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アンバサダーインタビュー 11 | 鈴木 孝輔

株式会社スタジオコロリド

『泣きたい私は猫をかぶる』公開記念 デジタル作画の未来をひらくスタジオコロリドの制作環境とは。

株式会社スタジオコロリド アニメーションプロデューサー 鈴木 孝輔


『ペンギン・ハイウェイ』で第42回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞、ファンタジア国際映画祭 今敏賞(ベストアニメーション賞)を受賞したアニメーションスタジオ「スタジオコロリド」が贈る長編アニメーション映画第2弾『泣きたい私は猫をかぶる』が、Netflixにて全世界独占配信。今回はその公開を記念して、スタジオコロリドのアニメーションプロデューサー鈴木孝輔さんにデジタル環境や作品の見どころについてお話をお聞きしました。

クリエイティブなデジタル環境の構築

クリエイティブなデジタル環境の構築

『泣きたい私は猫をかぶる』の公開おめでとうございます、前作『ペンギン・ハイウェイ』から2年が経ちましたが、この2年間のスタジオコロリドの活動について教えてください。

『ペンギン・ハイウェイ』はスタジオコロリドにとって初めての劇場用長編映画でしたので大きなチャレンジとなりましたが、その過程で得た経験やノウハウは我々の財産となりました。おかげさまで多くの方から評価を頂いてスタジオの規模も大きくなり、長編作品と並行してショートアニメーションで新しい表現にチャレンジできる体制が出来上がりつつあります。


活動の場を広げる中で制作環境の変化はありましたか?

スタジオが三箇所(豪徳寺/明大前/国分寺、いずれも東京都)となり、スタッフも増えましたのでデジタルツールの導入は積極的に行っています。クリエーターが感じる書き味や作業スペースの確保はアウトプットに大きく左右しますので、実際の使用感を聞きながらスペックを増強し、液晶タブレットは新しくて良いものをいち早く試すようにしています。スタジオコロリドは創設以来フルデジタル作画によるアニメーションづくりを目指していますが、以前に比べてデジタル環境のワークフローが整ってきました。


アニメーション制作は経験がものを言う世界であると思いますが、スタジオコロリドでは若い人の活躍が目立ちます。

若い世代の方が学生の頃からデジタル作画に慣れているので、むしろ紙での制作の方が新鮮に映る人がいるようです。スタジオコロリドのクリエーターは平均27〜28歳くらいですが、自分の表現の幅を広げるひとつの方法としてデジタルツールを活用している人も多いですね。たしかに経験が大切な世界ではありますが、その経験の無さを補うのがデジタルツールでもあります。スタジオコロリド自体まだ創設9年目の比較的新しいスタジオなので、デジタルツールを起点にしたアニメーション制作にチャレンジしていきたいと考えています。

テレワークでも強い味方となったXPS 13

テレワークでも強い味方となったXPS 13

新型コロナウイルスの影響で働き方が大きく変わりつつあります、スタジオコロリドのテレワークの取り組みについて教えてください。

テレワークのためにデジタル環境を推進していたわけではありませんが、スタジオ設立当初からフルデジタルを追求していたこともあり、比較的スムーズにテレワークに移行できたと思います。WEB会議用アプリを使用して案件ごとに必要に応じてリモートで打ち合わせをしながら、それぞれの自宅で、スペック保証されているパソコンで作業をしてもらっています。ただこれを機に今まではスタジオ内でしか使用できなかったアニメーション制作ソフトをVPN接続で社外でも使えるようにしました。

今回の件は、予想外の事態ではありますが、メリットにも気付かされました。スケジュールがタイトな制作期間では、物理的な移動が負担になることも少なくないのですが、打ち合わせのリモート化が大幅な時短につながり、時間を有効に使えています。せっかくの機会ですから、テレワークの良い点は今後も継続して行きたいですね。

テレワークでも強い味方となったXPS 13

スタジオコロリドではデルのノートパソコン「XPS」を使われていますが、どのように活用されていますか?

現在、スタジオコロリドでは15台、私を含め主にマネジメントを担当する「制作」職のスタッフがXPS 13で仕事をしています。我々は業務上、社内外の打ち合わせで移動することが多いので、11インチサイズでありながら13インチモニターを実装したXPS 13はとても重宝しています。表計算ソフトを使いながら画像処理ソフトやブラウザを起動しても問題ない挙動の良さやスピード感も気に入っている点です。新型コロナウイルスの影響でテレワークを余儀なくされていますが、HD WEBカメラも標準で装備されているおかげですぐにリモート会議ができたのも非常に助かりました。このオンラインインタビューも、もちろんXPS 13でしています。(注:2020年5月取材)

