大手仮想通貨交換業者の基幹システムとして早速採用されるなど、SimplexCryptoCurrencyはビジネス面でも順調な立ち上がりを見せている。また、VxRailの導入メリットも、様々な場面で発揮されているとのこと。須崎氏は「まず一点目として、サーバーの集約率が飛躍的に向上した点が挙げられます。現在は10台の『Dell EMC VxRail E460』で約600台のサーバを稼働させていますが、性能的にも全く問題ありません。これにより、大幅な省スペース化/コスト削減が実現できました」と語る。
ちなみに、SimpleCryptoCurrencyは、同社のFXサービス向けシステムの構成を踏襲しているが、同規模のシステムで比較すると1/3以下のラック数で済むという。この結果、データセンタ費用の削減にも成功。システム構築費用と開発期間についても、それぞれ約40%ダウン、約1/4に短縮と大幅に改善している。
「導入後に一度VxRailのリソース拡張を実施していますが、これも非常に効率的に行えましたね。従来型の環境で同様の作業を行う場合と比較して、約1/5程度の工数に抑えられました」と須崎氏は語る。
さらに大きいのが、アプリケーション実行環境のデリバリー速度が飛躍的に向上した点だ。今回のプロジェクトでは、VMwareの自動化ツール「VMware vRealize Automation」やオープンソースの構成管理ツール「ansible」などを活用し、大量の業務サーバを自動作成する工夫も盛り込まれている。これにより、新たなサービスの開発などをより迅速に行えるようになったのだ。
「おかげでアプリケーション開発者の感覚も昔とは変わってしまい、『今日の夕方までにサーバが欲しい』といった要望が来るようになりました」と苦笑する須崎氏。しかし同時に、「とはいえスピードを妨げる制約が無くなったのは、当社のビジネスにとって良いことだと考えています」と続ける。
同社ではこうした成果をさらに拡げるべく、VxRailの活用を推進していく考えだ。「今後は、ニーズが高い仮想通貨取引システム用環境の強化・拡充に加えて、まだ物理環境上で稼働しているシステム群をVxRailによるプライベート・クラウドへ集約する検討も進めていきます」と展望を語る須崎氏。また、久保氏も「当社でも今回の経験を最大限に活かし、VxRailによるソリューションを積極的に展開していきたいと考えています」と語った。