企業で使うための「ノートPC」を選ぶのは、簡単そうに見えて意外と難しい面もある。「作業効率がアップする快適さ」は欠かせないが、オーバースペックでは予算を超過してしまうこともあるだろうし、逆に低予算であることを優先すると従業員の満足度やパフォーマンスをかえって低下させてしまう恐れもある。
特に昨今は、オフィスワークと在宅勤務を含むテレワークを組み合わせる「ハイブリッドワーク」が普及しつつある。処理性能が十分ということは当然として、Web会議を考慮した「Webカメラの性能」、さまざまなウィンドウを並べて作業するための「画面の大きさ/広さ」、外部ディスプレイを始めとする周辺機器をつなぐための「接続性」、Wi-Fi(無線LAN)がない環境でも通信できる「モバイル通信機能」など、ノートPCを選ぶ上で注意すべきポイントは増えている。
働き方が変化する中で、従業員の“相棒”にピッタリなノートPCを選ぶには、業務の本質に必要なポイントを的確に押さえた、絶妙な判断が求められる。
ゆえに、ノートPC選びを“ゼロ”から行うとなると時間がかかってしまう。本来の業務に支障が出ないよう、なるべく選定に時間をかけず、かつ信頼できる端末を見つけるには、どうしたら良いだろうか。
その1つの解として、トップブランドが展開する“最新モデル”をチェックする方法を挙げたい。今回は、デル・テクノロジーズのビジネス向けノートPCの最新モデル「Dell Latitude 7×40シリーズ」を見ていこう。
Latitudeのモデル名の判別方法
Latitudeのモデル名の千の位は「シリーズ(クラス)」、百の位は「画面サイズ」(4なら14型)、十の位は「世代」を表します。
「Latitude 7×40シリーズ」ってどんなノートPC?
デル・テクノロジーズの「Dell Latitude」(以下Latitude)は、同社のビジネスノートPCのブランドの1つである。
大きく分けると、Latitudeシリーズにはエントリークラスの「3000シリーズ」、メインストリームの「5000シリーズ」、そして薄型/軽量ボディーや大規模な企業/団体向けの管理/セキュリティ機能を備えるプレミアムモデル「7000シリーズ」、7000シリーズにさらなるプレミアム感を付与した「9000シリーズ」が用意されている。企業/団体の規模や求められる機能に応じて最適なモデルを選びやすいのが特徴だ。
今回紹介するLatitude 7×40シリーズは、Latitude 7000シリーズの最新モデルとなる。具体的なラインアップは以下の通りだ。
- クラムシェルモデル(アルミニウムボディー)
- Latiude 7340(13.3型)
- Latiude 7440(14型)
- Latiude 7640(16型)
- 軽量クラムシェルモデル(マグネシウムボディー)
- Latiude 7340 Ultralight(13.3型)
- Latiude 7440 Ultralight(14型)
- コンバーチブル式2in1モデル(アルミニウムボディー)
- Latiude 7340 2-in-1(13.3型)
- Latiude 7440 2-in-1(14型)
先代(Latitude 7×30シリーズ)と比べると、持ち運びやすさと画面の大きさのバランスに優れる14型モデルにUltralightが加わったことが大きな特徴だ。Latiude 7440 Ultralightの公称重量は約1.055kg(最軽量構成)となっており、「大きな画面」と「持ち運びやすさ」のバランスがより高まっている。
また、従来の15.6型モデルが16型モデルに置き換わり、わずかではあるが大画面化が進んだことも目を引く。15.6型はオフィスワークがメインとなる職場/業種では人気のあるサイズだが、画面を大きくすることで使いやすさを向上させている。
ボディーカラーはクラムシェルモデルとコンバーチブル式2in1モデルがシルバー、軽量クラムシェルモデルが新色「ブルーグレー」となっている。名前の通り、川のような青みを持ったグレーで、デル・テクノロジーズを含め、今までのノートPCにはない深い色味を備えている。
Latitude 7×40シリーズのボディーは全体的にスッキリとした印象で、片手で開きやすい機構も採用されている。2in1モデルでなくともディスプレイ部を180度開けるため、対面で座る相手に画面を見せることも容易だ。
「ディスプレイを開く」こと自体はシンプルな行為だが、意外とペインポイントになりやすい。人にもよるだろうが、毎日開けたり閉めたりすることを考えると、開きやすいディスプレイはありがたい。
Latitude 7×40シリーズの特徴をさらにチェック!
