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July 12th, 2022 22:00
Dell PowerStore File Replication
Itzikr's Blog 日本語翻訳版
*オリジナルブログは以下URLから参照可能です
https://volumes.blog/2022/05/30/dell-powerstore-file-replication/
Dell Tech World 2022にて、PowerStore 3.0の登場がアナウンスされました。
PowerStore 3.0から非同期(asynchronous)ファイルレプリケーションが利用可能となりました。非同期レプリケーションはリモートシステムにデータコピーを作成することにより、ストレージシステム障害からデータを保護するために利用することが出来ます。レプリケーションはソフトウェア機能の一つで、同サイト内、もしくは他のサイトとの間においてリモートシステムにデータを同期するものです。
データをレプリケーションすることはデータの冗長化やメインの商用環境のストレージシステム障害に対する予防対策を提供することの手助けとなります。リモートディザスターリカバリーサイト(DRサイト)を持つことによりシステム、及びサイト全体に渡る機能停止状態に対する保護を行うことが出来ます。また、それにより災害発生時にリモートロケーションにおいて商用環境を再開させてダウンタイムを最小化することもできます。
PowerStoreのプラットフォームでは、様々な環境に対応するディザスターリカバリーの要望に合致した多くのデータ保護ソリューションを提供しています。
PowerStoreの非同期レプリケーションはホストからのI/Oレイテンシーに対する影響を最小化するように設計されています。ホストからの書き込みはローカルストレージリソースに保存された段階でAckが返され、変更点のトラッキングのための追加の書き込みは必要ありません。なぜならば書き込みのオペレーションは即座にディスティネーションのリソースにレプリケーションされるわけではなく、すべての書き込みはソース側でトラッキングされているからです。このデータは次の同期処理時にレプリケーションされます。
プロテクションポリシーとして非同期レプリケーションはリカバリーポイントオブジェクティブ(RPO)というコンセプトを利用します。このRPOとは機能停止状態に陥った際に許容可能なデータ消失の量を時間という単位で計ったものです。この時間の値は次の同期時にレプリケーションしなくてはならないデータ量にも影響します。また、災害発生シナリオにおけるデータロストの可能性があるデータ量にも反映されます。
レプリケーションにはイーサネット(LAN)の接続形態で、Dellが所有するTCPベースのレプリケーションプロトコルを最適化したものを利用します。このセクションにおけるすべての構成や管理処理は全てPowerStore Managerに表示されますが、PowerStore CLIやREST APIも利用可能です。
PowerStoreのネイティブ非同期レプリケーションは以下のストレージリソースをサポートします:
-
- ボリューム
- シン・クローン
- ボリュームグループ
- NASサーバ
- ファイルシステム
非同期レプリケーションはPowerStore上のボリューム、シン・クローン、そしてファイルリソースに対して同じ方法で操作出来ます。PowerStore Managerによって非同期レプリケーションのためのリソースが構成されると、シングルレプリケーションセッションが作成され、ディスティネーションストレージではソースストレージのリソースのように同じサイズとタイプのリソースが作成されます。
ファイルシステムとNASサーバレプリケーションセッションはNASサーバへのレプリケーションルールを含むプロテクションポリシーが適用されて作成されます。一度NASサーバに適用されると、そのNASサーバとすべての属するファイルシステムはディスティネーションシステムにレプリケーションされます。個別のレプリケーションセッションはNASサーバ自身と、そのレプリケーションされるNASサーバに属するそれぞれのファイルシステムに対して作成されます。ファイルレプリケーションの適用、管理、削除はNASサーバレベルでのみ実施可能であり、個別のファイルシステムレベルにおけるレプリケーションの状態変更は不可能です。
NASサーバから作成もしくは削除されるどのようなファイルシステムも、適用可能な場合には自動でレプリケーションセッションの作成や削除が行われます。一方でユーザによるレプリケーションの作業や管理はNASサーバレベルで実施され、各ファイルシステムは独自のレプリケーションセッションを持ちます。これがNASサーバとファイルシステムのレプリケーションの方法が、ボリュームグループとそのボリュームメンバーに対するそれと比較した際に鍵となる違いです。
ファイルレプリケーションにおいて、NASサーバのレプリケーションセッションはトップレベルに表示されます。このセッションは当該セッションの左にある拡張のためのアイコンをクリックすることにより拡張出来ます。いったん拡張されるとそのNASサーバに属するすべてのファイルシステムのレプリケーションセッションが表示されます。全ての作業はNASサーバレベルで実施され、属するそれぞれのファイルシステムレプリケーションセッションに適用されます。
レプリケーション状態の更なる詳細を見るために、個別のセッション状態を利用して、選択したレプリケーションセッションを見ることが出来ます。以下のウィンドウはSession Summaryを表示していて、ローカルストレージリソースは常にCurrent Systemとタグ付けされています。
