選択ガイド: ハードドライブとソリッド・ステート・ドライブ

エンタープライズシステムのユーザーにとって最大の懸念事項は、データのセキュリティとデータを保存するメディアの信頼性です。

デルでは、エンタープライズ向けハードドライブおよびソリッド・ステート・ドライブ製品をサーバおよびストレージシステムのラインナップに加える際に、予め厳密な検証プロセスを実施しています。デルは、ドライブのパフォーマンス、負荷サイクル、平均故障間隔(MTBF)、および回転振動について、エンタープライズレベルで求められる仕様を厳密に定めています。こうして定められた仕様を確実に満たしたものだけが、お客様の用途にふさわしい製品として認定されます。

パフォーマンスとコストはHDDおよびSSD製品によって異なります。アプリケーションへの影響を評価する際は、以下の各タブを参照してください。

ハード・ディスク・ドライブ(HDD)とソリッド・ステート・ドライブ(SSD)には、エンタープライズのお客様が抱えるさまざまなニーズに対応するために、複数のバリエーションが用意されています。このバリエーションには、次のものが含まれます。

ソリッドステートSASおよびSATAドライブ:
ランダムIO用の高速ストレージメディア。

10,000 rpmおよび15,000 rpmのSASハードドライブ:
パフォーマンス重視のアプリケーションに対応したパフォーマンスと可用性を実現。

7,200 rpm SASおよびSATAハードドライブ: 容量重視のアプリケーションに対応した大容量かつ1 GBあたりの優れたコスト効率を実現。

エントリードライブ: 使用率が低く、総ドライブ数が限られているアプリケーションで使用される手頃な価格のドライブ。使用制限があるため、これらのドライブをご利用いただけるシステムおよび構成の数は限られています。

瞬時スクランブル消去(ISG): 第14世代に標準で搭載されている新機能

  • 業界標準の文書では、「暗号化」の用語が使用されますが、非公式には、「瞬時消去」、「瞬時セキュリティ消去」、「瞬時スクランブル消去」などの用語が使用されます。(システムまたはアレイの)廃棄または再利用を目的として、第14世代には、HDDおよびソリッド・ステート・ドライブからお客様のコンテンツをオプションで完全に消去する機能が備わっています。
  • ドライブデータの消去手法は、次のいずれかに分類されます。
    • 上書き – ドライブ全体を0で上書きします(この手法は、ドライブの容量に応じて時間がかかります)。
    • スクランブル – ドライブでサポートされている暗号化削除機能を使用してデータを消去します。ISEドライブでは、内蔵メディア暗号化エンジンと内蔵データ暗号化キーを使用してデータが自動的に暗号化されます。このタイプのドライブは、デルで「瞬時スクランブル消去」と呼ばれているT10またはT13暗号化サニタイズコマンドをサポートしますが、TCG機能はサポートしていません。
  • ISEの仕組み: 当然のことながら、この機能を使用すると、ドライブ上のすべてのデータを簡単に使用不能にできます。ドライブに対して、秘匿されている内蔵データ暗号化キーを完全に破棄し、過去のキーとは関連性のない新しいキーを自己生成し、内蔵暗号化/復号化エンジンを新しいキーを使用して開始するように指示します。その時点から、メディア上のデータは意味をなさないものになります(「スクランブルされています」)。ドライブは、その透過的な暗号化および復号化の処理において、新しい内蔵メディア暗号化キーを使用します。これがISEの仕組みです。
  • ISEのメリット:
      • 処理が高速 – 4 TB HDDで8時間を超える時間を要する単一パスのフルディスク書き込みと比較して圧倒的に高速。
      • 処理時間が一定 – スクランブルにかかる時間は、ドライブのストレージ容量とは無関係に一定。
      • シンプル – 標準のコマンドを使用。特別なセキュリティ・プロトコル・コマンドは不使用。
      • 完全性 – 再割り当てされた論理ブロックの物理上の場所さえもスクランブル(まれなケースとして、スクランブルされていない場合に、このような場所からデータを回復することが可能)。HDDのどのような「消去処理」(ドライブ全体に対する上書きの繰り返し)でも、これらの物理場所は消去されません。
      • ユーザーの高い安心度 – ISEの仕組みと、256ビットAES暗号化によるデータ保護の強度について理解していただくと、お客様からFA(障害分析)用にドライブを積極的に返却していただけるようになります。
      • 転用が可能 – ドライブには以前に使用していた際のデータは残存しないため、データセンターで新たな用途にドライブをすぐに「再使用」できます。

デル製エンタープライズサーバおよびストレージ製品向けHDDには、ミッションクリティカル向けのパフォーマンス最適化タイプ(10,000 rpmおよび15,000 rpm)と、ビジネスクリティカル向けの容量最適化タイプ(7,200 rpm)が用意されています。