Latitude 7×40シリーズについて、もう少し細かく特徴をチェックしていこう。
最新CPU×高速メモリで快適動作!
Latitude 7×40シリーズは、Intelの最新CPU「第13世代Core™プロセッサ(開発コード名:Laptor Lake)」を搭載している。処理速度を重視した「パフォーマンスコア(Pコア)」と、処理効率(消費電力の低さ)を重視した「高効率コア(Eコア)」のハイブリッド構成であることが特徴で、処理パフォーマンスの高さと低消費電力を両立している。
第13世代Coreプロセッサには幾つかのシリーズが用意されているが、Latitude 7×40シリーズでは消費電力の低い「Uシリーズ」の他、Latiude 7440/7640シリーズはパフォーマンスの高い「Pシリーズ」も選択できる。
簡単な写真/動画の編集など、CPUのパワーが求められる業務を行う従業員にはPシリーズを搭載する構成を支給し、一般的なオフィス業務を行う従業員にはUシリーズを搭載する構成を支給するといった、メリハリのある選択を行えることは魅力である。
加えて、大規模な企業/組織向けを想定した管理/セキュリティ機能「Intel® vPro®プラットフォーム」に対応するCPUも用意されている。情報システム担当者(情シス)の目線に立つと、従業員に支給したPCを管理しやすくなるという点も抑えておきたい。
Latitude 7×40シリーズは、全モデルで高速なLPDDR5/LPDDR5X規格のメモリを搭載している。容量は最大64GBまでと、従来モデルの2倍も搭載できるようになった。
最近はWeb会議用のアプリを開きつつ、オフィスアプリやWebブラウザアプリを複数開くことも珍しくなくなった。可能な限り多くのメモリを搭載しておけば、起動するアプリが多くなった際も快適だ。
なお、Latitude 7×40シリーズはメモリの増設/換装には対応しない。業務内容を見極めた上で、必要な容量を選ぶようにしよう。
16:10ディスプレイ+大型タッチパッドで作業効率アップ!
Latitude 7×40シリーズは、ディスプレイのアスペクト比が16:10と、少しだけ縦長になったこともポイントだ。
少し前まで、ノートPCのディスプレイのアスペクト比は「16:9」が主流だった。この比は現在のTV放送と同じで、動画を見る際には収まりが良いのだが、Webブラウザやオフィスアプリ(特に表計算ソフト)を使うと、「もうちょっと縦方向の情報がほしい」と思うことも珍しくない。
その点、アスペクト比16:10のディスプレイは、縦方向に「1」だけ解像度が増えている。しかし、この「1」がもたらす効果は意外と大きく、ビジネスシーンでの作業効率のアップに大きなメリットをもたらす。超狭額縁設計も相まって、ミニマルでスタイリッシュな印象も受ける。
クラムシェル/軽量クラムシェルモデルは、複数のスペックの液晶パネルから選択できる。最大解像度は基本的には1920×1200ピクセル(フルHD+)となるが、Latitude 7440/7440 Ultralightについては2560×1600ピクセル(QHD+)のタッチ対応操作液晶も用意されている。
2in1モデルはタッチ操作/ペン入力対応の液晶パネルを搭載している。最大解像度は、Latitude 7340 2-in-1が2560×1600ピクセル、Latitude 7440 2-in-1が1920×1200ピクセルとなる。
