カヤバ株式会社
お客様の事例 カヤバ株式会社:Azure Stack HCI事例
ミドルウェアサーバーをAzureとオンプレミスのマルチクラウド環境を実現するAzure Stack HCIに入れ替え、セキュリティ運用など保守作業の低減、バックアップの容易さ、パフォーマンス向上を実現

ビジネス課題
Windows ServerやVMwareのサポート終了、ハードウェアの保守切れなどを迎えシステムの更改の必要があったカヤバ株式会社では、Azure クラウドサービスと組み合わせたハイブリッド環境にであるAzure Stack HCIに注目し、それに切り替えられるパートナーと優れたソリューションを求めていた。
導入効果
- ラック容量を半分以下に集約
- 無償ESUを使うことでコストを200万円~400万円削減
- ハイブリッド運用でAzure Backupを利用し必要に応じてバックアップ期間や頻度を変更可能
- HCI(ハイパーコンバージドインフラストラクチャ)によるパフォーマンスの向上
「Windows Server 2012の2023年10月のサポート終了、やVMware ESXi 6.5の2023年11月のサポート終了、そして2022年12月にはハードウェア群の保守切れなどがあり、サーバーを入れ替える必要がありました。そのため、2021年頃からクラウド化を見据えたIaaSの検討などを開始しました」
カヤバ株式会社
デジタル変革推進本部
システム統制管理室
専門課長
山中 好彦氏
カヤバ株式会社
デジタル変革推進本部
システム統制管理室
専門課長
山中 好彦氏
デジタル変革推進本部
システム統制管理室
専門課長
山中 好彦氏
カヤバ株式会社
デジタル変革推進本部
システム統制管理室
濱淵 隆元氏
デジタル変革推進本部
システム統制管理室
濱淵 隆元氏
日本ビジネスシステムズ株式会社
ソリューションスペシャリスト本部
担当部長
西川 直樹氏
ソリューションスペシャリスト本部
担当部長
西川 直樹氏
日本ビジネスシステムズ株式会社
クラウドソリューション事業本部
西日本クラウドソリューション部
1グループ エキスパート
亀山 敦氏
将来的なクラウド活用を見据えてAzure Stack HCIに注目
1919年に創業し、独立系の油圧部品メーカーとしてグローバルでも評価されているカヤバ株式会社(以下、カヤバ)は、四輪車・二輪車用の緩衝器、四輪車用の油圧機器、産業用の油圧機器などの製造販売を行っている。多様な技術と組み合わせて製品の総合力を強めてきた同社は、AC(オートモーティブコンポーネンツ)、HC(ハイドロリックコンポーネンツ)、特装車両、航空機器を中心に事業を展開し、世界23か国に生産販売・サービス拠点を展開している。また、モノづくりのDNAを受け継いで、油圧技術や振動技術を活用して停泊時に居住空間を広げることなどができる、これまでとは異なるキャンピングカーを「東京キャンピングカーショー2023」に出展するといったチャレンジも行っている。
2019年に設立したDX推進部と従来からのIT企画部は、2023年4月にデジタル変革推進本部に統合。すべての業務領域においてデジタル技術を活用した業務変革を強力に推進していく体制となっていると、カヤバデジタル変革推進本部システム統制管理室専門課長の山中好彦氏は説明する。「業務部門も含めて、全社的にデジタル人材の育成やデジタルリテラシーの底上げなども行い、Microsoft 365のPower Platformのようなノーコード/ローコード開発ツールを活用した市民開発にも取り組んでいます」。
そのような中、「データセンターで運用していたメインフレームやERPなどの基幹系システムとサーバー間連携や自動処理を行うための仮想サーバー群は、Windows Server 2012の2023年10月のサポート終了やVMware ESXi 6.5の2023年11月のサポート終了、そして2022年12月にはハードウェア群の保守切れなどがあり、入れ替える必要がありました。そのため、2021年頃からクラウド化を見据えたIaaSの検討などを開始しました」と山中氏は説明する。