一般に、ミッションクリティカル(MC)向けのパフォーマンス最適化ドライブ(10,000 rpmおよび15,000 rpm SAS)は、最高の信頼性とパフォーマンスが求められるアプリケーションで使用され、2.5インチのスモール・フォーム・ファクターでのみ提供されます。ビジネスクリティカル(BC)向けの容量最適化ドライブ(7,200 rpmのニアラインSASおよびSATA)は、より大きな容量を提供しますが、ミッションクリティカル向けと比べて信頼性とパフォーマンスが低い場合があります。スモール・フォーム・ファクターの2.5インチと、ラージ・フォーム・ファクターの3.5インチの両方で提供されます。HDD業界では、根本的な移行が進められており、 データの基本単位(ドライブ上のセクター)の標準サイズが512バイトから4Kバイトに変わろうとしています。幸い、512バイトのセクターサイズを維持する方法もあるため、将来にわたって両方のサイズを使用することができます。以下に、この変更に関する追加情報と、ユーザーが考慮すべき点を示します。

  • ハードドライブのメーカーは、512バイトのレガシー・セクター・サイズから、より大容量で効率に優れた4,096バイトのセクターサイズへの移行を始めました。この流れは、クライアントベースのHDDでは2009年後半に登場し、2010年になって急速に広まり、2011年には一般的となりました。一般的に4Kセクターと呼ばれるこのセクターサイズは、現在ではIDEMA(国際ディスクドライブ協会)が定めるアドバンスドフォーマットとして知られています。エンタープライズHDDもこの形式に移行しつつありますが、普及速度はそれほど速くはありません。2012年に初めて登場したアドバンスドフォーマットのエンタープライズHDDは、2013年には一部で採用されるようになり、2014年以降は一般的に採用されるようになりました。
  • 一方、512バイト(512n)で構築されたアプリケーションおよびオペレーティングシステム/ファイルシステムは、何十年にもわたってお客様に使用されているため、 4Kバイトのセクターサイズに向けたこのような動きにより、お客様が使用しているソフトウェアスタックにも影響が予想されます。また、4Kセクターへの移行が進むにつれ、さらなる検証はもとより、ソフトウェア構造の変更さえ必要になることが見込まれます。新しい大容量ドライブでは、この4Kフォーマットを使用する必要があります。お客様はこのような変更をすぐに行うことに積極的ではないため、これらのドライブのエミュレーションモデルが生まれました。このドライブは4Kテクノロジーをベースにしていますが、インターフェイス部分では512バイトのアドレス設定と転送が可能です。これらのドライブは、512eと呼ばれています。
  • 次の表に、これらの概念を示します。

フォーマットタイプ

セクターあたりのバイト数

物理セクターあたりのバイト数

512n

512

512

512e

512

4,096

4Kn

4,096

4,096



  • 最新のコンピューティングシステムでセクターサイズは常に512バイトであると引き続き想定することについては、さまざまに議論されています。デルでは、512nドライブ、512eドライブ、および4Knフォーマットドライブを含むHDD製品を用意しています。512nフォーマットのドライブは、今まで長く使用してきたドライブと同じタイプのドライブを引き続き使用する意向のお客様にご利用いただける製品です。512eフォーマットのドライブは、512nフォーマットでは対応できない容量を512バイトのセクターで実現する製品です。4Knフォーマットのドライブは、最新の大容量HDDを採用する意向のお客様や、HDD業界の将来の動向に向けて準備しているお客様向けの製品です。512バイトのセクターのアドレス設定は、認定されたサポート対象のフォーマットとして、今後も長期的に存続することに注意してください。4Knフォーマットドライブの市場シェアはこのまま小規模で推移すると考えられますが、現在利用可能または計画中の最新の大容量HDDは、512eセクターフォーマットとしても利用できるようになる予定です。


第13世代および第14世代の新製品として、高度なパフォーマンスを誇る512e HDD

  • デルは2017年4月後半に、新しい2.5インチ・フォーム・ファクターHDDの提供を開始しました。このHDDは、900 GB、15,000 rpm、512e、12 Gbps SASの特長を備えており、このファミリーでは標準搭載されている高性能書き込みキャッシュに加えて、キャッシュの強化によって読み取りパフォーマンスが大幅に向上しています。SeagateのTurboBoostTM(Seagate Inc.の商標)で強化されたキャッシュを搭載することにより、標準的なエンタープライズパフォーマンスHDD設計(10,000 rpmおよび15,000 rpm)のパフォーマンスが大幅に向上します。この新しい512eドライブには、少量のeMLC NANDがキャッシュとして内蔵されており、レイテンシを非常に低く抑えて、高速で予測可能な応答時間を実現しています。専用のHDDとSSDを組み合わせてストレージソリューションを構築するよりも、TurboBoostは、多くの場合、両方のディスクタイプの長所を最大限に生かせます。TurboBoostを使用すると、少なくともホットデータ(ホストにより最も高い頻度で要求されるデータ)の可用性が大幅に改善し、IOPS応答時間が大幅に短くなるため、全般的に作業の生産性が向上します。
    • ホットデータは、磁気メディアからNANDキャッシュにコピーされます。ホストが以降でこのデータを要求すると、回転中の磁気プラッタ(メディア/ディスク)よりもはるかに速くフラッシュメモリから返されます。キャッシュがいっぱいになると、最も使用頻度の低いホットファイルがNANDから除去され、より使用頻度の高いデータがキャッシュに読み込まれます。元のファイルは必要に応じてディスクメディアから読み込むことができます。TurboBoostテクノロジーにより、一般的なドライブの読み取り処理の一部であるシークおよび回転レイテンシはほとんどなくなります。これは、データがNANDに存在する場合、回転メディアで位置決めを待つ必要がないためです。
  • キャッシュが強化されることによるHDDのメリットは、アプリケーションにより異なります。ワークロードが大きいほど、効果は大きくなります。この機能は常に動作し、ホストからの有効化を必要としないため、新しいハイパフォーマンスサーバの構築、複数トランザクションの素早い管理、ドロップイン交換に最適です。
    • 仮想デスクトップインフラストラクチャ(VDI)
    • オンライントランザクション処理(OLTP)
    • Webサーバ
    • 中小規模のデータベースのクエリ
    • Exchangeワークロード
    • ランダム読み取り/書き込み作業

