東都水産株式会社
お客様の事例 東都水産株式会社:Dell PowerStore事例
グループ仮想化基盤向けストレージにDell PowerStoreを新たに採用 処理能力の大幅な向上を実現すると同時に基幹業務システムのモダナイズも加速

ビジネス課題
東都水産株式会社(以下、東都水産)では、グループ企業も含めた基幹業務システムをVMware vSphere仮想化基盤に集約している。しかし旧環境ではインフラの処理能力不足が課題となっていたほか、COBOLベースで構築された業務アプリケーションのモダナイズも急務となっていた。そこで同社では、仮想化基盤の再構築に着手。これを支える高性能・高信頼ストレージの導入に取り組むこととなった。
導入効果
- データベースのエクスポート処理を10分から30秒に短縮
- 日次締めのバッチ処理時間を40分から18分に短縮
- 圧縮・重複排除機能によりストレージ容量を77%削減
- 次期基幹業務システムの開発に必要なリソースを同一環境内に確保
「新仮想化基盤では、既存環境と次期基幹業務システムの開発環境を並行稼働させる必要がありましたが、高い性能と高効率な圧縮・重複排除機能を有するDell PowerStoreのおかげで十分なリソースを確保することができました」
東都水産株式会社
電算部 電算課
課長
野澤 耕二郎氏
東都水産株式会社
電算部 電算課
課長
野澤 耕二郎氏
電算部 電算課
課長
野澤 耕二郎氏
東都水産株式会社
電算部 電算課
主任
平 貴寛氏
水産物卸売業界のリーディング・カンパニーとして多種多様な商品を安定的に供給
日々の食生活を支える重要な市場として、また東京を代表する観光スポットとして知られる豊洲市場。この地に本拠を構えるのが、水産物卸売事業、冷蔵倉庫事業などを手掛ける東都水産である。旧築地市場の開設と共に設立された東京魚市場を前身とする同社では、業界のリーディング・カンパニーとして、新鮮な水産物を人々の食卓に届ける活動を全方位で展開。マグロなどの大物から鮮魚、養殖魚、業務用高級魚、干魚、加工食品、冷凍食品に至るまで、ありとあらゆる商品の安定供給に努めている。
加えて注目されるのが、売買管理をはじめとする業務のIT化に早くから取り組んできた点だ。東都水産電算部電算課課長 野澤耕二郎氏は「業務効率化や生産性向上を図る上では、ITの利活用が必要不可欠です。当社でも汎用機にはじまり、サーバーによるダウンサイジング、さらには仮想化技術の導入と、時代の変化に合わせてインフラを進化させてきました」と説明する。
さらに現在では、社内に蓄積された業務データの利活用にも力を入れているとのこと。野澤氏は「現場部門がデータの収集や編集作業に時間を取られるようでは、思うように情報活用を進められません。そこで、資料作成などに必要なデータについては、当部門から取りまとめて渡すようにしています。これにより現場部門の負担が軽減できるだけでなく、意思決定のスピードも早めることができます」と語る。
グループの基幹業務を支える仮想化基盤の再構築に着手
さらに今回、同社では、受発注管理や販売管理などの基幹業務システムを収容する仮想化基盤の再構築に着手した。ちなみに、この仮想化基盤上では、埼玉県魚市場や千葉魚類といった関連会社の基幹業務システムも稼働している。まさにグループ全体のビジネスを支える重要な役割を果たしているのだ。「直接的なきっかけは、旧仮想化基盤を構成するハードウェア群の保守期限切れです。ただし、これを機に解消したい課題もいくつかありました」と野澤氏は語る。
その一つ目は、ストレージの処理能力不足である。東都水産電算部電算課主任 平貴寛氏は「当社の業務では、毎日日次締めのバッチ処理を行うのですが、DBに対して大量の読み書きを行うとパフォーマンスがかなり落ちてしまう。旧仮想化基盤のストレージはHDDベースの製品でしたので、もはや我々の要求に見合うだけのI/O性能が確保できませんでした」と説明する。
また、もう一つの課題が、基幹業務システムのモダナイゼーションだ。同社では、インフラ環境については、常に最新の技術を導入してきた。しかし、その一方で、業務アプリケーションの中には、汎用機時代から使われてきたCOBOLプログラムも残っている。この点については、以前からの懸念事項となってはいたが、豊洲市場への移転が遅れたりしたこともあり、前回の基盤更新の際にはそのまま手つかずになっていた。「今回も一旦は現行システムをストレートに移行しますが、それと並行して次期基幹業務システムの開発も進めていきます。必然的に、新仮想化基盤には、現行システムと次期システム開発の両方に耐えられるだけの性能・容量・拡張性が求められました」と野澤氏は語る。
「バッチ処理を40分から18分、データベースのエクスポート処理を10分から30秒に短縮するなど、パフォーマンスの大幅な向上が実現。オンライン処理のレスポンスも改善されましたので、ユーザーの生産性向上にも役立っています」
