お客様の事例

お客様の事例 ドーバー洋酒貿易株式会社:データ保護基盤強化事例

ドーバー洋酒貿易株式会社:導入効果

「Azure Stack HCI と PowerProtectを導入したことで、高性能でシンプルなインフラが実現できた上に、データ保護も一段高いレベルに引き上げることができました」

ドーバー洋酒貿易株式会社
業務統括部
業務課
荒川 正幸氏
ドーバー洋酒貿易株式会社
ドーバー洋酒貿易株式会社
業務統括部
業務課
荒川 正幸氏

製菓・製パン業界に対し約400種類にも上る輸入/国産洋酒を提供

東京都・渋谷区に本社を置くドーバー洋酒貿易は、製菓・製パン業向け洋酒の製造・輸入販売を専門に手掛ける企業である。ヨーロッパを中心に世界約30社から約200種類の洋酒を直輸入しているほか、グループの洋酒製造企業であるドーバー酒造において約200種類のオリジナル洋酒を製造。洋酒の製造販売を行う企業は他にもあるが、同社のように製菓・製パン分野に特化した企業は世界的にも類を見ない。同社では、圧倒的な商品力で洋菓子・パン専門店や製菓メーカーのビジネスを支えているほか、持ち前の提案力を活かしてプロのバーテンダーや外食業へのメニュー提案なども行っている。

加えて、見逃せないのが、長年にわたり培った技術を元に新たなビジネスを創出している点だ。たとえば、その一つが、アルコール度数77%を有する除菌剤「ドーバーパストリーゼ77」である。この商品には酒造用と同等のアルコール及び純水が使用されており、直接食品にも噴霧できる安全性を備えている。また高純度緑茶カテキン配合により、長時間にわたって細菌の増殖を抑制することもできる。製菓・製パンの製造現場はもとより、家庭用としても高い人気を博しているとのことだ。また、グループ企業の軽井沢ブルワリーでは、「THE軽井沢ビール」のブランドでクラフトビール事業を展開。クラフトビール工場としては最大級の設備を有する最新鋭工場から、多彩な商品群を国内外の市場に送り出している。研究科が提供しているのがメタバースである。

重要システム群を収容する全社仮想化基盤のリプレースに着手

このように躍進を続ける同社だが、事業活動を支えるITインフラについても先進的な取り組みを展開している。2015年には、デル・テクノロジーズのオールインワン型サーバー「Dell PowerEdge VRTX」(以下、VRTX)と「Microsoft Hyper-V」による仮想化基盤を構築。基幹系/情報系の業務システム群を集約してきた。その後、2019年には、もう一台のVRTXを軽井沢工場に追加してDR(災害対策)の仕組みを構築している。

さらに今回、同社では、この仮想化基盤のリプレースに着手。ドーバー洋酒貿易業務統括部業務課 荒川正幸氏は「直接のきっかけは、仮想化基盤を構成するハードウェアやOSが保守満了を迎えたことです。ただし、どうせインフラを新しくするのであれば、これを機に旧環境での課題も解決したいと考えました」と語る。

「今回のプロジェクトに点数を付けるとすれば、まさに100点満点ですね」

ドーバー洋酒貿易株式会社
業務統括部
業務課
荒川 正幸氏

Azure Stack HCIとDell PowerProtectによる新たなインフラを導入

今回のプロジェクトで特に重要なポイントとなったのが、データバックアップの改善だ。「従来は外付けの小型ストレージによる個別バックアップに留まっていた上に、データの復旧作業などにも結構な手間と時間が掛かっていました。いくらDRサイト側にもデータがあるとはいえ、こうした簡易的な仕組みでは不安が残ります。今後はクライアントPCのバックアップも行いたいと考えていましたので、きちんとしたバックアップシステムを導入したいと考えました」と荒川氏は明かす。

また、もう一つ重視したのが運用管理の自動化/効率化だ。同社には専門の情シス部門が置かれておらず、荒川氏がパートナー企業の支援を受けながらほぼ一人で運用を行っている。それだけに、環境全体を効率的に管理できることが強く求められた。もちろん、基幹業務システムを支えるインフラだけに、高い性能と信頼性を備えていることは大前提である。

同社では、これらの要件を実現すべく、デル・テクノロジーズにコンサルティングを含めた提案を依頼。荒川氏は「当社では、以前からデル・テクノロジーズ製品を全面的に採用しており、前回の更新でも長期にわたる安定稼働を維持するなど、大きな成果を上げることができました。そこで今回も、迷わずデル・テクノロジーズをパートナーに選びました」と語る。その結果、新たに採用されたのが、ハイパーコンバージド・インフラストラクチャ(以下、HCI)製品「Dell Integrated System for Microsoft Azure Stack HCI」(以下、Azure Stack HCI)、並びに圧縮・重複排除バックアップアプライアンス「Dell PowerProtect DP4400」(以下、PowerProtect)であった。