ドライブ容量ごとのパフォーマンス仕様の詳細については、この比較文書 (英語) を参照してください。

デルは、お客様の多様なニーズを満たす各種のソリッド・ステート・ドライブ(SSD)ソリューションを提供しています。クラスとしてのエンタープライズSSDは、信頼性、パフォーマンス、およびアーキテクチャの点において、クライアントベースまたはコンシューマベースのSSDとは異なります。ノートパソコンで使用されるようなコンシューマベースのSSDが、コンシューマベースのワークロード、堅牢性、およびバッテリ持続時間を重視した設計になっているのに対し、エンタープライズクラスのSSDは、ランダムI/Oに対するパフォーマンス、信頼性、突然の電源断時のデータ保護を重視し、エンタープライズアプリケーションのI/O(入出力)要件を考慮した設計になっています。

エンタープライズクラスのSSDに関する基本事項を理解しておくことで、お客様はソリューションを比較し、十分な情報に基づいた決定を下すことができます。

オーバープロビジョニング: SSDの弱点は、書き込み特性にあります。SSDで、書き込み済みの領域に再度書き込みするには、データを消去してから書き込む必要があります。Dell PowerEdge製品で使用されているデルのエンタープライズSSDでは、書き込みパフォーマンスの問題をある程度克服するために、フラッシュメモリのオーバープロビジョニングという手法が使用されています。この手法では、ネイティブのフラッシュ容量のうちユーザー定義の容量を超える部分を保持し、このスペースを一種のスクラッチパッドとして使用することで、予め消去済みの状態になっているフラッシュ領域にアプリケーションデータを素早く書き込むことができます。SSDでは、通常、アプリケーションのパフォーマンスに影響を与えない期間に、このオーバープロビジョニングされたフラッシュ領域のクリーンアップを実行します。

書き込み耐久性: ストレージメディアが不安定にならない範囲でフラッシュメモリのブロックに適用できるプログラム/消去(P/Eまたは書き込みサイクル)の回数のことです。データセンターのワークロードや読み取り/書き込みのニーズは多岐にわたるため、デルではお客様がニーズに合わせて最適なソリューションを選択できるように耐久性評価の異なるさまざまなエンタープライズSSDを提供しています。

デルが提供するエンタープライズSSDの各カテゴリ(区分)を次に示します。
    Write-Intensive(WI) - 50/50の読み取り/書き込みワークロードに適しており、耐久性は最高レベルです。このようなワークロードの例としては、HPC、データベースログ、キャッシュ処理などがあります。 
    Mix Use(MU) - 70/30の読み取り/書き込みワークロードに適しており、耐久性は中レベルです。このようなワークロードの例としては、Eメール/メッセージング、OLTP、Eコマースなどがあります。 
    Read-Intensive(RI) - 90/10の読み取り/書き込みワークロードに適しており、耐久性は低レベルです。このようなワークロードの例としては、データベースウェアハウス、メディアストリーミング、VODソリューションなどがあります。 
    ブート最適化(ブート) - サーバで起動デバイスとして使用するように設計された最も低コストで容量の小さいSSDです。耐久性は低レベルです。
    ホストインターフェイス - デルのエンタープライズSSDでは、次の3種類のホスト・インターフェイス・オプションがサポートされています。
    SATA SSD - SATA SSDは業界標準のSATAインターフェイスに基づいています。SATA SSDはエンタープライズサーバに適したパフォーマンスを提供します。
    SAS SSD - SAS SSDは業界標準のSASインターフェイスに基づいています。SAS SSDは優れた信頼性、データ整合性、データ障害復旧機能をすべて備え、エンタープライズアプリケーションに適しています。
    PCIe SSD - Dell PowerEdge Express Flash PCIe SSDは、従来の回転式ハードドライブと比較して最大2,000倍のIOPSパフォーマンスを実現するハイパフォーマンスのソリッド・ステート・ストレージ・デバイスです。

ドライブ容量ごとのパフォーマンス仕様の詳細については、この比較文書 (英語) を参照してください。