東都水産株式会社
電算部 電算課 主任
平 貴寛氏
電算部 電算課 主任
平 貴寛氏
ストレージの性能強化を目指しDell PowerStoreを新たに採用
このような要件を満たせるハードウェア製品として新たに導入されたのが、デル・テクノロジーズのスケーラブル・オールフラッシュストレージ「Dell PowerStore 500T」(以下、PowerStore)、並びに「Dell PowerEdgeサーバー」である。「これまで当社では、ずっとシングルベンダーで仮想化基盤を構築してきました。しかしハードウェアについては、この従来方針を転換。もっと視野を広げて選定することにしました。その結果、選ばれたのが、PowerStore/PowerEdgeの両製品だったのです」と野澤氏は明かす。
今回採用されたPowerStoreは、エンドツーエンドのNVMeアーキテクチャを採用した高性能ストレージであり、負荷の重いDB処理なども高速に実行することができる。また、スケールアップ/スケールアウトの両方に対応しているため、目的や用途に応じて柔軟に拡張することも可能だ。もちろん、基幹業務システムに求められる高い信頼・可用性も兼ね備えている。「加えて、もう一つの決め手となったのが、高効率な圧縮・重複排除機能を備えている点です。デル・テクノロジーズが提供する『Future-Proofプログラム』では、2︓1の圧縮・重複排除率も保証されますので、導入したリソースをより有効に活用できます」と野澤氏は語る。
マルチベンダー構成への挑戦をデル・テクノロジーズが全面支援
もっとも、同社初のマルチベンダー構成だけに、導入に際しては考慮すべき点もあったとのこと。平氏は「たとえば、以前から利用している他社製クラスタリングツールがデル・テクノロジーズ製品でも動くかなど、確認しないといけない点がいろいろありました。ただし、この点についても、デル・テクノロジーズがアプリケーションベンダーと連携して対応してくれましたので、問題なく構築を進めることができました。その他にも、リモートサポートサービス『SecureConnect Gateway(以下、SCG)』の導入など、様々な場面でデル・テクノロジーズの支援に助けられました」と満足げに語る。
ちなみに、今回のプロジェクトは世界的な半導体不足の時期と重なったため、一時は進捗が危ぶまれたという。「製品がちゃんと入手できるかかなり心配だったのですが、デル・テクノロジーズは3ヶ月で揃えられると請け合ってくれました。他社の場合は半年以上掛かるという話でしたので、さすがはグローバルベンダーだと感心しましたね」(野澤氏)
処理能力の大幅な向上を実現 次期基幹業務システムの開発も積極的に推進
こうして導入された新仮想化基盤は、2023年5月より本番稼働を開始。これにより、同社のビジネスにも様々なメリットが生まれている。「まず一点目は、ストレージの性能不足を完全に解消できた点です。従来は約40分掛かっていたバッチ処理が約18分で完了するなど、処理時間を大幅に短縮できました」と平氏は力強く語る。
同社の日次締め処理では複数のバッチが走るが、そのいずれもが半分以下に時間を短縮できているとのこと。特にDBのエクスポート処理については、以前の10分から30秒へと劇的に高速化されている。「元々、この処理については、時間が掛かることからあえて別の時間帯に動かしていました。しかし、これだけ早くなればその必要もありませんので、現在ではジョブの中に組み込んでいます」と平氏は続ける。また、オンライン処理のレスポンスも改善され、売り上げ集計などの業務を快適に行えるようになったとのことだ。
さらに、もう一つ見逃せないのが、次期基幹システムの開発に弾みを付けられた点だ。PowerStoreの圧縮・重複排除機能の効果は非常に大きく、77%の容量を削減できています。性能にも十分な余裕がありますので、今後開発が本格化したとしてもリソース面での不安は全くありません」と野澤氏は語る。もちろん、性能・容量がさらに必要になったとしても、PowerStoreなら容易に拡張を行うことが可能だ。
システムの安定稼働についても、前述のSCGが威力を発揮。「同種の監視サービスは他社にもありますが、SCGではリモート作業まで行ってもらえますので、安心感がまったく違いますね」と野澤氏は語る。なお、今回の再構築を契機に、同社ではDR/BCPの強化も実施。埼玉県魚市場と千葉魚類のデータをPowerStoreに遠隔バックアップすることで、万一の際にも業務を継続できるようにしている。
「次期基幹システムでは、COBOLからの脱却を図ると同時に、業務プロセスや帳票類のグループ標準化も進めていきます。ITガバナンスの強化やデータ利活用の促進を図ることで、経営戦略への貢献を果たしていきたいですね」と今後の展望を語る野澤氏。PowerStoreとPowerEdgeが活用される場面も、ますます拡がっていきそうだ。
