• お客様の事例

    株式会社アジラ:ワークステーション、AI事例

    • AI警備システム向けの基盤に長期安定供給が可能なワークステーションを採用

      日本とベトナムにオフィスを構え、独自の行動認識AI技術を駆使したソリューションを提供するアジラは、2022年1月に、AI警備システム「アジラ」をリリース。同社ではこのAI警備システムを稼働させるコンピューティング環境として、デル・テクノロジーズのワークステーション「Dell Precision」シリーズを選定した。特許技術である「AIによる違和感行動の検知」など優れた検知技術が評価され、阪急西宮ガーデンズや新丸の内ビルディングをはじめとするさまざまな施設に導入されている。

    • ビジネス課題

      AI警備システム「アジラ」は、顧客側のオンプレミス環境にAIシステムを稼働させるコンピューティング環境が必要となる。世界的にGPU・半導体不足が問題となる2021年当時、アジラがサービスを拡大させていくために、パフォーマンスが高く安定供給が可能なデバイスを求めていた。

    • 導入効果

      • OEMモデルのワークステーション「Dell Precision 7920 XL」を採用し、AIシステムを稼働させるデバイスの長期安定供給を実現
      • ワークステーション1台で50台の防犯カメラ映像を管理できるシステムを構築
      • 保守期間をずらせる指定配送サービスを利用することで製品調達の柔軟性が向上
      • デルのグローバル販売網を活かし、将来的な海外展開も後押し
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        「競合企業が数ある警備ソリューションの分野では、相談から納入までのスピードが決め手となるケースが多いです。その点、グローバルな供給体制を持つデルは確実に納品していただけるため、それが顧客企業の皆様からの信頼にもつながっています」

        株式会社アジラ
        プロダクト事業本部 企画開発部
        ゼネラルマネージャー
        山下 勝也氏

      • 株式会社アジラ
        プロダクト事業本部 企画開発部
        ゼネラルマネージャー
        山下 勝也氏

    • 株式会社アジラ(以下、アジラ)は2015年に木村大介氏とグエン・タイン・ハイ氏を中心に設立された企業だ。東京都町田市とベトナムハノイにオフィスを構え、各拠点で連携しながらAIの独自開発を進めている。創業以来、主に受託開発で画像・映像解析の事業を展開し、技術・ノウハウを蓄積してきた。現在は行動認識AIの分野において世界トップクラスの技術力を持つスタートアップとして、世界各国から注目を集めている。

      2022年1月、同社の行動認識AI技術を活かしたプロダクトである、AI警備システム「アジラ」をリリース。阪急阪神不動産株式会社が運営する「阪急西宮ガーデンズ(兵庫県西宮市)」や三菱地所株式会社が運営元の「新丸の内ビルディング(東京都千代田区)」といった商業施設・オフィスビルを中心に導入され、高い評価を受けている。このAI警備システムを稼働させるための推奨マシンとして同社が選定したのが、デル・テクノロジーズ(以下、デル)が提供するワークステーション「Dell Precision」シリーズだ。

    • 犯罪や事故を未然に防ぐ世界の実現を目指していく

      「世界のガーディアン(守護者)」を目指し、犯罪や事故を未然に防ぐ世界の実現を長期的なビジョンに掲げるアジラ。独自の行動認識技術を活用したAI警備システムである「アジラ」も、誰もが安心して過ごせるような世界をつくりたいという思いから誕生したプロダクトの1つだ。

      多くの人々の間で安全・安心に対する意識が高まる今、治安が良い国として世界的に認知される日本においても、駅や空港といった社会インフラ、大型商業施設、オフィスビルなどで多数の防犯カメラが設置されている。モニタリングすべき映像情報が膨大化していく一方、少子高齢化による働き手不足などを背景として、現場で映像をモニタリングする人材をいかに確保するかが警備業界の課題となっている。

      「商業施設や警備会社の皆様とお話しする中で、当社の行動認識AI技術がそうした警備業界の課題解決につながるのではないかと考え、AI警備システムの「アジラ」を開発しました。例えば、1つの商業施設に設置された100台超の防犯カメラを365日24時間“人の目”だけでモニタリングするのは難しいでしょう。しかし「アジラ」の“AIの目”であれば、異常行動や不審行動を瞬時に検知・判別でき、犯罪の未然防止や緊急・救急要請の迅速化につなげることができます」と、同社プロダクト事業本部商品企画部ゼネラルマネージャー 山下勝也氏は開発経緯を語る。

