お客様の事例 がん研有明病院:サイバーセキュリティ対策事例
ビジネス課題
近年では日本においても、医療機関を狙ったサイバー攻撃が急激に増加している。国内初のがん専門機関として発足した公益財団法人がん研究会 有明病院(以下、がん研有明病院)でも、ランサムウェアなどへの対策が喫緊の課題となっていた。そこで同病院では、万一サイバー攻撃の被害に遭った際にも重要な医療情報システム/データを確実に保護し、迅速に復旧できるシステムの導入を目指すこととなった。
導入効果
- エアギャップ接続を用いた安全なデータの保護と隔離を実現
- ランサムウェア等の被害に遭った際にも迅速なデータ復旧が可能に
- 既存のシステムや運用に大きく変更を加えることなく環境を構築
「PowerProtect Cyber Recoveryの導入により、本番環境から切り離された隔離空間でバックアップデータを保護することが可能に。 これにより、ランサムウェアなどへの備えをより強化すると共に、万一のインシデント発生時にも迅速な復旧が行えるようになりました」
がん研有明病院
医療情報部副部長
データベース開発室 室長
鈴木 一洋氏
医療情報部副部長
データベース開発室 室長
鈴木 一洋氏
がん研有明病院
医療情報部 副部長
データベース開発室 室長
鈴木 一洋氏
医療情報部 副部長
データベース開発室 室長
鈴木 一洋氏
日本初のがん専門機関として最先端の医療と研究活動を展開
東京湾を背後に望む江東区・有明エリア。その一角に、最先端の設備を備えた先進医療機関がある。「がん克服をもって人類の福祉に貢献する」をミッションとして掲げるがん研有明病院である。1908年(明治41年)に発足した国内初のがん専門研究機関の附属病院として1934年(昭和9年)に開設された同病院は、一世紀近くの長きにわたり、日本のがん医療において主導的な役割を担い続けてきた。
同病院の大きな特色としては、病院部門と研究部門が一体化した組織である点が挙げられる。まず診断・治療領域においては、多職種連携によるチーム医療を推進。同病院を訪れるすべての患者に対して、外科医、内視鏡医、化学療法医、放射線診断・治療医、病理医といった専門医が最適な治療法を選択・提示。看護師や薬剤師、栄養士などのスタッフも医療のすべての段階に参加し、質の高い医療を提供している。また、病院理念の達成に向け、新薬開発のための治験や新たな治療法・診断法につながる臨床研究も積極的に実施。その一環として、治療・臨床試験の支援体制拡充や「先進がん治療開発センター」、「先端医療開発センター(現・先端医療開発科)」の設立なども行っている。
加えて、研究領域では、基礎研究から生物学的研究までの様々な研究と臨床を一体化できる強みを活かし、先進的ながん医療の確立に向けた取り組みを展開。ここでは新薬研究などを行う「がん化学療法センター」や遺伝子研究を手掛ける「がんプレシジョン医療研究センター」などの組織が、病院と研究所の橋渡し役として重要な役割を果たしている。さらに近年注目を集めているAIに対しても、内閣府主導の戦略的イノベーション創造プログラム「AIホスピタルによる高度診断・治療システム」に参画。医療へのAI活用を力強く後押ししている。
同病院の大きな特色としては、病院部門と研究部門が一体化した組織である点が挙げられる。まず診断・治療領域においては、多職種連携によるチーム医療を推進。同病院を訪れるすべての患者に対して、外科医、内視鏡医、化学療法医、放射線診断・治療医、病理医といった専門医が最適な治療法を選択・提示。看護師や薬剤師、栄養士などのスタッフも医療のすべての段階に参加し、質の高い医療を提供している。また、病院理念の達成に向け、新薬開発のための治験や新たな治療法・診断法につながる臨床研究も積極的に実施。その一環として、治療・臨床試験の支援体制拡充や「先進がん治療開発センター」、「先端医療開発センター(現・先端医療開発科)」の設立なども行っている。
加えて、研究領域では、基礎研究から生物学的研究までの様々な研究と臨床を一体化できる強みを活かし、先進的ながん医療の確立に向けた取り組みを展開。ここでは新薬研究などを行う「がん化学療法センター」や遺伝子研究を手掛ける「がんプレシジョン医療研究センター」などの組織が、病院と研究所の橋渡し役として重要な役割を果たしている。さらに近年注目を集めているAIに対しても、内閣府主導の戦略的イノベーション創造プログラム「AIホスピタルによる高度診断・治療システム」に参画。医療へのAI活用を力強く後押ししている。
ランサムウェアなど激化するサイバー脅威に対抗すべく復旧確実性の強靭化に着手
このように先進的な取り組みを多角的に展開する同病院だが、業務面で一つの課題を抱えていた。それは、ランサムウェアなどのサイバー攻撃に対するセキュリティ強化である。近年では国内においても、医療機関を狙った攻撃が頻発している。その中には、早期にシステムを復旧できず、長期間にわたる業務停止に追い込まれたケースも少なくない。ひとたびこうした事態が発生すれば、その病院を利用する患者は大きな不利益を被ることになる。また、病院経営そのものにも、甚大な影響が及ぶことは避けられない。医療情報システムの安心・安全を保つことは、医療全体、強いては社会全般に関わる重要課題なのである。
