

AI Data Platform
AIインフラストラクチャーだけでは不十分な理由
ブログ原稿:https://www.dell.com/en-us/blog/why-ai-infrastructure-is-not-enough/
筆者:Vrashank Jain | 2026年7月20日
主なポイント
・エンタープライズAIが停滞する原因は、インフラストラクチャーの不足ではなく、データの分断。
・オープンでモジュール型のData Engineは、密結合型や自社構築型のアプローチと比較して、柔軟性、ガバナンス、運用のシンプルさで優位。
・「Dell AI Data Platform」は、ストレージ、検索、処理、オーケストレーションにわたって、エンタープライズ データをAIで活用できる状態に変える。
・データ処理タスクの種類によって求められるEngineは異なる。分析、処理、検索、オーケストレーションがそれぞれ異なる役割を担うことで、エンタープライズ データはAIで使える状態になる。
・AIにおける真の優位性は、インフラストラクチャーの高速化だけではなく、ビジネス データを継続的にAI対応の状態に保つこと。
AIの成果はデータの質を超えられない
インフラストラクチャーはAIに対応できているかもしれませんが、データはおそらく対応できていないでしょう。
大半の企業が苦戦しているのは、AIを効果的に使うことではありません。AIを本番運用へ移行させることです。真のボトルネックは、もはやコンピュートではありません。本番環境でAIを動かせる水準までデータが利用可能で、コンテキストが与えられ、ガバナンスが効き、オーケストレーションされているかどうかにあります。
「Dell AI Data Platform」は、分断されたエンタープライズ データを、ガバナンスが確立され、AI対応の基盤へと変えることで、本番運用規模のAIを実現し、このギャップを埋めます。
インフラストラクチャーだけでは解決できない理由
インフラストラクチャーはAIの土台です。しかし、データの分断、品質、コストといったAIが本番環境で実際に役立つかどうかを左右する課題を解決することはできません。
・モダンなGPUは、従来型ストレージが供給できる速度を上回るペースでデータを処理します。その結果、高額なアクセラレーターはデータ不足のまま、十分に活用されない状態になります。
・エンタープライズ データは、非構造化のファイルやオブジェクトと、データベースなどの構造化されたアプリケーションに散在しています。そのため、AIエージェント、モデル、AIアプリケーションが、必要とするビジネス コンテキストの全体像を把握できることは、ほとんどありません。
・エージェント型AIでは、トークンを大量に消費するマシン間の推論が発生します。すべてのワークフローがクラウド上のサービスに依存している場合、これがコストの急激な膨張につながりかねません。
だからこそ、もはやインフラストラクチャーだけでは不十分なのです。AIに必要なのは、エンタープライズ データを検索可能かつ利用可能にし、そして推論に向けて継続的に準備された状態に保つデータ プラットフォームです。
「Dell AI Data Platform」がもたらす変化
「Dell AI Data Platform」は、AIに最適化されたストレージ、エンタープライズ データをAI対応にするモダンなData Engine、そしてオーケストレーションを1つの運用レイヤーに統合することで、生のエンタープライズ データをAI対応のデータへと変えるために構築されています。
「Dell AI Factory」において同プラットフォームは、エンタープライズ データへのガバナンスの効いた高性能なアクセスを確保することで、インフラストラクチャー、モデル、ソフトウェアが1つの完結したAIシステムとして機能するための土台となります。
このアーキテクチャーでは、「Dell PowerScale」「Dell ObjectScale」「Dell Lightning File System」といったStorage Engineが、AIワークロード向けにデータを安全に保存し、供給し、拡張するために設計された、拡張性の高いファイル ストレージおよびオブジェクト ストレージを提供します。Data Engineと「Dell Data Orchestration Engine」はStorage Engineの上位で機能し、AIライフサイクル全体、そしてクラウド、オンプレミス、ハイブリッドの各環境にわたって、データの発見、準備、エンリッチ、同期、ガバナンスをどのように行うかを調整します。そして「Dell AI Factory」が、ストレージ エンジンとData Engineの双方を活用し、企業が自社のビジネス データを用いてAIを効果的に導入できるようにします。