しかし、オンプレミスで管理しなければならないデータもあり、すぐにクラウドに移行しづらいシステムもあったため、AzureのIaaSと連携しやすく、Azureのセキュリティや運用サービスを活用できることから、比較的コストやメンテナンスの負荷を低減できるAzure Stack HCIに注目していった。「以前の環境では、ハイパーバイザのバージョンに対するデバイスドライバおよびファームウエアの各組合せによるトラブル経験があり、脆弱性対応のアップデートが必要になると検証に時間がかかっていました。そのため、OSとハードウェアが一体となっているシンプルなシステム構成のAzure Stack HCIに魅力を感じました」とカヤバデジタル変革推進本部システム統制管理室の濱淵隆元氏は話す。
「デル・テクノロジーズ製のサーバーを採用するのは初めてでしたが、初めてとは思えないくらいスムーズに構築・運用することができたのはよかったと思います」
カヤバ株式会社
デジタル変革推進本部
システム統制管理室
濱淵 隆元氏
デジタル変革推進本部
システム統制管理室
濱淵 隆元氏
デル・テクノロジーズのAzure Stack HCIソリューションを採用
2021年の段階では、Azure Stack HCIを扱っている国内ベンダーがほぼいなかったと説明する濱淵氏は、いくつかのSIerを検討し、ちょうどMicrosoft 365の導入・展開を支援していた日本ビジネスシステムズ株式会社(以下、JBS)の提案を採用したと説明する。「2021年からクラウドに向けた検討を進めていましたが、2022年になってしまい、構築と移行期間に余裕もなくなってきていました。2022年12月にストレージの保守切れが発生するので、それまでに構築を終えることが絶対条件である中、JBSはコストと納期で満足のいく提案を出してくれて、デル・テクノロジーズのAX-650をベースにしたAzure Stack HCIを提案してくれました」。
JBSソリューションスペシャリスト本部担当部長の西川直樹氏は、「我々としては、資産を有効活用するためにAzure Arcを含めた提案をさせていただきました。とはいえ、Azure Arc + Azure Stack HCIは初めてだったので、マイクロソフトやデル・テクノロジーズと協力し合い、情報交換しながら進めていくことで短納期で構築できたのはよかったと思います。基本設計や詳細設計に約2か月かかるところを2週間で、Azure ADの設定などの現地作業も約1週間かかるところを3日で終えることができました」と当時を振り返る。
また、JBSクラウドソリューション事業本部西日本クラウドソリューション部1グループエキスパートの亀山敦氏も構築について次のように話を続ける。「Windows ServerベースのWindows Server HCIの構築経験はありましたが、デル・テクノロジーズのAzure Stack HCIはAzureサービスであるAzure Stack HCI OSが使われていて、非常に構築しやすかったという印象があります。他社にはないAzure Stack HCI専用モデルも用意している点なども、デル・テクノロジーズがAzure Stack HCIに非常に注力している証で、安心して構築することができました。デル・テクノロジーズにも提案のご協力をお願いし、ネットワーク構成をシンプルにするフルコンバージドネットワークの構成などのさまざまな構築方法についてマイクロソフトとの3社で密にやり取りして情報を得られたのは非常によかったと思います。検証済みのサーバーをデル・テクノロジーズの検証施設であるカスタマーソリューションセンターで試していったことも短期での構築につながったと考えています」。
4ノードのAX-650で構成されたAzure Stack HCIでは、Azureの運用サービスの一つであるAzure Backupを使ったバックアップも実現。Azure Portalからの一元的なオペレーションやAzureのセキュリティ対応サービスであるMicrosoft Defender for ServerでVMのリソースをセキュリティ監視しており、マルチクラウド環境での運用の効率化を実現した。その他のAzureサービスも今後利用を検討して、ノード数も今後順次増やしていく予定だという。
「マイクロソフトやデル・テクノロジーズと協力し合い、情報交換しながら進めていくことで短納期で構築できたのはよかったと思います」