もちろん同病院でも、以前から厚生労働省が策定する「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」(以下、厚労省ガイドライン)に沿ってセキュリティ対策を進めてきた。しかし医療機関の被害が深刻化する中、より一層の対策強化が必要と判断。特に今回のポイントとなったのが、セキュリティ・インシデント発生時に最後の砦となるデジタルデータ復旧性の改善だ。
がん研有明病院医療情報部副部長データベース開発室室長 鈴木一洋氏は「病院内では、電子カルテシステムや部門システムをはじめとする様々な医療情報システムが稼働しており、それぞれがバックアップの仕組みを備えています。しかし、その多くは基本的にオンラインバックアップであり、万一ランサムウェアに感染した際にはバックアップごとやられてしまうおそれがあります。こうした事態を回避し、サイバーレジリエンス(回復力、復元力)をより高めることが、今回の取り組みの目的です」と説明する。
もちろん同病院でも、以前から厚生労働省が策定する「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」(以下、厚労省ガイドライン)に沿ってセキュリティ対策を進めてきた。しかし医療機関の被害が深刻化する中、より一層の対策強化が必要と判断。特に今回のポイントとなったのが、セキュリティ・インシデント発生時に最後の砦となるデジタルデータ復旧性の改善だ。
がん研有明病院医療情報部副部長データベース開発室室長 鈴木一洋氏は「病院内では、電子カルテシステムや部門システムをはじめとする様々な医療情報システムが稼働しており、それぞれがバックアップの仕組みを備えています。しかし、その多くは基本的にオンラインバックアップであり、万一ランサムウェアに感染した際にはバックアップごとやられてしまうおそれがあります。こうした事態を回避し、サイバーレジリエンス(回復力、復元力)をより高めることが、今回の取り組みの目的です」と説明する。
「エアギャップ」による隔離を実現する PowerProtect Cyber Recoveryを新たに採用
オンライン感染を避けるためには、バックアップデータを本番環境から切り離してオフライン保管する方法が有効だ。従来型のテープライブラリ装置を用いれば、安価に環境を構築することもできる。ただし、これは避けたかったと鈴木氏は語る。
その理由を「テープメディアには伸びや劣化の問題が付きまといますし、データが書き込めない/読めないといったトラブルに煩わされることも多い。当病院でもオペレーションに苦労した経験がありますので、テープ以外の方法でオフライン保管を実現したいと考えました」と語る。加えて、もう一つの要件が、既存のシステムや運用にあまり変更を加えないという点だ。鈴木氏は「前述の通り、病院内のシステムはそれぞれ独自の方法でバックアップを行っています。これをすべて変更するとなると、相当な費用と労力が必要になってしまいます」と続ける。
これらの点をクリアできるソリューションとして、デル・テクノロジーズが提案したのが、「Dell PowerProtect Cyber Recovery(以下、CRS)である。このソリューションでは、デル・テクノロジーズのデータ保護アプライアンス「PowerProtect DD」を2台用意。うち1台を本番環境から切り離された隔離空間に設置すると共に、データ転送時のみネットワークをオンライン化、それ以外はオフライン状態にする「エアギャップ接続」を確立する。これにより、万一本番環境側がランサムウェアの被害を受けたとしても、隔離空間側に保存されたバックアップデータを安全に保ち、有事に必要な復旧用データを提供することができるのだ。
「エアギャップ自体、初めて聞く概念でした。デル・テクノロジーズの説明を受けてなるほどと納得しただけでなく、その先にあるサービス復旧への青写真が想定できるようになりました。同様の仕組みを実現できるソリューションは他に見当たりませんでしたので、当病院への導入を決めました」と鈴木氏は語る。
その理由を「テープメディアには伸びや劣化の問題が付きまといますし、データが書き込めない/読めないといったトラブルに煩わされることも多い。当病院でもオペレーションに苦労した経験がありますので、テープ以外の方法でオフライン保管を実現したいと考えました」と語る。加えて、もう一つの要件が、既存のシステムや運用にあまり変更を加えないという点だ。鈴木氏は「前述の通り、病院内のシステムはそれぞれ独自の方法でバックアップを行っています。これをすべて変更するとなると、相当な費用と労力が必要になってしまいます」と続ける。