作業効率という面では、タッチパッドが大型化したことも特徴だ。モデルにもよるが、従来モデル比で約20~33%ほど大きくなっており、カーソル移動はもちろん、ジェスチャー操作もやりやすくなった。クリックボタンの感触も改善されている。
キーボードの配列にも不自然な部分はなく、スムーズに文字を入力できる。
よりキレイに写せるWebカメラ セキュリティと画質を強化した構成も
Latitude 7×40シリーズは、ハイブリッドワーク時代を意識した機能強化も見受けられる。その1つがWebカメラだ。全モデル共にフルHD(1920×1080ピクセル)撮影に対応しており、Latitude 7340シリーズとLatitude 7440シリーズについては、解像度がより高い500万画素センサーを備えるモデルもある。
一般的に、ノートPCのWebカメラは内部でUSB接続されているが、Latitude 7340シリーズとLatitude 7440シリーズは「MIPI接続」のWebカメラも選択できる(500万画素カメラはMIPI接続のみ)。
MIPI接続のカメラはCPU内のイメージングプロセッサと“直結”されているため、悪意のある人間がハードウェアに細工をして画像を盗み出すことが困難である上、USB接続のカメラよりも画質を向上しやすいというメリットもある。セキュリティと画質を両立したい場合は、MIPI接続のWebカメラを搭載するようにしたい。
Latitude 7×40シリーズでは、Webカメラだけでなく内蔵スピーカーも強化されている。スピーカー自体の品質を向上したことに加えて、底面に加えてキーボード面にもスピーカーを搭載することで音量を改善している。
「画質」に気を取られがちなWeb会議だが、「音質」も思っている以上に重要である。聞き取りやすくなったスピーカーによって、会議はもちろん動画視聴時の快適性も高まることは間違いない。
高速無線LANの「Wi-Fi 6E」に対応 オプションで「5G」にも対応可能
最近はオフィスでもWi-Fi(無線LAN)でネットワークを構築することが当たり前となった。接続するPCやタブレットの多い環境では、Wi-Fi 6/6E(IEEE 802.11ax)を使うと、収容できる台数が増えるだけでなく、スループット(実効通信速度)も向上する。
Latitude 7×40シリーズは、全モデル共に6GHz帯でも通信できる「Wi-Fi 6E」に対応している。6GHz帯は利用する端末の“絶対数”が少ない上、とりわけ5GHz帯と比べると「DFS」による通信中断もないため、より快適かつ安定した通信を行える。将来のことを考えると、通信面でより安心して使えることは心強い。
加えて、Latitude 7×40シリーズは、オプションで5G/LTE対応のモバイル通信機能を搭載できる。別途データ通信の契約(nanoSIMカード)が必要となるが、モバイル通信機能を搭載しておくことで、Wi-Fiのない環境でもオンラインで作業を続けられるようになる。「テレワークを導入したいけれど、セキュリティの観点からオフィス外ではWi-Fi通信をさせたくない」というニーズにも応えられる。
変換アダプターなしでさまざまな機器を接続OK!
