Dell EqualLogic: Auto Snapshot Manager for Microsoft Edition(ASM/ME)設定手順
概要: 本ドキュメントでは、EqualLogic Auto-Snapshot Manager Microsoft Edition(以下ASM/ME)を使用する際の、EqualLogic PSグループとサーバーにおける基本的な設定手順について説明します。
手順
目次
- 概要・注意事項
- PSグループ側での設定
- ASM/ME(ホスト側)での設定
- ASMのSmart Copy動作確認
- ASMからのNTFSボリュームリカバリ
ASM/MEではVSS(Volume Shadow Copy Service)と密接に統合されているため、NTFS、SQL Server、Exchange Server、Hyper-VなどのWindowsベースのアプリケーションが整合性を保持した状態で、SnapshotやCloneなどのバックアップを取得することができます。
このASMから取得したバックアップのことを"Smart Copy"と呼びます。
また、取得したバックアップの利用時もASMのインターフェイスとして、ホスト側とPSグループ側の操作が統合されているため作業のプロセスが簡素化されます。
概要・注意事項
ASM/MEはホスト上からPSグループへのバックアップを管理するツールです。
ASMのツール自体はHIT/MEのインストーラーに組み込まれているため、HITをインストールすることで利用できます。
ここでは以下の環境を使用し手順を進めています。
- Windows Server 2008 R2
- ASM/ME 4.6(HIT 4.6をインストール)
- PSグループファームウェア 7.x
PSグループ側での設定
ホスト上のASMからPSグループへのコントロールを許可するための設定を、管理対象となるPSグループ上から実施します。
ここではLocal CHAP Accountの作成およびVSS/VDSコントロールへのアクセス権の追加手順について説明します。
Local CHAP Accountの作成
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EqualLogic PSグループのGroup Managerにログインし、左ペインの"Group"メニューよりGroup Configuration -> iSCSIタブの順に開き、Local CHAP Account欄のAddをクリックします。

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Add CHAP accountのポップアップが表示されたら任意のUser nameとPassword(12桁以上)を入力しOKをクリックします。

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Local CHAP Account欄に追加したCHAPユーザーが表示されます。

VSS/VDSコントロールへのアクセス権の追加
VSS/VDSコントロールへのアクセス権(ACL)として、先ほど作成したLocal CHAP Accountを指定します。
通常のVolumeと同じように、CHAP Account以外でもIPアドレスやiSCSIイニシエータのIQNで設定できますが、ASM/MEが稼働する不特定のホストからのコントロールが想定されるため、一般的にはCHAP Accountで設定します。
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Group ConfigurationよりVDS/VSSタブを開き、"No basic access points"のNewをクリックします。

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Bew Basic Access Pointのポップアップが表示されたら、"CHAP account name"に先ほど作成したLocal CHAP Accountを入力しOKをクリックします。

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VDS/VSSのBasic access pointに追加したアカウントが表示されます。

ASM/ME(ホスト側)での設定
ホスト側のASM/MEのGUIコンソールより、管理するPSグループを追加してSmart Copyを実行する準備をします。
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ASMを起動します。
*あらかじめHIT/MEがインストールされている必要があります。

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Settingsをクリックします。
*初回起動時はConfiguration Warningsが表示されます。

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PS Group Accessを選択しAdd PS Groupをクリックします。

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ホストがマウントしているVolumeを提供しているPSグループのGroup NameとIPアドレスを入力します。

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VDS/VSS accessをクリックし、"PSグループ側での設定"で追加したLocal CHAP UserとPasswordを入力します。

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Smart Copy accessをクリックし、"PSグループ側での設定"で追加したLocal CHAP UserとPasswordを入力しSaveをクリックします。

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正常に設定されると緑のチェックマークが表示されます。

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HostsをクリックしHostメニューに戻ります。

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Refresh All HostsをクリックしてHostの状態を更新するとWarningが表示されなくなります。

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ホスト上にここまでの手順で追加したグループのVolumeが青色のアイコンで表示されていれば、Volumeは正常にマウントされていてASMのSmart Copyを取得することができます。

ASMのSmart Copy動作確認
ここではSmart Copyの動作確認方法として、NTFSでのSmart Copyの実行を例に説明します。
Group Managerから直接行ったバックアップ操作(Snapshot、Clone、Replica)ではファイルシステムとしての整合性を担保しませんが、ASM/MEからSmart Copyを行った場合、VSSでファイルシステム上の整合性を保持した状態でPSグループ上へバックアップを行うことができます。
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対象のVolumeを右クリックしてCreate Smart Copy Setを選択します。
*初めにチェックシークエンスが流れ、問題がなければウィザードが起動します。

