合同会社DMM.com

お客様の事例 合同会社DMM.com:PowerEdge / VMwareクラウド管理製品導入事例

ビジネス課題

合同会社DMM.com(以下、DMM.com)では、各種のデジタルサービスを支えるプライベートクラウド基盤を自社で構築・運用している。5000台以上もの仮想サーバーが稼働、同社では運用管理の省力化/自動化を積極的に推進。そうした取り組みの一環として、今回同社では、インフラのライフサイクル管理をより効率的に行えるソリューションの導入に取り組むこととなった。
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導入効果

  • ファームウェアのバージョンや互換性等のチェック作業を半日からゼロに
  • ハードウェアも含めた一元的なライフサイクル管理を実現
  • クラスタを構成する各ホストの環境に差異が生じるリスクを回避
  • ハイブリッドクラウド基盤の運用管理負荷軽減に寄与

「大規模仮想化基盤のライフサイクル管理においては、サーバーをはじめとするハードウェアのアップデートをいかに効率化するかが重要なカギとなります。 VMware vSphere Lifecycle ManagerとDell OpenManage Enterprise for VMware vCenterによるイメージ管理は、この課題を解決する有力なソリューションになると考えています」

合同会社DMM.com
ITインフラ本部 インフラ部
IaaS開発グループ Team Leader
高橋 尚史 氏
高橋 尚史氏
JR東日本メカトロニクス株式会社
経営企画本部働き方改革推進部 部長
兼 ダイバーシティ推進課長
齊藤 宗則氏

先端テクノロジーを駆使し新たなデジタルサービスを次々と展開

「誰もが見たくなる未来。」をコーポレートメッセージに掲げ、動画配信やゲーム、EC、教育、金融など、17領域・60事業以上ものビジネスを展開するDMM.com。特に注力する「エンターテインメント」「テクノロジー」「ハードウェア」「社会課題」の4分野以外でも、未来を感じるビジネスであれば「なんでも挑戦する」というしなやかさが同社の大きな強みだ。どれほど成功を収めた事業であっても、社会や時代の変化に追いつけなければそこまでである。同社では、未来への種を蒔き続けることで、たゆまぬ成長と躍進を続けているのだ。

新たなビジネスをタイムリーに展開していく上では、高い性能・信頼性と俊敏さを兼ね備えたITインフラも欠かせない。そこで同社では、各種のサービスを下支えする大規模仮想化基盤を「VMware vSphere」で構築している。DMM.com ITインフラ本部インフラ部IaaS開発グループ Team Leader 高橋尚史氏は「この仮想化基盤とパブリッククラウドを組み合わせ、事業部門が必要とするインフラを最適な形で提供することが当部門のミッションです。当社の事業は常に動き続けていますので、我々もスピーディな対応を心掛けています」と語る。

中でも注目されるのが、ワークロード数が5000台以上にも上るプライベートクラウド基盤の構築・運用を、すべて自社内で内製化している点だ。「仮想化基盤の立ち上げ時からすべて自分たちで手掛けてきましたので、社内ではことさら内製化を意識しているわけではありません。しかし、意思決定が迅速に行えるのはやはり大きなメリットですね。改善・改良にもすぐに取り掛かれますし、ユーザーの様々な要望にも即応できます」と高橋氏。これだけの大規模環境をわずか5名のエンジニアで担当しているが、省力化や自動化を徹底することで十分廻せていると続ける。

プライベートクラウド基盤を構成するサーバー群のアップデートとマルチベンダー化・マルチクラウド化対応

このように先進的な環境を実現している同社だが、インフラの運用管理にまつわる悩みがまったくなかったわけではない。高橋氏は「特に問題なのが、メンテナンスウィンドウがなかなか取れないということです。サービスを止めると機会損失が発生してしまいますので、事業部門側としてもできるだけダウンタイムは減らしたい。とはいえ、必要なメンテナンスは実施する必要がありますので、いかにこれを効率的に行うかが重要なテーマとなります」と明かす。

大規模仮想化基盤を運用するエンタープライズ企業の中には、インフラ自体を塩漬けにしてしまうようなケースも見受けられる。安定稼働を続けているうちはそれでも良いが、後々にアップデートやアップグレードを迫られた場合や最近では特にセキュリティ対策等を行う際には、大変な苦労を抱え込むことにもなりかねない。「その点当社では、仮想化基盤を作った当初から、『アップデートはコンスタントに行う』との方針を立てています。これを実現するために、ライブマイグレーション機能を用いて日中帯にローリングアップデートを行う仕組みも構築しています。仕組みを構築した当初は事業部門の方から日中帯でのアップデートは心配だ。という声もありましたが、事業部門に丁寧に説明を続けることにより今ではすっかり理解を得ておりますし、平日の日中帯にアップデートを行っても事業部門の方からも特に指摘をもらう事はないので、安心して日中帯にアップグレード作業を行っています」と高橋氏は説明する。

