スタジオコロリドはどんな会社ですか?
アニメーションを制作するスタジオで、2011年に設立しました。劇場映画を中心に、CMやPVも手がけています。20代を中心とした若いクリエイターが集まって、自分たちの表現を追求しています。最新作は劇場作品の「ペンギン・ハイウェイ」。「夜は短し歩けよ乙女」や「有頂天家族」などのベストセラーを持つ小説家、森見登美彦さんの「ペンギン・ハイウェイ」が原作で、8月17日に公開になりました。石田祐康監督の劇場長編デビュー作品で、スタジオコロリドとしても初めての長編作品です。
スタジオコロリドの中で、宇田さんはどんな仕事をされているのでしょうか?私自身は絵を描いたり監督をするわけではなく、スタジオを経営する立場です。アニメーション業界で起業するパターンには大きく二つあって、アニメの制作会社でプロデューサーをやっていた人が独立するという形か、有名監督が自分のスタジオを作るというケースがほとんどなのですが、僕はどちらでもないので、そこは自分らしさというか、ユニークさをもってやりたいなと思っています。
アニメーションの魅力はどんなところにありますか?日本のアニメーションの魅力は、手描きによる表現の豊かさです。アメリカや欧米では、アニメーションもCGが進んでいますが、日本はまだ手描きが主流です。アニメーションの元になる原画や動画は、8割から9割が紙に鉛筆で描かれており、日本ではまだアナログな環境と言えます。アニメーションの制作現場において、デジタル化はどの程度進んでいるのでしょうか?制作工程によって、非常に進んでいるところとそうでないところの差が大きいです。アニメーションの制作には、いくつかの工程があります。元になる絵の原画やその絵に動きをつける動画、絵のバックになる背景などを描く美術。色を付ける彩色。そして撮影、編集、音響と進んでいきます。この中で、彩色以降はデジタル化が進んでいて、現在はすべてデジタルで作業を行なっています。一方でデジタル化が進んでいないのが、先ほど紹介した原画や動画などの作画です。「ペンギン・ハイウェイ」ではフルデジタルでやりたかったのですが、すべてをコロリドで作画することはできなかったので、アナログとデジタル両方になっています。作画はまだアナログのスタジオも多くて、フルデジタルでの制作を目指す上での課題です。
今後、スタジオコロリドとして、どういったことに取り組んでいきたいですかスタジオとしては、劇場作品を継続的に制作していくのが目標です。クリエイティブな面でいうと、コロリドの作品を楽しみにしてくれる人が一人でも増えていくような、コロリドらしい作品づくりをしていくことを目指していきます。一方で制作面ではフルデジタル化を目指しています。スタジオ内の作業はデジタル化していますが、「ペンギン・ハイウェイ」も、半分くらいはアナログで制作しているので、なるべくオールデジタルで、紙を一枚も使わないやりかたで制作したいということです。2020年を一応の目標にしていますが、この目標を達成するには、社内だけでなく業界全体のデジタル化が進まないといけないので、ハードルはすごく高い。でも、もしかしたら、なにかをきっかけにひと息に進むかもしれないと感じています。ただ、アニメーションのキモはクオリティです。クオリティを落としてまで、デジタルにする意味はありません。見る人には、それがデジタルかどうかは関係ないのです。けれどもトータルでクオリティをあげて世界と勝負することを考えると、やはりデジタル化は必須だと思っています。そういう意味では、僕らのスタジオとしての目標は、オールデジタルでクオリティが非常に高いもの、そしてもちろんコロリドらしく、コロリドの作品を楽しみにしてくれる人に楽しんでもらえる、そんな作品を作ることです。
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