システム上の全てのレプリケーションセッションはReplicationページから見ることが出来ます。PowerStore Managerでこのページを見るためには、Protectionの下のReplicationをクリックしてください。当該ページではそれぞれのセッションと以下の詳細情報が表示されます。
-
- レプリケーションセッション状態
- ソースシステムとソースストレージリソースを含むソースシステム
- ディスティネーションシステム名とディスティネーションシステムリソースを含むディスティネーションシステム
- リソースタイプ
- プロテクションポリシー
- ETA(estimated time)いつ現在の同期が完了する予定か(これが表示するのは – このセッションがアクティブに同期を実施していない場合)
ソースNASサーバのReplicationページは以下のボタンが表示されます:
-
- PAUSE - レプリケーションを一時停止させる
- SYNCHRONIZE - レギュラーRPOサイクルに従い手動でレプリケーションを実施する
- PLANNED FAILOVER - 計画的なメインテナンスウィンドウ時間においてフェイルオーバーを手動で実施する
Planned failover
PLANNED FAILOVERのオペレーションではコントロールされたフェイルオーバーを発生させる一方で、ソースリソースにおいて最新のAckを返したホストデータのレプリケーションを行います。このオペレーションがスタートしようとする際にオプションとしてフェイルオーバー後のReprotectを以下ダイアログから選択できます。Planned Failoverが開始されると、ボリューム間の同期が完了してからレプリケーションセッションがフェイルオーバーします。フェイルオーバー前の同期は最後のRPOがトリガーされた、もしくは手動の同期が行われた時点からのすべてのデータがレプリケーションされることを保証します。このPlanned Failoverオプションはレプリケーションセッションが「Operation Normally」もしくは同期が進行中の場合にソースストレージリソースから選択出来ます。この処理ではフェイルオーバーを実施している際に短い間データへのアクセスが出来なくなります。Planned Failoverオペレーションを行う前に、まず手動で同期を行っておくことが推奨されます。それによりPlanned Failover実施時のデータコピーの量を減らせます。ソースボリュームへのI/OをPlanned Failoverの前に止めておくことも推奨されます。
Planned Failoverが完了した後は、ディスティネーションストレージのリソースを商用環境のI/O用に利用することが可能となり、元々のソース側は読み書きのI/Oが出来なくなります。もしもディスティネーションシステムにホストアクセスが構成されていれば、ホストはそのデータにアクセスすることが出来ます。もしもフェイルオーバーのスタート時にフェイルオーバー後のreprotectが選択されていない場合には、Planned Failoverが利用された際にレプリケーションはどちら方向にも再開されません。
Unplanned failover
Unplanned Failoverオプションはレプリケーションセッションのディスティネーションでのみ利用可能です。このフェイルオーバータイプは事前にどのような同期も行わずターゲットに存在する共有ベースイメージに対してフェイルオーバーを行います。Unplanned Failoverは商用システムにおいて災害が発生したことを仮定し、ディスティネーションのイメージを読み/書き可能な状態にします。レプリケーションセッションのディスティネーションリソースにおいてFAILOVERが選択されると、もしもソースが管理コマンドを受け取ることが出来た場合オリジナルのソースから読み/書きアクセスが出来なくなります。レプリケーションセッションも一時停止状態となり自動でレプリケーションの方向を変えるというようなことは行いません。レプリケーションセッションはユーザが何かレプリケーションに対する処理を行うまでは、そのままの状態でいます。このような状態の際にオリジナルのディスティネーションリソースに対してI/Oが発生すると、そのデータはオリジナルソースが利用可能になった際に、そのオリジナルソースに対してレプリケーションされなくてはなりません。ファイルリソースに関しては、もしもソースシステムと商用環境のNASサーバがオンラインの状態のままである場合にはディスティネーションリソースにおけるFAILOVERはサポートされません。もしもソース側が機能している場合には、ソース側からPLANNED FAILOVERを実施してください。
PowerStoreは災害シナリオ中もしくはレプリケーションセッションがPaused、Failing Over、またはFailed Over状態にあった場合でもUnplanned Failoverオペレーションをスタートすることが許されています。当該セッションがこれらの状態の際に、ソースシステムにて発生したいかなる変更点もディスティネーションに対してレプリケーションされることはないでしょう。最終同期が実行されないために、Unplanned Failoverはデータ不整合やデータロストに至る可能性があります。これはソースシステムがもはや利用不可能になったという時にのみ利用されるべきです。可能な限りPlanned Failoverを利用しましょう。
vSphere clientイベントログに関する以下例では、フェイルオーバー中にESXiホストからNFSデータストアへのアクセスが出来なくなってしまい、そしてその数秒後にリモートPowerStoreクラスターにおいてファイルシェアが再度アクセス可能となると、そのコネクションが復活していることを見ることが出来ます。
以下ではどのようにレプリケーションが機能するのかについてのデモを見ることが出来ます。
翻訳:Uehara Y.
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