ノートパソコン導入の際には他社メーカーを含めたくさんのモデルが候補に挙がりましたが、見た目で選んでもデルのXPS一択でしたね。今年発売された新しいNew XPS 13も使用していますが、XPSの進化を感じさせる一台です。パソコンのフレームってこんなに細いの?と驚きました。ディスプレイもUHD+で美しいですし、これで『泣きたい私は猫をかぶる』(以下『泣き猫』)を見たら瑞々しい色彩で楽しめるのでおすすめです。さすがクリエーター向けノートパソコンだけの価値はありますね。

ワークフローとビジョンを共有しフルデジタルへの未来をひらく

ワークフローとビジョンを共有しフルデジタルへの未来をひらく

『ペンギン・ハイウェイ』では全体の半分ほどがデジタルによる制作とのことでしたが、本作ではいかがでしょうか。

『ペンギン・ハイウェイ』の時よりはスタッフも増え知見もノウハウも社内で共有できていましたので、今作の『泣き猫』は全体の6〜7割はデジタルで作画しています。アニメーション業界は依然、紙が主力ではありますが、最近はデジタル作画をするフリーのアニメーターの方が増えているのも事実です。ただ、デジタル作画の方がすぐに作品作りを共に出来るかと言うとそうではありません。使用しているソフトや慣れているワークフローの違いが作品づくりに大きな影響を及ぼしますし、当然ながら表現者としてのビジョンや方向性の一致がキモとなります。

長編アニメーションは多くのスタッフでひとつの作品を作り上げますので、デジタル環境で重要なのは統一されたルールです。ソフトは何を使うか、ファイルの分け方はどうするか等、ひとつひとつに詳細なルールがなければ、いくら効率化が期待できるデジタル制作と言えども運用が破綻してしまいます。スタッフのすべてが最初から最後まで統一されたワークフローを共有しない限りはデジタルのメリットは享受できません。現在はデジタルと紙をいかに効率よく併用させるのかがポイントとなっていますが、これからはスタジオコロリドのワークフローをたくさんの仲間と共有し、フルデジタルで制作した長編作品をみなさんにお届けすることがアニメーションプロデューサーをしている私の使命でもあり、今後のスタジオの目標のひとつだと考えています。

『泣き猫』は、舞台となりました常滑市の風景や猫世界の幻想的な美しさが印象的でしたが、おすすめのシーンや見どころを教えてください。

『泣き猫』は、舞台となりました常滑市の風景や猫世界の幻想的な美しさが印象的でしたが、おすすめのシーンや見どころを教えてください。

物語の舞台とさせて頂いた愛知県常滑市にはロケハンで何度も脚を運んだ甲斐もあり、背景描写は緻密に描けていると思います。また登場人物たちの「芝居」は丁寧に作り込みました。より繊細な動きを表現するために少ない線で描かれたキャラクターたちの小さな仕草にまで注目頂けると嬉しいですね。


猫の動きや描写がとても可愛かったです。

メインキャラクターの猫は、動きや毛並みの処理に至るまで念入りに表現しています。特に猫たちが暮らす世界はゼロから試行錯誤を重ねて創りました。建物や装飾物といった細かいところまで猫ならではのモチーフがたくさん散りばめられていますので是非猫目線でお楽しみください。物語は“大好きな君に会える魔法”を見つけた主人公の青春ファンタジーです。誰もが共感できる部分があると思いますので、一度目はストーリーを、二度目は風景や動きに注目して、大切な人を思い浮かべながらご覧になってください。

最後に今後のスタジオコロリドの取り組みについて、また、アニメーターを目指す方々にメッセージをお願いします。

最後に今後のスタジオコロリドの取り組みについて、また、アニメーターを目指す方々にメッセージをお願いします。

こんな時代だからこそ、エンターテイメントの力が必要であると信じています。『泣き猫』もNetflixさんで全世界に配信できるのはありがたいことです。今回の件を追い風にするべく、スタジオとしてもさらなる効率化の実現に向けて、デジタルツールの積極的活用を進めて行くつもりです。

アニメーターを目指す方には、自分が創りたいもののビジョンを持って頂きたいです。デジタルツールはそのビジョンを実現するためのツールとして活用してください。ものづくりを制作する過程ではたくさんの壁にぶつかります、そんな時に自分が描くビジョンが明確であればあるほどブレることなく日々の創作活動に邁進できるはずです。

今後もスタジオコロリドでは多彩な才能を結集し、新しい表現の世界にチャレンジしながら、より多くのみなさまにお届けできる作品を創り続けて行きますので是非ご期待ください。

Profile


鈴木 孝輔

アニメーションプロデューサー。
2014年よりスタジオコロリドに在籍。
『泣きたい私は猫をかぶる』『ペンギン・ハイウェイ』など、各種コロリド作品のプロダクションマネジメントを担当。
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