2025年のテクノロジー予測

ブログ原稿 https://www.dell.com/en-us/blog/my-2025-tech-predictions/
筆者: ジェフ クラーク(Jeff Clarke)| 2024年12月4日

AI: Everything, Everywhere, All at once ―― あらゆるものが、あらゆる場所で、一度に起こる時代。デル・テクノロジーズのバイスチェアマン兼COOのジェフ クラークが、AI PCからデータセンターの変革まで、2025年にビジネスを促進するトレンドのトップ5を語ります。

2024年は、テクノロジーにとって完全勝利をおさめた年でした。AIはすべての企業で議論され、IT予算に関する議論以上のものになっています。AIはまだ初期段階にありますが、日々新たなレベルの生産性と能力を引き出しています。私が40年間テクノロジーに携わってきた中でも、このような変化は見たことがありません。

これから2025年に向けて進んでいく中で、私は下記5つのトレンドが先導的な役割を果たすと考えています。

AIがエンタープライズ企業に有意義なROIをもたらす

McKinsey社が実施した調査によると、回答者の65%が生成AIを定期的に使っており、その割合は過去10カ月でほぼ倍増しています。それでも、どこから着手すればいいのか分からないというお客さまも数多くいます。デル・テクノロジーズが1,600人を対象に行った調査では、80%近くがまだステージ0(テストと学習)、もしくはステージ1(専用リソースと拡張へのロードマップによる集中的な導入)の段階にあり、最終目標に、カスタマイズした生成AIソリューションと完全に統合したエンタープライズ環境全体への展開を挙げています。

多くの企業において、テストと学習のフェーズは成果を上げはじめています。最新のMorgan Stanley社の調査では、ほとんどの企業が生成AIソリューションのROI(投資利益率)について、期待通りかそれ以上を実現しており、40%近くが期待を上回っていると回答しています。来年にかけてAIをスケールアップしていく中で、企業は引き続き実質的なROIが見込まれます。

2025年は、企業が各業界で最も高い競争力を確保するために、必要なプラットフォームとツールの構築と購入に、非常に注力する年になると予測されています。生成AIツールは成熟途上にあり、適正なAI戦略とアーキテクチャーを把握できていない企業は、不利な立場に置かれることになります。

分散アーキテクチャーにとってAI PCが最も重要な部分に

2025年には、データの分散化がより一層進み、これらのデータをフォローするためにAI を適用する場所が変化するでしょう。つまり、AIを適用する場所がデータセンターやクラウドを超えて、エッジやPCへ移行することになります。AI PCではデータがデバイス上で直接処理されるので、クラウドよりも高速で、よりコスト効率が良く、安全性も高まります。

2025年は大きなPC刷新の年になり、ほぼあらゆるものにNPU(ニューラルネットワーク プロセッシング ユニット)が搭載され、PCはローカルのデバイス上でAIワークロードやアプリケーションを実行できるようになるでしょう。AI PCがあれば、アップグレードしない理由はありません。

PCに搭載されたAIツールやアプリケーションは、日々のタスクをサポートしてくれます。ユーザーのニーズを予測して生産性を高め、ユーザーとともに進化するPCは、最も重要な電子メールやアクション アイテム、休暇から戻って出社した最初の日にすべき5つのことをまとめて教えてくれます。

より高性能なCPU、GPU、NPU、そして、これまで以上に幅広いPCシリコンの選択肢が存在する中、選択の幅とイノベーションは過去最高のものになるでしょう。

モダン データセンターがアーキテクチャーの変革を推進

AIは、歴史上最も急速に導入が進んでいるテクノロジーです。20%以上の生産性向上という劇的な数値は、過去に例を見ないものです。2026年末までに、データセンターの需要の半分以上がAIワークロードによるものとなり、AIの普及は新たな高みに達すると予想されています(*1)。