これらの点をクリアできるソリューションとして、デル・テクノロジーズが提案したのが、「Dell PowerProtect Cyber Recovery(以下、CRS)である。このソリューションでは、デル・テクノロジーズのデータ保護アプライアンス「PowerProtect DD」を2台用意。うち1台を本番環境から切り離された隔離空間に設置すると共に、データ転送時のみネットワークをオンライン化、それ以外はオフライン状態にする「エアギャップ接続」を確立する。これにより、万一本番環境側がランサムウェアの被害を受けたとしても、隔離空間側に保存されたバックアップデータを安全に保ち、有事に必要な復旧用データを提供することができるのだ。
「エアギャップ自体、初めて聞く概念でした。デル・テクノロジーズの説明を受けてなるほどと納得しただけでなく、その先にあるサービス復旧への青写真が想定できるようになりました。同様の仕組みを実現できるソリューションは他に見当たりませんでしたので、当病院への導入を決めました」と鈴木氏は語る。
「3-2-1ルール」に沿ったデータ保護環境を確立 厚労省ガイドラインへの対応も実現
CRSによるデータ隔離システムは、2022年12月より本番稼働を開始。システム構築上の工夫点としては、各医療情報システムのバックアップデータを、そのままデイリーで本番環境側に配備したDell PowerProtect DDにコピーしている点が挙げられる。こうすることで、既存システムに大きな変更を加えないという2番目の要件をクリアしているのだ。これにより、「3-2-1ルール」(データコピーは3つ、2種類の異なる媒体に保管、うち1つはオフライン)に則ったデータ保護とオフライン保持を実現し、厚労省ガイドライン5.2版、および2023年4月に予定されている同6.0版の見直しにも対応することができた。
現在は院内開発のがん臨床統合データベースを皮切りに、各医療情報システムへの展開を着々と進めているところだ。「がん臨床統合データベースについては、我々で作業を行いましたが、既存のバックアップジョブの後ろにCRSへのコピーコマンドを追加するだけですから、ものの数分しか掛かりませんでした。他のシステムについても、容易に対応できるものと考えています。これに伴いCRS側に格納されるバックアップデータの容量も増加していきますが、そこはDell PowerProtect DDの圧縮・重複排除機能が有効に働いてくれることと期待しています」と鈴木氏は語る。
現在は院内開発のがん臨床統合データベースを皮切りに、各医療情報システムへの展開を着々と進めているところだ。「がん臨床統合データベースについては、我々で作業を行いましたが、既存のバックアップジョブの後ろにCRSへのコピーコマンドを追加するだけですから、ものの数分しか掛かりませんでした。他のシステムについても、容易に対応できるものと考えています。これに伴いCRS側に格納されるバックアップデータの容量も増加していきますが、そこはDell PowerProtect DDの圧縮・重複排除機能が有効に働いてくれることと期待しています」と鈴木氏は語る。
有事の際、健全なバックアップデータを10~15分程度で提供 万一の際にも迅速な復旧が可能に
さらに、今回の取り組みで注目されるのが、データ保護だけでなくその後の復旧作業についてもきちんと目配りしている点だ。「いくらデータが保護されていても、いざという時にすぐ戻せないのでは困ります。そこで、デル・テクノロジーズに作成したもらった手順書を元に、自分達でデータを戻す訓練を行っています」と鈴木氏は語る。その結果現在では、わずか10~15分程度の時間でオフライン側のPowerProtect DDから本番環境側のPowerProtect DDにデータを戻せる目処が立ったとのこと。サイバー被害のような緊急事態時に、復旧への初動に必要となる健全なバックアップデータが、素早く簡素に提供されるということは、各医療情報システムを早期復旧させ、健全な医療サービス提供を1秒でも早く再開させる上で大きなメリットとなる。
「将来的には、各医療情報システムのベンダーを巻き込んだ復旧訓練も、年に一度くらいのペースで実施していきたいと思っています。また今回のプロジェクトを通じ痛感したのが、紙ベースでの運用能力の見直しなど、システムが止まっている間の医療サービス継続力についても見つめ直しが不可欠だろうという点です。これについても検討を進めています。今後も『医療を止めない』ために、全方位で手を尽くしていきたいですね」と展望を語る鈴木氏。その取り組みを、デル・テクノロジーズもしっかりと後押ししていく。
「将来的には、各医療情報システムのベンダーを巻き込んだ復旧訓練も、年に一度くらいのペースで実施していきたいと思っています。また今回のプロジェクトを通じ痛感したのが、紙ベースでの運用能力の見直しなど、システムが止まっている間の医療サービス継続力についても見つめ直しが不可欠だろうという点です。これについても検討を進めています。今後も『医療を止めない』ために、全方位で手を尽くしていきたいですね」と展望を語る鈴木氏。その取り組みを、デル・テクノロジーズもしっかりと後押ししていく。

