高性能コンピュータの導入は絶対に外すことのできない条件
Dell Precision 3460
SFF ワークステーション
実際、彦根市教育委員会において「コンピュータ教室を廃止するという選択肢は、頭の中にまったくありませんでした」と島野氏は振り返る。こうして先の西嶋氏の言葉にもあった「子どもたちの主体的に学ぶ力を育む場」を目指し、従来のコンピュータ教室からさらに一段グレードアップしたアクティブラーニング教室が誕生したわけだ。
そして島野氏は「現場の先生方からも、『子どもたちがこれからのデジタル社会で求められ活躍する人材となっていくために、特に中学校ではより高度なコンテンツ制作やプログラミングなどの情報教育が必須となります』という声をいただいており、高スペックなコンピュータの導入は、絶対に外すことのできない重要ポイントでした」と強調する。
こうした経緯により、教師用7台、中学校の生徒用280台、小学校の高性能情報教育用40台の計327台のNVIDIA製GPUを搭載した高性能なDell Precision 3460 SFFワークステーション、およびDell製のモニターが一斉導入された。なお彦根市教育委員会はこれらのワークステーションとあわせ、教育用のデータを一元管理する新たなファイルサーバーとしてDell EMC Unity XT 480も導入している。これによりストレージ容量は実効60TB弱から約128TBへと倍増した。
彦根市教育委員会事務局 学校ICT推進課 課長補佐の大西大氏は、「公募型プロポーザルを実施し、さまざまなベンダーから寄せられた提案を比較検討した結果、私たちの要望に最もマッチしていたのが、デル・テクノロジーズおよび地場の販売代理店である藤野商事から提案された今回の一連のシステムだったのです」と語る。
この選定における最大の決め手は、合計327台のマシンのすべてがGPUを搭載したワークステーションだったことである。
Dell EMC Unity XT 480 ストレージ
彦根市教育委員会としても今後の高度なICT教育を推進していくうえでGPUは必須と考えていたが、その一方ですべてのマシンにGPUを搭載することは予算的に無理があると思われ、実のところ当初は外付けGPU(eGPU)を何台か購入して皆で使いまわすことも考えていたという。このような妥協策に異を唱えたのがデル・テクノロジーズだったのだ。
「十分な台数のeGPUを用意できなければ生徒たちの間で奪い合いが起こるおそれがあるほか、eGPUを接続可能なThunderboltインターフェースを備えたマシンは非常に高価であり、保守料も割高になるなど結局無駄なコストが発生します。こういった問題点を指摘したうえで、あえてDell Precision 3460 SFFワークステーションを勧めてくれたのです。まさに目から鱗が落ちるような内容で、私たちの期待を大きく上回る提案でした」(大西大氏)
もちろん彦根市教育委員会としても予算化に最大限の努力を重ねてきた。彦根市教育委員会事務局 学校ICT推進課 課長の大西康夫氏は、「リースアップを迎えた機器のうち、引き続き利用可能なものについては再利用するとともに、小学校のアクティブラーニング教室については設置するワークステーションの台数を当初計画の40台から10台に抑えるなど、導入する機器を徹底的に精査することで今回のリニューアル費用を捻出しました」と語る。
こうした“選択と集中”の結果として彦根市教育委員会は、市内の公立小中学校にDell Precision 3460 SFFワークステーションを中核とするベストなICT教育の環境を整えることができたのである。