『泣きたい私は猫をかぶる』の公開おめでとうございます、前作『ペンギン・ハイウェイ』から2年が経ちましたが、この2年間のスタジオコロリドの活動について教えてください。
『ペンギン・ハイウェイ』はスタジオコロリドにとって初めての劇場用長編映画でしたので大きなチャレンジとなりましたが、その過程で得た経験やノウハウは我々の財産となりました。おかげさまで多くの方から評価を頂いてスタジオの規模も大きくなり、長編作品と並行してショートアニメーションで新しい表現にチャレンジできる体制が出来上がりつつあります。
活動の場を広げる中で制作環境の変化はありましたか?
スタジオが三箇所(豪徳寺/明大前/国分寺、いずれも東京都)となり、スタッフも増えましたのでデジタルツールの導入は積極的に行っています。クリエーターが感じる書き味や作業スペースの確保はアウトプットに大きく左右しますので、実際の使用感を聞きながらスペックを増強し、液晶タブレットは新しくて良いものをいち早く試すようにしています。スタジオコロリドは創設以来フルデジタル作画によるアニメーションづくりを目指していますが、以前に比べてデジタル環境のワークフローが整ってきました。
アニメーション制作は経験がものを言う世界であると思いますが、スタジオコロリドでは若い人の活躍が目立ちます。
若い世代の方が学生の頃からデジタル作画に慣れているので、むしろ紙での制作の方が新鮮に映る人がいるようです。スタジオコロリドのクリエーターは平均27〜28歳くらいですが、自分の表現の幅を広げるひとつの方法としてデジタルツールを活用している人も多いですね。たしかに経験が大切な世界ではありますが、その経験の無さを補うのがデジタルツールでもあります。スタジオコロリド自体まだ創設9年目の比較的新しいスタジオなので、デジタルツールを起点にしたアニメーション制作にチャレンジしていきたいと考えています。