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Smart Copyのオプション(Snapshot、Clone、Replica)とBackup Type(Copy)を選択しNextをクリックします。
Backup Typeには"Copy"と"Full"があり、NTFSのSmart Copyの場合Copyを選択します。
SQL Server(2005以降)のバックアップの場合、DBのDataファイルだけを取得する場合はCopy、Application Logを含む完全な状態のバックアップを取得する場合はFullを選択します。前者はログ(更新履歴)がないため、最終時点(Smart Copy取得時)のみの復旧になるのに対し、後者はDBログの履歴から任意の時点にさかのぼってDBを復旧することができます。
詳細はSQL Serverの復旧モデルをご参照ください。

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Summary画面が表示されたら、内容を確認しCreateをクリックします。

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Smart Copyが実行され処理のプロセスが表示されます。
正常に完了すると、すべてのプロセスに緑のチェックマークが表示されますのでCloseをクリックします。

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作成されたSmart Copyは、左ペインのSmart Copyの階層にツリー形式で表示されます。

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Smart Copyで取得されたバックアップのデータにおいても、Group ManagerからPSグループのSnapshot、Clone、Replicaとして確認できます。
ここではSnapshotのSmart Copyを取得した際のPSグループの状態を例として紹介しています。

ASMからのNTFSボリュームリカバリ
Smart Copyで取得したバックアップのリカバリ方法には大きく2つあります。
1つはボリューム全体で復元する方法(リストア)、もう1つはバックアップしたボリュームを別のボリュームとしてマウントし、個別のファイルごとにリカバリする方法です。
ここでは以下の状態を元に手順を進めています。
ASMでSmart Copyを取得した場合の状態
現在の状態
コピー(2)とコピー(3)を削除し、コピー(4)を追加しています。
Smart Copyからのリストア
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ASM上でSmart Copyの階層から復元するバックアップのインベントリで右クリックしRestoreを選択します。
*この機能はSmart CopyのタイプがSnapshotの時に使用することができます。

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確認のメッセージが表示されたら内容を確認し、問題がなければYesをクリックします。
*Restoreをすると、選択したSmart Copyを実行した後に追加・更新されたデータは消えてしまいます。
*Onlineのボリュームに対して直接リカバリが行われるため、ボリュームアクセスがない状態で操作してください。

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すべてのプロセスにチェックマークが表示され正常に完了したらCloseをクリックします。

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エクスプローラよりボリュームを開き、Smart Copyを取得した時点にリカバリされていることを確認します。

Smart Copyを別ボリュームとしてマウント
作成したSmart Copyは別のボリュームとしてマウントすることができます。この機能を利用して以下のことができます。
- Smart Copyから別媒体へのバックアップ
Onlineのボリュームはそのまま運用し続け、別のボリュームとしてマウントしたSmart Copyのボリュームを、BEWSなどのバックアップシステムを利用してテープをはじめとする別媒体へ保存することができます。
また、ASMに別ホストを登録することで、テープデバイスが接続されたバックアップサーバーから処理することもできます。 - ファイル単位でのリカバリ
Restoreを使用するとSmart Copyを実行した後に作成されたデータは消えてしまうため、失ったデータだけを戻したい場合はSmart Copyを並列でマウントしコピー&ペーストでリカバリします。
ここではSmart Copyのマウントを利用してファイル単位でリカバリする手順について説明します。
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Smart Copyの階層より、取得したボリュームは以下のSmart Copyインベントリを右クリックしMountを選択します。

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Mountのウィザードが表示されたらNextをクリックします。

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マウント先を確認しMountをクリックします。
デフォルトでは"Mount folder root"(デフォルト:C:\ProgramData\EqualLogic\Mounts\)に表示されているディレクトリの配下にボリュームがマウントされます。
このとき、ドライブレターとしてマウントする場合は"Mount To"よりドライブ文字を選択します。


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マウント処理が完了すると、Smart Copies配下の対象インベントリが"mounted"に変わります。
また、インベントリを選択した際に右ペインに表示されるプロパティより、マウントされているディレクトリを確認することができます。

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Smart Copyがマウントされたディレクトリを開き、Activeなボリュームに失ったファイルをコピー&ペーストでリカバリします。

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リカバリ完了後、マウントしているSmart Copyのインベントリを右クリックしUnmount and Logoffを選択します。

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アンマウントを実行した際に確認画面が表示されたら内容を確認し、問題がなければLogoffをクリックします。
以降このSmart Copyを使用しない場合、このタイミングでSmart Copyを削除することができます。
削除する場合、"Delete this Smart Copy from…"にチェックを入れます。

このように、ASMを使用することでSmart Copyで作成されたバックアップのマウント操作がASMの管理画面のみで行うことができ作業負荷が軽減されます。
*ASMを使用しない場合、Group ManagerやiSCSIイニシエータのプロパティ、Windowsのディスクの管理など複数のインターフェイスを使用することとなり作業が煩雑化します。