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筆者:Chris Kelly(デル・テクノロジーズ アジア太平洋地域・日本および中華圏担当 シニア バイスプレジデント)| 2025年9月10日
ちょっと考えてみてください。崩壊しつつある道路に、スマートシティーを建設することはできないでしょう。では、なぜ時代遅れのストレージでAIを構築しようとするのでしょうか。企業がAIで競争優位性を生み出そうとする中、ストレージはもはや単にデータを保管するだけの場所ではありません。データをどれだけ速く活用し、そのデータから学んだことを行動につなげられるかが重要になってきます。
アジア太平洋地域全体で、企業・組織はAI活用に向けた取組みを加速しています。しかし多くの企業・組織は、データ量、多様性、速度に対応していないレガシーなIT基盤のままのため、依然として技術的な負債という重りを背負っています。
データがAIの生命線という例えがあります。ストレージをその核と呼んでいる人もいますが、言い換えてみればストレージは、AIの中枢神経系と考えるべきです。この神経系であるストレージをより俊敏で、直感的で、保護力があり、応答性に優れたものにアップグレードすることが、AIの真の力を引き出す鍵になります。
神経系は、反射から推論まであらゆることを司り、迅速な意思決定のために外部環境を十分に認識し、身体の調整された指揮センターとなることが重要です。同様に、ストレージも変化の様子を把握し、迅速に対応できるだけでなく、賢く適応できる必要があります。
しかし、従来のストレージ システムは現代環境向けに設計されていないため、データの保存には優れていますが、リアルタイム分析のサポート、分散エッジ ワークロードの管理、コンテナ化された環境に必要な柔軟性の実現には適していません。また、AIとデータ ガバナンスに対する需要が高まるにつれて、こうした時代遅れのシステムは重圧に耐えきれず、機能しなくなる可能性があります。
モダンでスマートなストレージは、単にデータを保存するだけではなく、データそのものを理解するのにも役立ちます。インテリジェントなストレージ プラットフォームでは、自動階層化の実行、パフォーマンスのボトルネックの予測、使用パターンをベースにした自己最適化などが可能になりました。これは、データ用のトラフィック コントローラーを用意して、他のワークロードがスムーズに処理されている間に、重要なワークロードが輻輳(ふくそう)に陥らないようにするようなものです。この俊敏性は、AIモデルが大規模で多様なデータセットに迅速にアクセスして、リアルタイムで学習し推論するうえで不可欠です。
アジア太平洋地域には、課題と機会の両方が存在します。私たちの市場は、モバイル ファースト、デジタル ネイティブ、そしてクラウド対応がますます進んでいます。しかし、その多くは依然として断片化されたインフラストラクチャーに依存しています。だからこそ、分離型ソフトウェア デファインド ストレージへの移行が非常に重要です。コンピューティングをストレージから切り離すことで、独立した拡張性、より優れたコスト管理、新しいAIワークロードの迅速な導入が可能になります。
この移行を加速させている主な要因は2つあります。1つは、データのプライバシー、ローカライゼーション、レポート要件の高まりです。もう1つは、金融サービスにおけるリアルタイムの不正検出から、医療における個別化医療に至るまで、AIアプリケーションの爆発的な成長です。そのためには、単にストレージを増やすだけでなく、安全で仮想化され、コンテナに優しいクラウド統合型のストレージや、エッジでもコアでも機能するストレージといった、よりスマートなストレージも必要です。そして最も重要なのは、企業固有のニーズに応えることです。
デル・テクノロジーズは、お客様が環境をモダナイズしてAIに対応する中で、こうした変化を日々目の当たりにしています。「Dell PowerStore」のようなストレージ ソリューションは、この変化に対応しています。ソフトウェア ファーストのアプローチで設計され、最新のITスタックと統合できるように構築されており、AIニーズの拡大に応じて拡張する準備ができています。

何よりも、昨今の進化したデータセンターは、コストの最小化にフォーカスして設計されています。データ グラビティーによって、ストレージはミッション クリティカルなビジネス遂行の中心となり、データを削減することで大幅なコスト削減を実現できる場所でもあります。
だからこそ、将来を見据えた企業の大半が、モダン ストレージは埋没費用ではないと理解しています。モダン ストレージは戦略的資産であり、イノベーション、インサイト、長期的なレジリエンスを支えるバックボーンでもあります。
今日の議題は、単に誰が最も多くのデータを持っているかということだけではありません。重要なのは、誰がデータを最も速く安全に、そして賢く利用できるかということです。AI主導の企業では、ストレージはもはや「筋肉の記憶(無意識に行う動作)」ではありません。ストレージは、システムを本来あるべき姿で機能させ続けるための、「反射神経」「認識力」、そして「知性」なのです。