競合他社は、もっと単純な解決策を提示するかもしれません。すべてを同一のハードウェアに載せれば課題は解消する、という考え方です。しかし実際には、密結合型のアーキテクチャーは柔軟性、パフォーマンス、経済性を制約しかねません。本当に必要なのはストレージの増強であるにもかかわらず、コンピュートの追加購入を求められる、あるいは固定された1つのスタックの制約を受け入れざるを得ない、といった事態が起こります。「Dell AI Data Platform」の設計思想は異なります。Storage Engine、Data Engine、AIインフラストラクチャーは1つのシステムとして連携しますが、互いに固定されているわけではありません。これによりお客様は、各レイヤーを個別に拡張し、ワークロードに合わせてプラットフォームを構成し、画一的なAIインフラストラクチャーがもたらす非効率を避けられます。

図:「Dell AI Data Platform」は、AIに最適化されたストレージ、モダンなData Engine、「Dell Data Orchestration Engine」を組み合わせ、
エンタープライズ データをAI対応にします。
・AIに最適化されたStorage Engine:「PowerScale」「ObjectScale」「Lightning File System」が、AIワークロードの速度に追随できる、拡張性の高いファイル ストレージおよびオブジェクト ストレージを提供します。
・モダンなData Engine:StarburstやElasticにより、各チームが構造化データと非構造化データに対するクエリ、変換、価値の抽出を支援します。検索ワークフロー向けのベクトル ベースのコンテキストにも対応します。
・「Dell Data Orchestration Engine」:パイプラインの準備、インデックス作成、ガバナンスを担い、マルチモーダルなエンタープライズ データをAIモデルやアプリケーションで使える状態にします。
プラットフォームがパッチワークに勝る理由
「Dell AI Data Platform」は、統合されたストレージ、Data Engine、オーケストレーション、そしてシンプルなサポート体験を備えた、オープンでモジュール型のアーキテクチャーを企業に提供します。企業は、連携しないツールと独自のパイプラインを継ぎ合わせるのではなく、AIの本番運用をより速く実現するために設計されたプラットフォームを、独自仕様のサイロという制約なしに利用できます。
データをAI対応にする
ストレージだけでは、エンタープライズ データがAIで使えるようにはなりません。Data Engineは、生の状態で分散した情報を、AIシステムがクエリし、変換し、検索し、ガバナンスを効かせ、そのうえで行動につなげられる状態へと変えます。この役割を、AIライフサイクル全体にわたって担います。
「Dell Data Analytics Engine」(Starburst提供)
構造化され、分散したエンタープライズ データに対するクエリ レイヤーです。すべてを別のリポジトリーへコピーするのではなく、異機種混在のシステムをまたいでデータは元の場所のままクエリできます。これにより、データの重複を減らし、ETL(データの抽出、変換、格納)に偏重した処理の遅いアプローチを避け、ガバナンスをシンプルにできます。主な用途は、フェデレーテッド分析(データを1か所に集めることなく、データが保存されているそれぞれの場所で分散して分析を行う手法)、アドホックなビジネス クエリ、AIと意思決定支援に向けたエンタープライズ データの準備です。
「Dell Data Processing Engine」
分析とAIワークロードに向けたデータの準備・処理を担う、大規模な変換レイヤーです。データ ソースやワークフローごとにパイプラインを手作業で組み上げるのではなく、バッチ処理、ストリーミング、ETL、機械学習向けのデータ準備を大規模に実行できる、プラットフォームと整合した処理Engineを利用できます。主な用途は、大規模ETL、特徴量とデータセットの準備、バッチ分析、モデル パイプライン向けのリアルタイム処理です。
非構造化データ/検索エンジン(Elastic提供)
従来型データベースの外に存在する、大部分のエンタープライズ データを対象とした検索レイヤーです。ベクトル検索、セマンティック検索、ハイブリッド キーワード検索をプラットフォームに取り込むことで、ドキュメント、メール、ログ、画像、動画を、RAG、エージェント型AI、インテリジェント検索で活用できるコンテキストへと変えます。自社構築スタックと異なり、デル・テクノロジーズはこれを、お客様が自ら設計・検証しなければならない個別の統合プロジェクトではなく、検証済みでライフサイクル管理されたアーキテクチャーとして位置付けています。
「Dell Data Orchestration Engine」
