運用管理の効率化と省スペース化を実現 新たなDX施策の展開も容易に
新LGWAN系仮想化基盤が導入されたことで、同市にも様々なメリットが生まれている。まず一点目は、インフラ環境のシンプル化と運用管理の効率化を実現できた点だ。従来は5台あった物理サーバーを2ノードのWindows Server HCIに集約したことで、サーバールームの省スペース化/省電力化が実現。また、運用管理についても、無償の管理ツールである「Windows Admin Center」(以下 WAC)で環境全体を統合管理できるようになった。ちなみに、デル・テクノロジーズでは、WACの拡張機能である「OpenManage Integration with Microsoft Windows Admin Center」も提供している。これを利用すれば、ソフトウェアだけでなくハードウェアもWACで一元管理することが可能だ。「インフラの管理が容易になれば、ナレッジの共有や引継ぎなども行いやすくなります。現在は閉ざされたLGWAN環境ですが、WACは業務効率化に寄与してくれるものと見込んでいますので、セキュリティを確保したうえで将来的には検討していきたい」と宮坂氏は語る。
また、インフラの信頼性・可用性も大きく向上。従来環境でも大きなトラブルなどは無かったが、基本的に単体サーバーで各システムが稼働していたため、万一の障害による停止の際、復旧手順の多さや復旧までに要する時間に不安があった。しかし現在では、ホットスタンバイによる冗長化構成が取られているため、通常時でも障害時でも常に安定的にシステムを稼働させることができる。パフォーマンス面でも十分な能力が確保されており、快適に業務が行えているとのことだ。
加えて、もう一つ見逃せないのが、今後の行政DXへの貢献だ。現在同市では、個別物理サーバーで稼働中の他の業務システム群を、今回の新LGWAN系仮想化基盤へ集約する取り組みを進めている。これにより、インフラ環境のさらなる最適化やコスト削減を進めると同時に、行政DXに関わる取り組みについても今回の基盤を積極的に活用していく考えだ。小林氏は今後の展望を「庁内の各部門からも、いろいろとDXに関する相談を受けています。そこで新たなシステムが必要となった際にも、今回の基盤を使えばタイムリーに対応できます。市民サービス向上や庁内業務の効率化に向けて、ぜひ有効に使っていきたいですね」と述べた。