Latitude 7×40シリーズのポート類は、左側面にHDMI 2.0出力端子とThunderbolt 4(USB4)端子×2を備え、右側面にnanoSIMカードスロット(※1)、イヤフォン/マイクコンボ端子とUSB 3.2 Gen 1 Type-A端子(※2)を用意している。Thunderbolt 4端子はUSB PD(Power Delivery)規格の電源入力と、DisplayPort Alternate Mode規格の映像出力も可能だ。
このように、ユーザーニーズを踏まえて“必要十分”な端子をそろえているといえる。
(※1)モバイル通信対応構成のみ
(※2)Latitude 7340シリーズは1基、Latitude 7440/7640シリーズは2基装備
バッテリーの容量は「37Wh」と「57Wh」から選べる。57Whのバッテリーは駆動時間がより長い反面、本体重量が増す他、価格も高くなる。逆に、37Whのバッテリーは駆動時間が短くなる一方で、本体重量が減り、価格も安くなる。
ただ、バッテリー容量については価格の差ではなく、従業員の業務内容や要望に応じて選ぶべきである。例えば、外回りの営業/作業に従事する従業員には、コンセントがなかなか見つからない環境でも安心して業務を行える57Wh構成をお勧めしたい。一方で、コンセントがそばにある環境で作業することが多い従業員、あるいは外回りでも「少しでも荷物を軽くしたい」という従業員に、容量の少ない37Wh構成を選べばいい。
給電に使うACアダプターは「60W」「65W」「100W」から選択できる。出力が大きいほどバッテリーの充電時間を短くできる反面、その分サイズが大きくなる。
60WのACアダプターは、電源ケーブルだけでなくUSBケーブルも分離できるので、持ち運ぶ際のかさばりを減らせる上、日本限定で電源ケーブルの「アース線あり(3ピン)」「アース線なし(2ピン)」を選択できる。持ち運びやすさを最優先するなら、60Wのアース線なしタイプを選ぶとよいだろう。
暗い場所でも快適な「バックライトキーボード」(オプション)
暗い場所で作業をすることが多い場合は、オプションとしてLEDバックライトキーボードを選択することをお勧めする。このオプション自体は先代にもあるが、Latitude 7×40シリーズではより消費電力の少ない「ミニLED」を採用している。
従来のLEDと比べると、ミニLEDはバッテリー駆動時間を最長で約2.3時間延ばす効果があるという。バッテリーの消費を抑えつつ、暗い場所でも安心して作業できることは、特に夜間の航空機におけるPC作業にはメリットとなりそうである。
サステナビリティにも配慮 サポート体制も充実
Latitude 7×40シリーズは、最新の第13世代Coreプロセッサ、アスペクト比16:10の液晶ディスプレイなど、今どきのビジネス向けノートPCのトレンドをしっかりと抑えた上で、細かい部分での使い勝手にこだわっている。すっきりしたボディーデザインも相まって、ビジネスシーンでの幅広い業務で活躍が見込めるだろう。
加えて、Latitude 7×40シリーズはサステナビリティ(持続可能性)に配慮した製品であることもポイントだ。例えば、パッケージや各種梱包(こんぽう)材は全て「リサイクル素材」あるいは「リサイクル可能な素材」で作られている。
本体素材にもリサイクル素材が使われている。利用箇所や比率はモデルによって異なるが、特にLatitude 7440とLatitude 7440 2-in-1は利用箇所が多くなっている。製造過程で発生する廃棄物の削減も行っているという。
サステナビリティを機材の調達基準としている企業でも、導入しやすいことは大きな魅力といえる。
サステナビリティはもちろん大切だが、ビジネス向けノートPCはサポート体制も重要だ。Latitude 7×40シリーズは24時間365日の電話サポートを始めとして、サポート/サービス体制も充実している。
情シス視点では、PCの導入規模、想定する利用期間、予算に合わせて、柔軟に必要なサポートやサービスを選べることは心強いだろう。
使いやすさとサポートで選ぶならLatitude 7×40シリーズ!
ビジネス向けノートPCを探してみると、どれも同じように見えるかもしれない。しかし、よくよく見てみると「こだわりポイント」や「サポート/サービス体制」に細かい違いがある。
今回紹介したデル・テクノロジーズのLatitude 7×40シリーズは、昨今のビジネス環境の変化を踏まえつつ、先も見据えて“余裕のある”作りとなっていることが魅力である。
細かなこだわりを積み重ねている製品には、やはり洗練された魅力を感じる。法人での導入検討時には、こうした隙がなく仕上がっているモデルを選びたい。
この記事は ITmedia PC USER (https://www.itmedia.co.jp/pcuser/)に2023年4月に掲載されたコンテンツを転載したものです。
https://www.itmedia.co.jp/pcuser/articles/2304/06/news001.html