システムコストを約20~30%削減 新たなニーズにも迅速な対応が可能に
こうして導入されたプライベート・クラウド基盤は、2020 年8 月より本番稼働を開始。その第一弾として、包帯などの消耗品の購入に用いられる医療材料一括調達システムの移行を実施。今後も医薬品一括調達システムや人事・給与システム、資産管理システムなど、数多くの部門システムを順次集約していく予定だ。また、これに加えて、内視鏡システムなどの一部医療用システムについても、VxRail へ移行するとのこと。「本格的な導入効果が表れるのは、まだまだこれからという段階ですが、移行が完了した暁には部門サーバーの台数を大幅に削減できます。データセンターのファシリティコストなども減らせますので、20~30%のコスト削減を見込んでいます」と尾﨑 氏は語る。
さらに、もう一つ見逃せないのが、新たな業務ニーズによりスピーディに対応できるようになった点だ。「以前のように個別の物理環境でシステムを構築していたのでは、サーバーの調達だけで1 か月以上掛かってしまいます。その点、プライベート・クラウド基盤を利用すれば、この期間を丸ごと短縮することができます。現場のユーザーニーズにタイムリーに応えていくという面でも、新たな環境を構築した意義は大きい」と尾﨑 氏は力強く語る。
VxRail の様々な機能も、業務効率化や最適なインフラの実現に大きく貢献している。今回はオールフラッシュモデルの「Dell EMC VxRail E560F」×4 ノードを採用しているため、各種の業務ソフトウェアを快適に動作させることが可能。「特に医療材料/医薬品一括調達システムは、各病院で必要となる医療材料/医薬品を職員が毎朝一斉に入力を行い、夕方には各病院に納品される仕組みになりますので、ストレスなく・遅延なく・トラブルなく利用できることが非常に重要です」と尾﨑 氏。また、オールフラッシュモデルでは、圧縮・重複排除機能も利用できるため、今後システムやデータが増加していった際にも有効にリソースを活用することができる。
同社では、プライベート・クラウド基盤のメリットを早期に発揮させるべく、各部門システム群の移行を急ぐ構えだ。さらに将来的には、マルチクラウドの活用も見据えている。「プライベート/パブリックの別を問わず、それぞれの要件に合った環境に自由にシステムを配置できるような姿を目指していきたい。Dell Technologies にも、その実現に向けた提案を期待しています」と尾﨑 氏は展望を述べた。