れた製品のおかげで、期待した以上の快適な仮想デスクトップ環境が実現できました。今後もデル・テクノロジーズには期待しています」

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    • お客様名 : 株式会社カラー

      業種 : 映像制作

      場所 : 日本/東京

      © カラー 『シン ・エヴァンゲリオン劇場版 』 Blu-ray&DVD
      キングレコードより発売中