日本ビジネスシステムズ株式会社
ソリューションスペシャリスト本部
担当部長
西川 直樹氏
ソリューションスペシャリスト本部
担当部長
西川 直樹氏
コスト減、運用負荷減、バックアップの自由度などのメリットを実現
Azure Stack HCIでは、Windows ServerのEOS後も拡張セキュリティ更新プログラム(ESU)を無償で適用できるが、カヤバではこれによって大きなコストメリットを得られているという。「現在、4ノード上に29のVMがあり、そのうちの25VMがWindows Server 2012 R2となっています。有償でESUを購入すると年間1台あたり8万3,000円かかるため、全体で年間200万円以上のコスト削減が実現されています。2年目はESUの価格が倍になるので、年間400万円以上のコストを抑制できることになります。無償ESUの提供は3年間なので、その間にゆっくりと確実に新しいWindows Serverに移行させていくことができることもメリットだと思います」と濱淵氏は説明する。
また、運用保守の軽減もメリットの1つとしてあげられる。「2022年から運用し始めて、まったくトラブルがなく、余分な保守の工数もかかっていません。こういった見えない部分での運用負荷やコストの削減が実現できていることを実感しています。パフォーマンス面でも、仮想マシンへのアクセスとSDS(ソフトウェアデ・ファインド・ストレージ)のネットワークを物理的に統合し、1Gbpsから50Gbpsのネットワークにしたので不安はなく、ネットワークカードやつなぎ方を考える必要がないシンプルな構成なので、ストレスなく使えて運用も楽になっています。万が一の障害などの場合も、JBSの障害復旧サービスに入っているので安心です」(濱淵氏)。
さらに、Azure Backupの使い勝手のよさも高く評価している。「以前はバックアップサーバーの磁気ディスクにバックアップしていましたが、容量を気にしながらバックアップ期間や頻度を決めなければなりませんでした。Azureにバックアップすることで、コストとの兼ね合いを考慮しながら容量を増減できるのは便利で、操作も非常に簡単です」と濱淵氏は説明する。
ベースとなるAX-650やデル・テクノロジーズについて濱淵氏は、次のように評価する。「デル・テクノロジーズ製のサーバーを採用するのは初めてでしたが、初めてとは思えないくらいスムーズに構築・運用することができたのはよかったと思います。また、これまでの仮想環境はラック1台分でしたが、AX-650ベースのAzure Stack HCIにすることでラック半分以下に集約できたのも驚きでした」。
「専用モデルも用意している点なども、デル・テクノロジーズがAzure Stack HCIに非常に注力している証で、安心して構築することができました」
日本ビジネスシステムズ株式会社
クラウドソリューション事業本部
西日本クラウドソリューション部
1グループ エキスパート
亀山 敦氏
クラウドソリューション事業本部
西日本クラウドソリューション部
1グループ エキスパート
亀山 敦氏
Azure Stack HCIを拡張し、AIなどの新技術にも挑戦
今後カヤバは、今回導入したAzure Stack HCIを拡張していくだけでなく、競争力をつけ、業務効率を向上させていくためにもAIなどの新たな技術も取り入れていこうと考えている。
濱淵氏は、今後について、次のように話す。「Microsoft 365のBing Chat Enterprise も今後使って、業務の効率化を行っていくことも検証していこうと考えています。JBSには、今後も引き続きMicrosoft 365の展開支援をお願いしたいと考えています。また、今年クライアントPCをデル・テクノロジーズ製品に切り替えたのですが、来年もよりよい製品をご提案いただけると助かります」。
グローバルで活躍し、従来の四輪車・二輪車・特殊車両の油圧機器だけでなく、キャンプ場に付けば居住空間を広げられ、斜めの土地に止めても室内を水平に補正するこれまでになかったキャンピングカーの製造にチャレンジするなど、カヤバは今後も100年以上培ってきた油圧をはじめとする技術を活用して、新たな事業とビジネスを創造していく。
