Precision 5540 導入の きっかけはデル製品による 社内パソコンの標準化
もちろん、3D CAD を動作させられるモバイルワークステーションは他にも存在する。その中で、同カンパニーがDell Precision 5540 の採用を決めた理由の一つは、デルの製品とサポートの品質に対する信頼の厚さだ。
同カンパニーでは2018 年ごろから、更改のタイミングを迎えていた社内のOA 用パソコンと、設計業務用の端末を新機種へリプレースするプロジェクトを進めており、その中で、OA 用パソコンのおよそ半数にあたる1,200 台をまずは新機種にリプレースし、のちに設計業務用の端末全台の刷新を進めるという計画を立てた。その中でOA 用パソコンの新機種として選定したのがデルのノートパソコン「Dell Latitude」とデスクトップ「Dell OptiPlex」で、それぞれを600 台ずつ導入した。
「デルのパソコンを選定した理由は、性能とコストパフォーマンスで、当社の要件を全て満たしていたからです。しかも、製品の故障率は低く、万が一故障が発生しても、オンサイトでの修理に即座に対応してくれます。デル製品を使うのは、当カンパニーにとって初の経験でしたが、サポート品質の高さを含めて、これまで使用してきたパソコンとのあまりの違いに衝撃を受けました」と、プロジェクト本部 情報システム部 坂出システム課 主事の山越 幹夫氏は振り返る。
この経験からデル製品を高く評価した情報システム部は、設計業務用の端末についても、デルのワークステーションを採用すべきとの考えに至った。
「実のところ、当カンパニーでは、パソコンをベースに設計業務用の端末を情報システム部内で自作するという手法を長くとってきました。目的はワークステーションの導入費用を低く抑えるためです。結果的に、既製のワークステーションを導入するのに比べて、導入費用はかなり低く抑えられてきたのですが、当カンパニーの設計担当者・約300 人分の端末を自作する負担は大きく、故障発生時に問題原因を特定するのも大変でした。そこで、デルのワークステーションを使い、そうした運用管理上の問題を抜本的に解決しようと考えたわけです」(山越氏)。
もちろん、“端末の自作” から“既製品の導入” に切り替えれば、端末購入の費用は増える。「ただし、デルのワークステーションで、設計業務用端末とモバイルワーク用パソコンを1 台に集約できれば、パソコンの導入台数が減らせて費用の増分は十分に賄えると判断しました」と、山越氏は言う。
こうした情報システム部の意向や考えを受けたかたちで、デルは、ワークステーションの展示会を坂出工場と神戸工場の2 カ所で開催し、デル製品の性能の高さを両工場のエンジニアにアピールした。その中で、エンジニアからの人気を集めたのが、Dell Precision 5540 だったという。「従来のモバイルワークステーションは、可搬型と称しながらも重くて持ち運ぶ気になれないような製品や、コンパクト設計ではあるものの性能が不十分で3D CAD の使用には耐えられないような製品がほとんどでした。ところが、Dell Precision 5540 は、最小重量が1.78kg と軽量で薄型であるにもかかわらず、処理性能が高く3D CAD がストレスなく動作します。それを目の当たりにしたエンジニアの多くが、モバイルワークステーションに対する認識を新たにし、これ1 台で、出張時の作業も含めて全ての業務がこなせるとの感触を得たのです」と、技術本部 造船設計部の伊奈 利晃氏は話す。
こうした展示会を通じて、設計の担当者が実機に触れられた効果については、プロジェクト本部 情報システム部 坂出システム課長の浅田典彦氏も、「モバイル端末は実際に見て、触れてみなければ使えそうかどうかがわかりません。ですので、機器の導入前に展示会のような場があったことは、のちのスムーズな導入につながったと感じています」と評価する。
こうして同カンパニーでは、Dell Precision 5540 の採用に向けた実機検証を造船設計部内で始動させ、業務で実際に使う3D CAD などの動作検証を行った。その結果、全てのアプリケーションが問題なく動作することを確認し、導入の最終決定を下した。
ちなみに、同カンパニーでは導入するDell Precision 5540 のスペックとして、Intel® Core™ i9 プロセッサー/ 16GB メモリー/ NVIDIA Quadro T2000(グラフィックス)を選択した。「このスペックならば、私たちが使う3D CAD 製品のロードマップから言っても、向こう5 年間は現役として十分に活躍し続けてくれると判断しました」(伊奈氏)。