      実際、防犯カメラを設置してリアルタイムでモニタリングし、問題行動が起きたら即座に対応するというケースは少ない。後から録画映像を見て犯人を確認するといった使い方がほとんどだ。一方で「アジラ」は、撮影映像から通常行動をAIが自律学習し、異常行動(転倒、卒倒、ケンカ、破壊行為)や不審行動(千鳥足、ふらつき、違和感行動)など、通常行動から逸脱した動作を検出し、管理者へアラートを通知することができる。リアルタイムのモニタリングがしやすくなるとともに、同社の特許技術である「違和感検知」機能を用いることで、事件事故の予兆検知・未然防止も実現可能だ。

    • 今後の海外展開を視野に入れグローバルなネットワークを持つデルに相談

      「アジラ」の開発が進められる中、顧客が実際に利用するシステム構成も検討された。「アジラ」は複数のテナントが入る大型商業施設やオフィスビルを当初からメインユーザーとして想定していたため、個人情報や機密情報の流出を防止する観点から、クラウドではなくローカルで完結するシステムを構成する必要があった。そうした理由から、顧客側に設置してAI警備システムを稼働させるためのコンピューティング環境としてワークステーションの選定がはじまった。

      「情報セキュリティ面に加えて、処理速度もオンプレミスのほうが速いというメリットがあります。防犯カメラの映像データをクラウドに上げて処理をしてから戻すシステム設計では、どうしてもタイムラグが生じてしまいます。現状の通信技術を前提に考えた場合、違和感行動を検知してスピーディーに通知するためにはオンプレミスであるほうが有効です」(山下氏)

      一般的に、映像解析には時間がかかる。しかしAI警備システムの「アジラ」は軽量なアルゴリズムを用いることで、高速な処理を可能にしている。オープンソースを用いず、映像解析に特化した機械学習モデルを独自に開発してきた同社ならではのソリューションと言えるだろう。映像解析の速さを活かすためにも、推奨マシンの選定では、スピーディーな処理が可能なワークステーションであることが第一の要件となった。

      「価格とパフォーマンスのバランスなどを考慮しながら、推奨マシンの選定を進めていきました。今後、海外展開も見据えていたので、グローバルなネットワークを持つデルに相談しました。その際にデルの担当者からご提案いただいたのが、購入検討段階で機器を試用してシステムが問題無く稼働するかを検証できるサービスでした。当社のようなITソリューションを提供する企業の場合、実際に動かしてみないと分からない面も多いため、非常に助かりました」(山下氏)

    • 長期供給が保証されたOEMモデルのワークステーションを採用

      さまざまなグローバルメーカーがある中、選定の決め手になったのは「スピーディーな営業対応」と「製品の長期・安定供給」だったと山下氏は振り返る。

      「検証期間に驚いたのが、デルの担当営業に依頼や問い合わせをした際に回答が返ってくるまでのスピード感です。例えば、OSのインストール作業時に生じた技術的な疑問もメールですぐに回答をいただけました。返答待ちで仕事が止まらないことはありがたかったです。元々はエンジニアである代表取締役の木村もこの点は高く評価しています。デルさんは見積依頼にも、概ね即日回答を頂けますが、他社では見積もりをお願いしてから1週間待たされるケースもありました」

      検証期間を経て、同社では推奨マシンとしてDell Precisionワークステーション7000シリーズの採用を決定。2021年当時は世界的にGPUや半導体が不足していたが、それでも2022年のリリースに向けて安定した供給を実現できる点も、導入の後押しとなった。今後の展開を見据えて、同じ仕様の機器を長期間供給・活用できるOEMモデルのワークステーション、Dell Precision 7920 XLが採用された。

      OEMモデルは、通常のモデルとスペックは同様だが、自社の環境に合わせて特別な構成を提供できたり専用テクニカルサポートが受けられたりすることがメリットだ。同社のように、自社開発のソリューションと組み合わせてデバイスを顧客企業に再販する際に有効な選択肢となる。山下氏も、「製品仕様が変更されるとドライバーやライブラリなどにエラーが出るケースもあるため、自社に適したマシンの長期的な安定供給は安心につながります」と話す。