パイプライン、モデル、検索システム、そして人によるフィードバック ループをつなぐ、オーケストレーションとガバナンスのレイヤーです。クラウド、オンプレミス、ハイブリッドの各環境にわたって、マルチモーダルなデータの取込み、同期、エンリッチ、インデックス作成、ガバナンスを支援します。これによりAIシステムは、壊れやすい一過性のパイプラインではなく、鮮度が高く本番運用に対応したエンタープライズ コンテキストをもとに動作できます。主な用途は、RAGパイプライン、エージェント型AIのワークフロー、マルチモーダルなデータセットの作成、コンピューター ビジョンのパイプラインです。

図:「Dell Data Orchestration Engine」は、マルチモーダルなエンタープライズ データの取込み、同期、エンリッチ、インデックス作成、ガバナンスを担います。
AIにおける真の優位性
「Dell AI Data Platform」の違いは、AIのためにエンタープライズ データを保存することだけではありません。そのデータを実際に使える状態にするために、適切なEngineを適用することにあります。分析、処理、検索、オーケストレーションは、それぞれ求められる要件が異なります。デル・テクノロジーズは、それらを1つのプラットフォームにまとめます。ただし、柔軟性に欠けるオールインワンのスタックをお客様に強いることはありません。結果として、エンタープライズAIへのより現実的な道筋が得られます。データはガバナンスが効いた状態を保ち、検索可能かつ再利用可能になり、より優れた検索、より優れた推論、より優れた成果を継続的に支えられるようになります。
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Starburstを活用した「Dell AI Data Platform」について、デル・テクノロジーズの専門担当者にぜひご相談ください。
・「Dell AI Data Platform」の詳細
・AI向けストレージの詳細
・「Dell Orchestration Engine」の詳細
よくあるご質問
十分な予算があるエンタープライズAIプログラムでも、GPU投資が停滞するのはなぜですか?
最も多い理由は、データの分断です。GPUクラスターは強力ですが、その生産性は供給されるデータの質に左右されます。データが各所に分散し、構造化・非構造化それぞれのサイロに閉じ込められ、あるいは大規模に運用へ移行させることが難しい状態では、最先端のコンピュート インフラストラクチャーも十分に活用されないまま残されることになります。「Dell AI Data Platform」は、まさにこのギャップを埋めるために設計されています。
3つのStorage Engineの違いは何ですか?
各Engineは、AIライフサイクルの異なる段階に最適化されています。「PowerScale」は、エンタープライズNASのシンプルさを備え、取込み、キュレーション、トレーニング、推論という最も幅広いAIワークロードに対応します。「Lightning File System」は、数千基のGPUに継続的かつ高スループットでデータを供給する必要がある、超大規模な並列トレーニングのために構築されています。「ObjectScale」は、巨大な非構造化データセットとデータ レイクのために専用設計されています。適切な選択はワークロード、規模、パフォーマンス要件によって決まり、3つすべてを併用することもできます。
「その場でクエリする」とは具体的にどういう意味で、なぜ重要なのですか?
Starburstが提供するフェデレーテッド(連携型)SQLにより、AIアプリケーションは異機種混在システムにまたがるデータを、中央のウェアハウスやデータ レイクへあらかじめコピーすることなくクエリできます。これにより、処理が遅くコストのかかるETLパイプラインを取り除き、データの重複を減らし、ガバナンスをシンプルにできます。これは、データのコピーが1つだけであり、データを移動したり複製したりすることなく、元の保存場所のまま利用できるためです。
非構造化データはどのように扱いますか?
Elasticが提供する非構造化検索により、構造化データベースの外にある80%以上のエンタープライズ データ(ドキュメント、メール、ログ、画像、動画)を、RAGパイプラインやエージェント型AIアプリケーションで検索・活用できる状態にします。これにより、これまで見えていなかったエンタープライズ データが、実際にAIが活用できる資産に変わります。
このプラットフォームは、デル・テクノロジーズのインフラストラクチャーに固定されるのですか?
いいえ。同プラットフォームはオープンなテーブル形式・ファイル形式を基盤とし、モジュール型で最高水準のEngineを備えています。コア、クラウド、エッジの各環境にわたる導入をサポートし、新たなフレームワークやEngineが登場しても、スタック全体を入れ替えることなく進化できるよう設計されています。