株式会社MCJ

お客様の事例 株式会社MCJ:セキュリティ対策事例

ビジネス課題

総合ICT企業の株式会社MCJ(以下、MCJ)では、重要な情報資産を守るべくセキュリティ強化に取り組んでいる。そこで大きな課題となったのが、世界中で猛威を奮っているランサムウェアへの対策だ。特に最近では、最後の砦となるべきバックアップデータが攻撃されるケースも増加している。そこで同社では、こうした事態にも確実に対処できる新たなソリューションの導入に着手した。
株式会社MCJ

導入効果

  • ランサムウェアによる暗号化やデータ改変を改ざん防止機能で防御
  • エアギャップ型データ転送により、バックアップデータの隔離を実現
  • 圧縮・重複排除機能の活用でバックアップデータを約1/35に削減

「PowerProtect Cyber Recoveryの導入により、ランサムウェア攻撃を受けた際にもしっかりとビジネスを復旧できる環境が整いました。サイバーレジリエンスの強化を図れたことは、上場企業である当社にとって、非常に大きな意義があると感じています」

株式会社MCJ
執行役員
システム開発室 室長
近藤 正俊氏
近藤 正俊氏
株式会社MCJ
執行役員
システム開発室 室長
近藤 正俊氏
大谷 徹也氏
株式会社MCJ
システム開発室
大谷 徹也氏
中西 誠氏
株式会社MCJ
システム開発室
中西 誠氏
額賀 宣光氏
株式会社MCJ
システム開発室
額賀 宣光氏
只平 望氏
株式会社MCJ
システム開発室
只平 望氏

サイバーレジリエンスの強化が企業経営上の重要課題に

「21世紀を代表する製品サービスを創り、人々の生活を豊かにし、よりよい社会の構築に貢献する会社になる」の経営ビジョンの下、各種ICT製品の製造・販売事業を展開するMCJ。近年では、コミック&インターネット複合カフェやエンターテインメント施設を手掛ける企業を傘下に収めるなど、より幅広い分野へとビジネス領域を拡大している。

その同社において、重要な経営課題となっているのが、情報セキュリティの強化である。同社では、1998年の創業以来、着実な成長を続けている。しかし、世界中で猛威を奮い続けているサイバー攻撃の脅威は、その躍進を阻む大きな障害となるおそれがあった。MCJ執行役員システム開発室室長 近藤正俊氏は「サイバー攻撃の悪質化・巧妙化は年々加速しており、米国の政府機関でさえ狙われるような状況です。当社としても、重要な業務やお客様向けサービスを確実に継続できる仕組みを整えておかなくてはなりません」と語る。

中でも、大きな衝撃をもたらしたのが、2021年に発生した国内大手製造業のランサムウェア被害だ。この事案では、基幹業務システムを含む数多くの業務システムが攻撃され、最後の砦となるはずのバックアップデータまで暗号化されてしまった。この結果、システム/データの早期復旧が不可能になり、長期にわたり決算開示が行えなくなる事態にまで陥った。「当社も上場企業ですから、もし同じような攻撃を受けたらと考えると背筋が凍る思いでした。通常のセキュリティ対策はもちろんですが、万一被害に遭った際のサイバーレジリエンスについても、より一層強化する必要があると痛感しました」と近藤氏は続ける。

「2次保管データを本番環境から完全に隔離する「エアギャップ」型のデータ転送機能を備えていたことが、PowerProtect Cyber Recoveryを採用する決め手になりました。今後は関連会社にも展開し、グループ全体のレジリエンス強化を推進していきます」

株式会社MCJ
システム開発室
大谷 徹也氏

Dell PowerProtect Cyber Recoveryを導入し本番環境から隔離されたバックアップデータ保管を実現

このような課題を解消するソリューションとして、新たに導入されたのが、デル・テクノロジーズの「Dell PowerProtect Cyber Recovery」(以下、Cyber Recovery)である。これは、デル・テクノロジーズの圧縮・重複排除データ保護アプライアンス「Dell PowerProtect DD series appliances」(以下、PowerProtect DD)を活用し、データバックアップの延長線上でサイバーレジリエンスを強化するものだ。

保護対象となるバックアップデータは、まず「Retention Lock」機能を用いて、改ざんや暗号化が行えないように処理。また、2次データ保管用のPowerProtect DDへの接続も、データコピーを行うわずかな間のみしか行わず、それ以外の時間はネットワークから完全に隔離(エアギャップ)される。さらには、保管データの安全性を検証するための分析機能「CyberSense」も用意。これにより、レジリエンスを高める上で欠かせない「データ防御」「データ隔離」「データ衛生」の3要素をすべて満たすことができるのだ。MCJは今回、このうちの「データ防御」「データ隔離」機能を実装した。

MCJシステム開発室 大谷徹也氏は、「デル・テクノロジーズに何かいいソリューションはないか相談したところ、Cyber Recoveryの提案を受けました。そこで最大の決め手となったのが、エアギャップ型のデータ転送を自動的に行ってくれる点です。もし、こうした仕組みがないと、2次保管用ストレージの接続/遮断を人手で行わなくてはなりません。また、PowerProtect DDのデータ転送機能『DDBoost』は、CIFSやNFSといった一般的なプロトコルではない独自プロトコルで転送を行うため、それ自体がリスク低減につながります。この点も高く評価しました」と語る。