      そして2022年1月、「防犯カメラが変わる、新時代の警備DX」をコンセプトにしたAI警備システムとして「アジラ」がリリースされた。

    • ワークステーション1台で最大50台の防犯カメラ映像を処理

      大規模な商業施設やオフィスビルでは、防犯カメラの総数が数百台を超えるケースも多い。AI警備システムの「アジラ」では、独自の軽量なアルゴリズムを用いるとともに、ハイパフォーマンスなDell Precision 7920 XLと組み合わせて提供することで、1台のワークステーションで最

      大50台のカメラ映像をスピーディーに処理することが可能になっている。なおこの「アジラ」は、初期費用が不要な月額のサブスクリプションモデルで提供されており、顧客側は既存の防犯カメラをそのまま利用できるため、新たなハードウェアの購入費用がかからないサービスとなっている。

      警備業界の人材不足に対する警備DXへのニーズを背景として、AI警備システムの「アジラ」はすでに多くの企業や施設から引き合いを受けている。当初想定していた商業施設やオフィスビルだけでなく、病院、空港、スタジアムなど、幅広い業界・施設からの問い合わせも増えてきていると言う。

      「導入された企業の方から『警備員がモニタリングしきれない部分を映像化して、通知してもらえるのはありがたい』といった声や、『お客様に安心できる環境を提供し続けるために欠かせないソリューションとなっている』といった声をいただけるのは嬉しいですね」と、山下氏は語る。

    • 指定配送サービスで柔軟な納入スケジュールを実現

      ワークステーションを含めて顧客にシステムを納品するにあたり、アジラが当初課題としていたのが調達である。顧客側で「アジラ」の導入が正式に決まってからワークステーションを発注していては納品までにリードタイムがかかってしまう。一方で、早めに調達してしまっては、顧客企業へ納入するまでの間、それらを保管する場所を確保しておかなければならない。さらに、顧客に納品する前に保守サポートが始まってしまい、保守期間が無駄になってしまうという点もある。

      そこでアジラがデルから提案されたのが指定配送サービスだ。これを活用することで、購入から約3カ月の間であれば、購入したデバイスをデル側の倉庫で管理しながら、出庫スケジュールを計画でき、さらに出庫スケジュールにあわせて保守期間を調整することも可能だ。

      顧客企業へのソリューション導入に向けてデバイスは確保しておきたいが、オフィス内にワークステーションなどの大型のデバイスを置く十分なスペースがない場合に指定配送サービスは有用なサービスとなるだろう。

      「当社では、取引先の企業と契約を交わした段階で、実施プランに合わせてDell Precision 7920 XLを確保するようにしています。複数施設で導入が重なる場合には台数も多くなりますので、先行して数十台購入しておきます。必要な時に納品していただける点は非常に便利です。また、契約から導入までのスキームが取引先企業によって異なるため、倉庫保管期間に合わせて、保守期間を延長できる点が非常にありがたいです。現場で導入された時点からお客様の求める保守期間でのメーカーサポートを提供できるので、導入先のお客様にも安心してご利用いただけています」(山下氏)

      PC本体の保守を行う「デル・オンサイトサービス」、標準エンジニアによる出張修理・設定やソフトウェア不具合の対応を行う「デル・プロサポートサービス」など、デルは修理サポートに定評がある。もっとも、山下氏いわく、Dell Precision 7920 XLを活用しはじめてから1年以上経過する中でハードウェア関連のトラブルは1件も無いとのことだ。

    • AI警備システムを広げることで安心できる暮らしを広げていく

      凶悪な犯罪や不注意が引き起こす事故などをいかに抑止するかが課題となる現代。AI警備システムの活用でそうした犯罪・事故を未然に防ぐことは、平和で暮らしやすい世の中をつくるために今後よりいっそう求められていくだろう。「犯罪や事故を未然に防ぐ未来へ」をコンセプトに掲げる同社のビジョンを山下氏は以下のように話す。

      「多くの事故や事件は、人が引き起こすものだと思います。アジラのAI警備システムが広がっていくことで、それが犯罪や事故の抑止につながり、誰もが安心して暮らせる社会づくりに貢献していけたらと考えています。今後は国内だけでなく海外展開を進めていく予定なので、引き続きデルさんにはパートナーとしてサポートしていただきたいです。当社のビジョンを実現していくためにも、まずは日本で多くの皆様に『アジラ』をご活用いただければと願っています」

    • アジラが提供するAI警備システムの概要

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    • お客様名 : 株式会社アジラ  

      業種 : 情報通信サービス

      場所 : 日本/東京