株式会社博報堂プロダクツ

お客様の事例 株式会社博報堂プロダクツ

ビジネス課題

株式会社博報堂プロダクツでは、業界屈指の技術力を活かして高品質なクリエイティブ作品を制作している。しかし、従来は事業部門ごとにファイルサーバーが分散しており、データ容量増加への対応や運用管理の煩雑化など、様々な課題に直面していた。そこで今回、同社では、制作業務向けファイルサーバーの再構築に着手した。
株式会社博報堂プロダクツ

導入効果

  • 12台の個別ファイルサーバーを1クラスタのDell EMC PowerScaleに統合
  • クリエイターからのストレージ要求に対し、よりスピーディな対応が可能に
  • 大容量データの転送時間を従来の約1/7に短縮するなど大幅な性能向上を実現
  • 各部門への費用配賦のための調査時間を約3日から約5分に短縮
  • 部門ごとの運用からシステム部門に一元管理したことで運用ガバナンス強化を実現

「Dell EMC PowerScaleの導入により、制作業務用ファイルサーバーにまつわる課題をすべて解消できました。ユーザーの要望によりスピーディに対応できるようになるなど、ビジネス面でも多くの成果が上がっています」

株式会社博報堂プロダクツ
情報システム室 情報システム二部
部長
木本 邦史氏
木本 邦史氏
株式会社博報堂プロダクツ
情報システム室
情報システム二部
部長
木本 邦史氏
石森 圭氏
株式会社博報堂プロダクツ
情報システム室
情報システム二部
インフラマネジメントチーム
ITプロデューサー
石森 圭氏
杉山 祐貴氏
株式会社博報堂プロダクツ
情報システム室
情報システム二部
インフラマネジメントチーム
ITプロデューサー
杉山 祐貴氏
二階堂 奏太氏
株式会社博報堂プロダクツ
情報システム室
情報システム二部
インフラマネジメントチーム
ITプランナー
二階堂 奏太氏

卓越したクリエイティブ力を活かし顧客企業の課題解決を強力に支援

日本を代表する広告・マーケティングサービス企業として躍進を続ける博報堂DYグループ。その事業戦略の一翼を担う総合制作事業会社として、多彩なプロモーション/マーケティングサービスを提供しているのが博報堂プロダクツだ。12の事業本部と3つの支社、さらに9つのグループ会社からなる同社では、「こしらえる」という創業以来ブレない力を武器に、顧客企業の課題解決を強力に支援。デジタルテクノロジーやデータの力も最大限に活用し、これまでに前例のない新たなプロモーション/マーケティングの世界を切り拓き続けている。
 
その同社のビジネスを、ICT面から下支えしているのが情報システム室だ。「事業への貢献を果たしていく上では、バイモーダル、つまり『守りのシステム』と『攻めのシステム』の両輪で環境整備を進めていく必要があります。そこで当部門でも、現場の要望やニーズを踏まえて、積極的な提案活動を実施。ユーザーがより快適に働ける環境づくりを目指しています」と語るのは、博報堂プロダクツ情報システム室情報システム二部部長 木本邦史氏。同社が掲げる「こしらえる」の理念は、情報システムの領域においても連綿と受け継がれていると続ける。

制作業務用ファイルサーバーの環境改善が大きな課題に

そうした取り組みの一環として、今回同社では、フォト、映像、動画、CGなどの制作業務に欠かせないファイルサーバーの再構築に着手した。博報堂プロダクツ情報システム室情報システム二部インフラマネジメントチームITプロデューサー 石森圭氏は、取り組みの背景を「当社では様々なクリエイティブ作品を制作していますが、従来はそのデータを保存するファイルサーバーが現場部門ごとに導入されていました。このため、社内に大量の機器が設置されていた上に、運用管理についても現場の自主管理だったり、外部業者への委託だったりと、それぞれ異なっていました」と振り返る。
 
サイロ化したストレージが社内に乱立するのは、リソースの効率的な利用という面でも、ガバナンス/運用管理の面でも、あまり好ましいことではない。そこで、同社では、まずクラウドストレージの導入を決定。これにより、ある程度の改善は図れたものの、課題を完全に解決するまでには至らなかったという。「その最大の理由は、クラウドストレージのパフォーマンス不足です。3DCGのレンダリング作業などでは相当なI/O性能が要求されますが、クラウドストレージではこれを満たすことができなかったのです」と石森氏は続ける。オフィス文書などのデータはクラウドストレージで良いとしても、クリエイティブ業務に携わるユーザーに対しては、より高速で安定的なストレージ環境が不可欠となる。そこで今回、新ファイルサーバーの導入に踏み切ったのである。

「社内に乱立したファイルサーバーを個別に管理しなくともよくなったことは大きなメリット。増設・拡張が容易に行える上に、遠隔レプリケーションなどの機能が備わっている点も高く評価しています」

株式会社博報堂プロダクツ
情報システム室 情報システム二部
インフラマネジメントチーム ITプロデューサー
石森 圭氏

優れた拡張性を評価しDell EMC PowerScaleを新たに採用

具体的な製品選定にあたっては、大量のデータを余裕で格納できる大容量と、今後の容量増加に即応できる拡張性、業務を止めない高信頼・高可用性などの要件が掲げられた。これらをクリアできる製品として新たに導入されたのが、デル・テクノロジーズのスケールアウトNAS「Dell EMC PowerScale(Isilon)」(以下、PowerScale)である。「容量を柔軟に拡張できるスケールアウトNASであることに加えて、『SyncIQ』のような遠隔レプリケーション機能が利用できる点も良かったですね。これなら重要なデータを遠隔地データセンターで保全できますので、BCP強化にも役立ちます」と石森氏は語る。さらに、3DCG制作会社やアニメーション作会社など、クリエイティブ業界で数多くの導入実績を誇る点も高く評価したとのことだ。
 