今後は社内仮想化基盤を構成するサーバー群のマルチベンダー化やマルチクラウド化にも注力していますとのこと。「例えば、マルチベンダー化された環境でも安定運用を行うための施策として、VMware Aria Operationsを活用し、ずっと稼働していない仮想マシンの数を把握し、一カ月以上稼働していない仮想マシンを発見すると該当仮想マシンを削除する運用を行ったり、スナップショットの数やスナップショットが肥大化していないかを毎週、レポートを自動的に出力され、スナップショット数が増えすぎたり、大容量化してしまっているスナップショットがいないかを常時把握することでプライベートクラウド基盤全体の安定運用に努めています。VMware Aria Operationsは使えば使うほど、その便利さが実感できる製品でもっと早く使い始めれば良かったです」とにこやかに語る。また、ログ管理やマルチクラウドと言った視点では「VMware Aria Operations for Logsに仮想基盤のログを収集していますが、コンテンツパックはVMware製品の収集されたログの可視化・分析に非常に役になっています。最近では、マルチクラウド化に向けてはVMware Aria Operations for Networksを活用しアプリケーションのネットワーク経路の把握や分析を行う事でビジネスを効率的に支援するマルチクラウド環境の新たな形を模索しています」と更なる運用の効率化や安定化にも取り組まれている。

VMware vSphere Lifecycle ManagerとDell OpenManage Enterprise for VMware vCenterによるイメージ管理に挑む

VMware vSphere環境のアップデートについては、長年にわたり「VMware vSphere Update Manager」(以下、VUM)を活用してきたとのこと。ただし、VUMはあくまでもVMwareのツールであるため、プライベートクラウド基盤を構成する物理サーバー等のアップデートについては別途作業を行わなくてはならない。「今後はプライベートクラウド基盤を構成するサーバー群のマルチベンダー化をさらに進めていきたい。そうなると、ファームウェアの検証や管理を行う手間も増えていきますので、この点を改善する必要があると感じていました」と高橋 氏は語る。

このような課題を解決すべく、今回同社が着目したのが、VUMの後継製品である「VMware vSphere Lifecycle Manager」(以下、vLCM)と、デル・テクノロジーズが提供する「Dell OpenManage Enterprise for VMware vCenter」(以下、OMEVV︓導入当時の製品名称はDell OpenManage Enterprise Integration for VMware vCenter)である。

VMware vSphere 7より提供されたvLCMでは、イメージ方式のライフサイクル管理が可能になっている。イメージ方式では、ハードウェアのBIOS/ファームウェアの更新や互換性チェックなどの機能も併せて提供される。これにより、ハードウェアも含めたインフラのライフサイクル全体を一元的に管理できるのだ。ただし、イメージ管理を行うためには、ハードウェアスタックを管理するためのコンポーネントである「Hardware Support Manager」がベンダーから提供されていなくてはならない。これに相当するのが、前述のOMEVVなのである。「当社の仮想化基盤には『Dell PowerEdge』(以下、PowerEdge)も導入されていますので、OMEVVさえ導入すれば、すぐにvLCMのイメージ管理を試せる環境にあります。そこで、この先を見据えたチャレンジとして、早速利用してみることにしました」と高橋氏は説明する。
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各種サービスを支えるインフラの安定稼働とライフサイクル管理の効率化に寄与

vLCM+OMEVVによるイメージ管理に取り組んだ感想を、高橋氏は「細かい注意点はあるものの、全体的にはほとんどの環境で効果が見込めると考えています」と語る。たとえば、イメージ管理では、クラスタに適用されるカスタムイメージの内容を厳密に管理するため、各ホストの環境に差異が生じるような事態を避けられる。高橋氏は「クラスタを構成する環境の一貫性・統一性を保証できるということは、サービスの安定稼働にもつながってきます。レアケースではありますが、ベースライン管理だとクラスタ内に残っていた無用なコンポーネントの存在に気付かず、後々問題を引き起こすケースもあります。プライベートクラウド基盤を運用する上で、こうした心配をしなくとも済むというのは、非常に大きなメリットと言えます」と続ける。

加えて、もう一つ見逃せないのが、運用管理面でのメリットだ。従来はハードウェアのアップデートを行う場合、ベンダーのサイトを廻ってファームウェアの種類やバージョン、互換性などを個別にチェックする必要があった。「こうした作業にも半日程度は掛かってしまいますので、これがゼロになるのは大変ありがたい」と高橋氏は語る。

また、ファームウェア等のアップデート作業そのものについても、先に述べたローリングアップデートの仕組みとvLCMを組み合わせることで、一括で実施することが可能になる。高橋氏は「これまでやってきたことをよりシンプルに、かつミスなく行えるようになるはず」と語る。

同社ではこうした成果を踏まえて、今後もvLCM+OMEVVによるイメージ管理の活用を進めていく考えだ。デル・テクノロジーズとVMwareにも、大きな期待が寄せられている。高橋氏は「当社では、PowerEdgeのシステム管理ツール『OpenManager Enterprise』も以前から活用しており、その使い勝手や機能を高く評価しています。今回のOMEVVもそうですが、先進的なソリューションをいち早く提供してくれるのがデル・テクノロジーズの良さ。また、大規模なvSphere仮想基盤のライフサイクルを運用するには、vCenterの管理もよりシンプルにする必要があるため、複数台あるvCenterをクラウドで一括管理できるvSphereの新しいライセンス形態についても興味がある。インフラの進化を通してビジネスに貢献することが我々のミッションですから、ぜひ今後も革新的な製品を期待しています」と語った。