ちなみに同社では、数年前にデル・テクノロジーズの圧縮・重複排除バックアップアプライアンス「Dell Avamar」+PowerProtect DDでバックアップシステムを全面刷新している。この既存環境ともスムーズに連携できることから、他のソリューションは全く検討しなかったとのことだ。

「データ保管に利用する『Dell PowerProtect DD』は、当社のバックアップシステムでも既に採用していますので、導入作業もスムーズに進められました。デル・テクノロジーズの様々な支援も大いに役立ちました」

株式会社MCJ
システム開発室
中西 誠氏

関連会社のデータも一括で保護 災害対策サイトへのレプリケーションも実施

今回の取り組みでは、まずデル・テクノロジーズのハイパーコンバージド・インフラストラクチャ製品「Dell VxRail」(以下、VxRail)による全社仮想化基盤のバックアップデータをCyber Recovery対象として設定。この基盤上では、販売や会計、生産管理などの基幹業務システムが稼働しているため、そのバックアップデータを守ることは最優先事項であった。加えて、注目されるのが、グループ会社も保護対象に含めた点だ。「当社では、各関連会社のシステム群を統合し、グループ全体として最適なインフラを目指す構想を描いています。今回のCyber Recoveryプロジェクトは、まさにその先駆けと言えます」と大谷 氏は説明する。

具体的な構築内容としては、まずメインデータセンター内に2台の「Dell PowerProtect DD6300」を新規導入。このうち一台はグループ会社のデータバックアップ用、もう一台は隔離(Cyber Recovery)用として利用される。加えて、災害対策サイトにも、同じく「Dell PowerProtect DD6300」を追加。メインセンター側のPowerProtect DDと遠隔レプリケーションを行うことで、大規模自然災害などにも確実に対応できる環境を実現している。

「当社ではこれまでもPowerProtect DDを利用していますので、導入時の設定などで悩んだりすることもありませんでした。システム導入を行う際には、データセンターへの機器納入で苦労するケースもありますが、これもデル・テクノロジーズがうまく調整してくれたおかげでスムーズに取り組みを進められました」と語るのは、MCJシステム開発室 中西誠氏。また、同 額賀宣光氏も「データコピーやネットワークの接続/遮断もノータッチで行えますから、運用管理負荷が増えるようなこともありません。今後は復旧手順の整理やマニュアル作成なども実施し、インシデント発生時のシステム復旧を誰でもすぐに行えるようにしていきたい」と続ける。

「ネットワークの接続/遮断やデータコピーを自動的に行ってくれますので、運用管理負担が増えるようなこともありません。今後は誰でも復旧作業が行えるよう、手順書やマニュアルを整備していきたいと思います」

株式会社MCJ
システム開発室
額賀 宣光氏

グループ全体でのレジリエンス強化に成功

Cyber Recovery環境は、2022年2月より本番稼働を開始。これにより、同社のビジネスにも、大きな安心感がもたらされている。「一昔前であれば、バックアップテープの遠隔地保管がレジリエンスにも役立っていました。しかし、データ量とサイバー攻撃が急速に増加する中、こうした仕組みではもはや対応できない。その点、Cyber Recoveryを導入したことで、今後ビジネスの成長にも追随できる環境が実現。株主やお客様といったステークホルダーの方々に対しても、しっかりと説明責任が果たせるようになりました」と近藤氏は力強く語る。

同社では実際にCyber Recoveryで復旧テストを行ってみたところ、約10時間で復旧できることを実証できました。デル・テクノロジーズの支援を受けながらの初回作業でこの時間ですから、今後習熟が進めばさらに短縮できる可能性も大きいと思います」とMCJシステム開発室 只平望氏は語る。PowerProtect DDの圧縮・重複排除機能の効果も大きく、バックアップデータの容量を約1/35に削減。データ転送時間の短縮にも役立っているとのことだ。

さらに、見逃せないのが、グループ会社もこの成果を享受できる点だ。「主要子会社3社を皮切りに、順次展開を拡げていく予定です。これにより、グループ全体でレジリエンスの底上げを図りたい。さらに、今回は対象外だったファイルサーバーについても、この仕組みへの取り込みを進めていきます」と大谷氏は語る。

今回の取り組みを支援したデル・テクノロジーズへの期待も大きい。近藤氏は「全社仮想基盤に採用したVxRailをはじめ、その後もAvamar/PowerProtect DD、さらにはCyber Recoveryと、当社の課題を解決するソリューションをトータルに提供してくれました。ぜひ今後も、当社の企業価値向上につながるソリューションを提案して欲しいですね」と語った。

「実際に復旧テストを行ってみたところ、約10時間で復旧が行えることが実証できました。今後作業に習熟してくれば、もっと時間を短縮できる可能性も大きいと感じています」

株式会社MCJ
システム開発室
只平 望氏
株式会社MCJ