トレーニングから推論へのシフトが進んでいますが、推論は2030年までにAIワークロードの最大70%から90%を占めるようになるとされています。トレーニングとは異なり、推論では品質、コスト、データ、セキュリティー、レイテンシー(遅延時間)に鑑みて、ワークロードを実行する場を最大化します。このようなシフトを背景にAIは、コンピューティング、ストレージ、ネットワークが非常に高速で、個別にスケーリングが可能なディスアグリゲーテッド アーキテクチャーへと移行しつつあります。これによって、コストを減らし、サイロを解消し、ベンダー ロックインを避けることができます。

最近のデータから、知識のサイロ化や遅延の問題、人材配置の問題、総体的なデータガバナンスの欠如などが、モダン データスタックに共通する課題として浮き彫りになっています。これらの課題は、出荷の遅延から不正確な在庫把握まで、効果的にAIソリューションを展開するうえで影響を与えます。結果として、現在のデータセンターとIT運用モデルには十分な競争力がありません。

データセンターのインサイトと効率が、意思決定を後押し

エネルギーコストの上昇と、一定のAIワークロードのエネルギー需要や環境への影響は、依然として企業にとって厳しい状況となっています。同時に、世界中で規制要件の厳格さが増しており、新たなレベルの情報開示が求められています。
データセンターの場合、新たなレベルの情報開示には、エネルギー効率に優れたハードウェアのイノベーション、古い設備や時代遅れの設備の責任ある廃棄、多様なエネルギー源の利用による影響の最小化と収益の最大化に重点を置くことが含まれます。その好例が、液冷技術のイノベーションです。デル・テクノロジーズが提供する液冷式のコンピューティング ソリューションは、最適化したコールド プレートと液漏れ検出テクノロジーによって、比類ない信頼性と効率を実現します。

また、新たな効率性の向上とパフォーマンス最大化のためには、ワークロード管理とモニタリング ツールへの投資も欠かせません。このデータを分析することで、求めるパフォーマンスを実現し、より適切にニーズに応えるためのAIソリューションのライトサイジングが可能になります。画一的な汎用アプローチで、これを実現することはできません。

AIエージェントがあらゆる場所に ―― 誰もがマネージャーになる

AIエージェントは、あらかじめ定義された目標に向けて計画を立て、意思決定を行い、アクションを起こすことができるソフトウェア システムです。2025年は、AIエージェントがあらゆる場所に広がり、AIの活用方法に大きな影響を与えるでしょう。Gartner社は、2028年までに生成AIインタラクションの3分の1が、タスクを完了させるためにAIエージェントとアクション モデルを使用するようになると予測しています(*2)。

2025年、エージェントは人からのインプットを必要とする受動的なアプリケーションから、独立して動作するマルチエージェント システムに進化すると予測されています。近い将来、人はエージェントのチームを配下に持ち、誰もがマネージャーになるでしょう。このように、作業体験とインテリジェント アプリケーションのカスタマイズが進むにつれて、マスカスタマイゼーションにつながっていきます。

カスタマー サービス、マーケティング、ソフトウェア開発における現在のユースケースPoC(概念実証)は、業界特化ソリューション、さらにはジェネラリストAIエージェントへと広がっていくでしょう。デル・テクノロジーズでは、実験的にエージェントを使って、社内の各チームがコンテンツやコードの成果物、その他のナレッジベースを整理することを支援しており、早期導入で得られた重要な学習成果をお客様と共有しています。

テクノロジーの楽観主義者である私は、AIが人類の進歩とイノベーションを加速させると確信しています。私は、いつでもグラウンドに立つ準備ができています —― ぜひ皆さんも加わってくれることを願っています。

2025年に業界を席巻するテクノロジーについて、デル・テクノロジーズのグローバルCTO(最高技術責任者)兼CAIO(最高AI責任者)ジョン ローズ(John Roese)の予測は、こちらからご覧ください。

*1. https://investors.delltechnologies.com/static-files/a0d509af-2546-4875-8632-cfc38c6f7315#:~:text=In%20the%20last%2012%20months,center%20demand%20will%20be%20AI
*2. https://www.gartner.com/en/newsroom/press-releases/2024-03-11-gartner-predicts-one-third-of-interactions-with-genai-services-will-use-action-models-and-autonomous-agents-for-task-completion-by-2028