デル・テクノロジーズの支援が安全・確実な移行に大きく貢献

今回新たに採用されたAzure Stack HCIとPowerProtectについて、荒川氏は「デル・テクノロジーズ主催の中堅・中小企業向けイベント『情シス担当者のための相談所』に参加した際に、両製品の紹介を受けました。まずAzure Stack HCIについては、インフラ全体をシンプルに管理できるHCI製品であり、信頼性・耐障害性も非常に高い。しかもデル・テクノロジーズでは、AMDプロセッサの1ソケットモデルも提供していますので、Oracle DBのライセンスコスト低減にも役立ちます。また、今回導入したPowerProtect DP4400はアプライアンス型で提供されるため、バックアップソフトやストレージを個別にインテグレーションする必要がない。加えて、高効率な圧縮・重複排除機能を搭載している点も高く評価しました」と語る。さらに、7年間の長期保守が用意されており、高信頼なインフラを長く使い続けられる点も大きな決め手となったとのことだ。

実際の構築に際しては、本社・軽井沢工場の2ヶ所にAzure Stack HCIを配置し、以前と同じようにレプリケーションを行っている。旧環境からの移行についても、デル・テクノロジーズが全面的な支援を提供。現状の環境をしっかりと把握した上で、移行に伴うリスクを最小限に抑えるべく、着実に移行作業を進めていった。「一度、軽微な配線ミスに伴うネットワーク障害が発生したのですが、この時もデル・テクノロジーズが一つずつ問題をチェックしてくれたおかげで、早期に原因を究明することができました。手厚いサポートが受けられて本当にありがたかったですね」と荒川氏。その結果2024年4月より、無事本番稼働を開始している。
 大幅なパフォーマンス向上とバックアップ改善に成功 ハイブリッドクラウド化も視野に

大幅なパフォーマンス向上とバックアップ改善に成功 ハイブリッドクラウド化も視野に

Azure Stack HCIとPowerProtectを導入したことで、同社の業務にも数々メリットが生まれている。まず一点目は、大幅なパフォーマンス向上だ。荒川氏は「たとえば、日次の締め作業の際に走らせる処理が、従来の約1分から約10~15秒へと1/4以下に短縮されました。これまでのような待ち時間が発生しないので、業務効率が上がったとオペレーション担当者からも好評です」と語る。また、インフラの運用管理についても「Windows Admin Center」(以下、WAC)で効率的に行うことが可能に。ちなみにデル・テクノロジーズでは、WACの拡張機能である「OpenManage Integration with Microsoft Windows Admin Center」を提供しているため、ハードウェアも含めた環境全体を統合的に管理できる。「WACのユーザーインターフェースも分かりやすいので、直感的な管理が行えます」と荒川氏は語る。

さらに、見逃せないのが、PowerProtectによるバックアップ改善だ。重要なシステム/データを確実に保護できるようになっただけでなく、リストア作業も容易に、かつ短時間で行えるようになった。「本番稼働開始後に、早速『誤消去したデータを戻せないか』という相談があったのですが、これにもすぐに対応することができました。リストアのスピードも非常に速く、最初は本当に復元できているのか疑ったほどです。以前に比べて安心感は各段に高まりましたね」と荒川氏は満足感を示す。圧縮・重複排除機能の効果も高く、実データ容量の約1/153に容量を削減できているとのこと。まだまだ十分な空き容量が確保されているため、今後予定されているクライアントPCのバックアップに対しても、余裕を持って対応することが可能だ。「PowerProtectのアップデート作業なども、デル・テクノロジーズによるリモート支援が受けられましたので大変助かりました」と荒川氏は語る。

今回のプロジェクトを振り返って「高性能でシンプルなインフラが実現できた上に、データ保護も一段高いレベルに引き上げることができました。点数を付けるとすれば、まさに100点満点ですね」とにこやかに語る荒川氏。今後は新しいインフラをビジネスの成長に活かすと同時に、Azure Stack HCIの真骨頂であるハイブリッドクラウド化も視野に入れていく考えだ。荒川氏は「私は常々、『技術は人なり』と考えています。当社を支援してくれたデル・テクノロジーズの方々の働きは、その期待に十分応えてくれるものでした。ぜひ今後も、これまでと同様のサービスを望みたいと思います」と述べた。