また、木本氏も「採用時のポイントでもう一つ重視したのが、当社クライアントの大多数を占めるMacにきちんと対応できるかという点です。実はこれまでも何度かファイルサーバー改善に取り組んだのですが、いずれもMac対応がネックでうまくいきませんでした。それだけに、『PowerScaleなら何の問題もない』とデル・テクノロジーズから聞かされた時には少々驚きましたね」と語る。

「大量データの移行には多くの時間と工数が掛かりますが、Dell EMC PowerScaleなら次世代機へのマイグレーションも簡単な手順で行えます。もう移行で苦労する心配がないというのは大変ありがたいですね」

株式会社博報堂プロダクツ
情報システム室 情報システム二部
インフラマネジメントチーム ITプロデューサー
杉山 祐貴氏

12台の機器をシンプルに統合 運用管理負荷も大幅に軽減

こうして採用されたPowerScaleは、2021年6月より本番稼働を開始。実際の導入作業、また旧環境からのデータ移行作業は、PowerScaleの豊富な構築経験を有するテクマトリックス(株)が担当。「本番稼働後の保守・サポートも含め、手厚い支援を提供してもらえましたので、スムーズに導入を進められました」と石森氏は語る。
 
システム構成面での工夫としては、本番環境用にハイブリッドタイプの「Dell EMC Isilon H500」、遠隔バックアップ用にアーカイブ用途向けの「Dell EMC Isilon A200」と、異なるモデルを利用している点が挙げられる。石森氏はその理由を「災対サイト側の環境はそれほど性能を要求されませんので、このような構成を取ることでコストを抑えられるのは大きなメリット。もし、より高い性能が必要になった場合も、PowerScaleなら既存のA200にH500を増設することで対応できます」と続ける。
 
この結果、各部門で稼働していた12台の個別ファイルサーバーを1クラスタのPowerScaleに統合することに成功。運用管理負担も大幅に軽減されることとなった。「以前は各ファイルサーバーの障害対応などに追われるケースも多かった。しかし現在では、PowerScaleが安定稼働してくれているおかげで、全く手が掛からなくなっています」と木本氏は満足げに語る。
 
さらに大きいのが、ユーザーからのリクエストによりスピーディに対応できるようになった点だ。「制作業務に使用するデータも年々大容量化していますので、現場からは頻繁に『もっと多くの容量が欲しい』との要請が寄せられます。しかし従来のようなサイロ化した環境では、すぐに増設・拡張を行うわけにもいきません。その点、PowerScaleであれば、単一のストレージプールからすぐに必要な領域を提供できますし、環境全体をリニアにスケールさせることもできます。今後のビジネスを考えれば、こうした環境を整備できた意義は大きい」と木本氏は力強く語る。

「専用監視・分析ツール『InsightIQ』を利用すれば、現在の容量消費状況やパフォーマンスなども即座に把握できます。操作性も優れていますので、非常に扱いやすいストレージ製品だと感じています」

株式会社博報堂プロダクツ
情報システム室 情報システム二部
インフラマネジメントチーム ITプランナー
二階堂 奏太氏

クリエイターに快適な作業環境を提供 今後のマイグレーションも容易に

加えて、もう一つ見逃せないのが、今後のマイグレーションに関する心配が無くなった点だ。博報堂プロダクツ情報システム室情報システム二部インフラマネジメントチームITプロデューサー 杉山祐貴氏は「旧ファイルサーバーからのデータ移行を担当したのですが、今回はそれぞれの環境を調査して容量を把握したり、実際のデータ移行を行ったりと、とにかく大変な作業でした。これもPowerScaleであれば、新しいノードを追加して、自動的にデータ移行が行われた後に古いノードを抜くだけで済みます。手間を掛けずにマイグレーションが実施できるのは、我々としても非常にありがたいですね」と語る。
 
ちなみに同社では、各現場部門に対して、ストレージ利用量に応じた費用配賦を行っている。この作業についても、PowerScaleの監視・分析ツール「InsightIQ」を利用することで、3日掛かりだった作業を5分程度にまで短縮できたとのことだ。博報堂プロダクツ情報システム室情報システム二部インフラマネジメントチームITプランナー 二階堂奏太氏は「フォルダの利用状況や機器全体のパフォーマンスなどが簡単にInsightIQで確認できますので、非常に便利ですね。PowerScaleは操作性も優れているので、運用手順マニュアルなども作りやすかったです」と語る。
 
もちろん、当初の懸案であったパフォーマンスについても、期待通りの実力を発揮。大容量データの転送時間を従来の約1/7に短縮するなど、制作業務の効率化に大きく貢献している。「現場のクリエイターに話を聞いてみても、以前よりレスポンスが速くなったと好評です」と石森氏はにこやかに語る。圧縮・重複排除機能「SmartDedupe」やスナップショット機能「SnapshotIQ」などについても、今後必要に応じて利用を検討していくとのことだ。「社内には今回の統合対象以外のファイルサーバーもまだ稼働しています。今後はこうしたものの集約化をさらに進めると同時に、インフラ環境全体の進化も追求していきたい」と展望を語る木本氏。PowerScaleが活躍する場面も、まだまだ拡がっていきそうだ。
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